updated: March 2 2008
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高橋正子30句 コーヒーの匙上向きてすぐ冷ゆる 秋水湧く波紋をそのまま手にすくう 水菜洗う長い時間を水流し さやけさの中へ起き出し四肢があり 乳ふふます母なる者に虫が鳴く 甘藷よく実入り刃物に当たる音 ドイツ・ヴュルツブルク 鐘の音のわれを包んで夏空へ ベルリン カスターニエの青き実曇天よりもげば もろもろもパンも年越すたのしさよ バスの後ろ揺らし入りゆく青山河 大年の山河も晴れを賜りし ポプラ黄葉雲寄り雲のまた流る 枯草を踏みおり人に離れおり 白桃の無疵を少女に剥き与う 稲穂田の隅にごぼごぼ水が鳴り パソコンを消して露散る夜となりぬ 来たぞ来たぞいつもの目白が蜜吸いに 野ばら咲く愛のはじめのそのように スイートピー眠くなるほど束にする 白バラの空気を巻いていて崩る 鉛筆を削る木の香の春めくを 麦焼きの煙遠きを満たしける 富士登山 夏星を登りぬ一歩を岩に置き 松林に白百合まばら富士裾野 胸うちに今日の夏野を棲まわせる さわやかに行きし燕の戻り来る 春の蕗提げしわれにも風が付く わが視線揚羽の青に流さるる 天草の乾いた軽さを腕が抱く 水に触れ水に映りて蜻蛉飛ぶ