誕生日正月三日の眉月に 誕生日と言っても、正月三日なので特に感慨はない。眉 月が印象に残っただけの、ただそれだけの誕生日だった。 受験子は旅立つ荷物を身辺りに 受験に子を送り出す親の私は、ともかく元気で、受験を 済ましてきて欲しいと願い、旅の支度を整えるのを、手 伝ったものです。 二月はや雛の鼓笛をもたさるる デパートには、早くも、ひな壇がしつらえられています が、鼓笛を持つ雛が楽を奏でるには、少し寒く感じられ ます。 ふきのとうの紅ほのぼのと土に生れ 土から生え出た、ふきのとうの黄みどり色に臙脂がかっ た紅色が刷かれているのはなんとも、ゆかしいものです。 おしばなの紅梅円形にて匂う 梅の花を見ると、その香りもなんとか手許に残しておき たい衝動にかられます。それで本などに挟んで押し花に するのですが、出来あがった形がなんともいえず、かわ いらしく思え、匂いもそこはかとなくするのです。 囀りに子の片言の鳥を呼び 子どもが小さいうちは、外を散歩しながら、よく遊ばせ たものです。外が好きな子どもに付いて行くと、あちこ ちから、小鳥の囀りが聞こえてきます。どきどきは、子 どもが小鳥をたどたどしく呼んだりして、親の私も楽し みました。 寺苑をめぐりどっと花咲く花まつり えひめ子ども俳句会を主宰していた時の作で、息子の元 が小学4年、娘の句美子が幼稚園のとき。砥部・永代寺 での花祭りに子ども句会を併せたもの。お寺の周りは桜 やれんげ、そのほかの花も一斉に咲いていた。花の中の 花まつり。お釈迦様の誕生日。NHKから全国放送された。 八十八夜のポプラに雀鳴きあそぶ 我が家の居間の窓からは、年中ポプラのそよぐのが見ら れる。今はやわらかな緑がしずかに音を立てて、風の様 子を見せてくれている。いい天気の昼下がり、鳴き始め た雀は、いつまでたっても鳴きやまない。一人遊びをし ているように、夏の近づく日差しを楽しんでいた。 子らいまだ眠り立秋の空光る 立秋の今日は、まだ夏休み。学校から抜けきって、子ど もたちはぐっすり眠っているが、秋立つ日の朝は、浅黄 色の空がうつくしい。 秋蝉となりてちかぢかわれに鳴く せみ時雨となって聞こえていた蝉の声も、さすが鳴き疲 れたのか、少しさみしげに、だがしっかりと自分の鳴き 方で鳴いている。それが親しく身近に感じられる。 盆の夜のいつものとおりの四方の虫音 盆の夜といっても、虫は、静かにいつものとおりにない ている。あたり四方から、その家を包むように、鳴いて くれているのである。 みずひき草の朱が試験期の図書館に 30年も前の学生時代の句なのですが、大学で一番自由 な気分でいられるのは、中でも図書館でした。広い机と だれにも邪魔されない自由さが気に入っていました。図 書館に活けられる花は、清楚であったり、つつましくあ ったり、野の雰囲気があって、心がすっとするものでし た。そんな印象のみずひき草でした。 立冬のポプラ天より光受く ポプラの樹を見ると、東欧的なものを思ってしまう。片 側にポプラ並木の続く白い道をイメージしてしまうのは 、ロシア映画のせいか。住まうところは変わったけれど 、高階住まいの我が家の窓から、一日中ポプラのそよぎ を愉しんでいる。 聖イヴの大き絵本を子に広げ クリスマスにふさわしい絵本は、いくつもあると思うが 、ここに広げた絵本は、「てぶくろ」というロシア民話 の話だと記憶している。幼い子が、脚など伸ばして、大 きな絵本を読んでいる姿は、かわいらしい。 (2002年5月20日更新)