高橋信之の俳句


名句鑑賞辞典より
監修:飯田龍太・稲畑汀子・森澄雄
発行:角川書店・平成12年4月

秋雲つぎつぎ寺の庇より離れ

秋雲(秋)『硝子体』(昭63) ◆この句は、「三十八番金剛福寺二句」という前書きのあるなかの一句。金剛福寺は四国札所八十八ヶ所のひとつ。足摺岬にある。山門の前には太平洋がひらける。寺の庇を離れた白い雲は太平洋へ出て行くのであろう。視覚がのびのび働いている句で、八・八・三の破調も作者の感興をいきいきと伝えている。<ネクタイ吊るタンスの中も秋の空気>という句もあって、これも感興のいきている句。<芽吹く樹へつぎつぎ心遊ばせる><花苗買うわれに妻子のある生よ> (宮津昭彦)   

現代秀句選集/角川書店