■さら句会/入賞発表F■

第41回(9月26日)〜第45回(10月2日)

by 管理人

第45回入賞発表(10月2日)/高橋正子選評@


【金賞】
★山小屋を出れば斜めに天の川/多田有花
「斜めに天の川」は、高い山での捉えかた。高い山では星は、地上での見え方と違って低く目線に見える。天の川の無数の星がひんやりと輝き、手に届きそうな感じがする。秋の印象が鮮烈。

【銀賞】
★すっきりと青空見えて松手入れ/堀佐夜子
松が手入れされるにしたがって、松の枝の間にすっきりと青空が覗く。青空はますます高く、松葉のみどりが空に映るようである。

【銅賞】
★講座果て賢治を胸に天高し/加納淑子
生前ほとんど名を知られなかった宮沢賢治の生涯や作品の講座に、自身を晩学の身という作者の気持ちがよく重なっている。講座のあとその思いで空を仰げば、明日への希望がわく。


【特選5句】

★台風の過ぎし日差しの青々と/青海俊伯
大型の台風が足早に過ぎたあと、すっかり払われた塵に、日差しは原初のように青々としている。

★ポストまで木犀の香のいくたびも/祝恵子
この家、あの家から匂ってくる木犀の香を嗅ぎながら、明るくたのしい気持ちになって、ポストまで。心豊かな日常がある。

★白樺の黄葉揺らさぬ気流あり/霧野萬地郎
白樺はすっかり黄葉してそよぎもしないが、ひんやりと流れる空気が白樺を通り過ぎる。気流を感じた繊細な感覚と感動がある。

★稲刈られ畦はみどりを残しけり/池田和枝
★振り仰ぐ木犀におう先の空/宮地ゆうこ
..2002/10/ 3(Thu)21:34

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by 管理人

第45回入賞発表(10月2日)/高橋正子選評A


【入選22句】

★秋高し造船の鉄塗られゆく/平野あや子
★黍に風日ごとに房の重さなる/小峠静水
★秋茄子の泥井戸水で洗いけり/冬山蕗風
★新米の擦れ合う音の精米機/日野正人
★木犀の香りの中へ夕刊来る/馬場江都
★時折は木の実の落つる径を行く/磯部勇吉
★りんご園斜面輝く銀白に/相沢野風村
★確かなり通過時刻を台風は/守屋光雅
★嵐明け道に撒かれし金木犀/岩崎楽典
★潮騒の遠し島の灯身に入みて/おおにしひろし
★秋風がきらきら光を投げて吹く/吉田晃
★今日の晴れ椰子の高みに広がれり/古田けいじ
★野菊咲く夜勤帰りの眼に白く/碇英一
★朝露の芝の青さやナイスオン/下地鉄
★一群れの萩鮮やかに叢に/岩本康子
★茹で栗のほっこり甘き陽の匂い/池田多津子
★坂道の何処かの家の金木犀/都久俊
★天高し脚立の上の老庭師/澤井渥
★台風雨傘を搾りて電車待つ/戸原琴
★そちこちで箒の音する野分晴れ/小原亜子
★野分き去りこぼれ銀杏拾う人/右田俊郎
★底石のきらきら光る秋の川/大給圭泉


▼選者詠高橋正子
秋風の祭りの幣を高く吹き
木犀の香り濃くなるところまで
赤松の匂う林の秋の暮
..2002/10/ 3(Thu)21:33

by 管理人

第44回入賞発表(10月1日)/高橋正子選評@


【金賞】
★橡の実の光るは落ちしばかりなる/磯部勇吉
橡の実は、栗より大きく、それより丸く栗色。大きな樹から離れ落ちたばかりの実が、実につややかなのである。「落ちしばかり」は、見慣れた光景だが、ここでこの時、橡の実の艶に深く心が動いた。(高橋正子)

【銀賞】
★木犀の香りの中でベルが鳴る/日野正人
木犀が一面香るなかに、始業や終業のベルが高く鳴り響く。筒抜けの青空、澄んだ空気をじかに感じることができる。濁音の「で」が、若々しく働いている。(高橋正子)

【銅賞】
★尾根に湧く雲のぬけゆく七竈/霧野萬地郎


【特選5句】

★朴の実のとがりて重し秋の森/岩崎楽典
朴については、「朴の花」は夏の季語だが、「朴の実」は季語ではない。「秋」が季語。おおらかな黄を帯びた白い花に比べ、朴の実は、忘れられがち。「とがりて重し」が、ひんやりとした秋の森の深さが感じさせてくれる。

★青空へ菊の蕾の固く張り/柳原美知子
大輪の菊の蕾であろう。しっかりと花を開くために、蕾はそれだけの力を溜めている。それが「固く張り」。青空に対比され、菊の蕾が鮮明な印象である。

★剥き栗の無垢なる白さ水に放つ/宮地ゆうこ
★晩学の窓より柿の赤さかな/加納淑子
★水美味し体に秋を纏う朝/藤田荘二
..2002/10/ 3(Thu)21:29

by 管理人

第44回入賞発表(10月1日)/高橋正子選評A


【入選24句】

★朝霧を押して船笛高かりき/岩本康子
★地平まで道まっすぐに枯野行く/多田有花
★煎り豆のかほる駄菓子屋秋うらら/池田和枝
★松手入見上げて朝の声かける/藤田洋子
★やしの葉へひそかにスコール始まりぬ/古田けいじ
★秋光にピアノの音符こぼれでる/岩本康子
★影法師ゆるやかに伸び九月尽/小原亜子
★白芙蓉紙の軽さを雨の打つ/山野きみ子
★女学生並びて歩き赤い羽根/相沢野風村
★紺色の朝顔だけが生きいきと/河野齊
★摘むごとに菊の香立ちて若き日に/守屋光雅
★花野はや独りとなりし風の音/大給圭泉
★朝化粧の長かり妻に紅芙蓉/冬山蕗風(正子添削)
★新藁のざっと積まれし納屋の軒/吉田晃
★熊野への道のしるべや走り蕎麦/平野あや子
★白萩の花こぼれ落ち傘の上/安増惠子(信之添削)
★公園の木の実落つ音風もなく/祝恵子
★秋桜の道セーラー服の行き交いて/池田多津子
★買いし書を開け十月の匂いする/おおにしひろし
★影法師ゆるやかに伸び九月尽/小原亜子
★靴紐を直す背中に草虱/都久俊
★朝顔の藍に色ます小雨かな/青海俊伯
★割れ石榴夕日にぎはふ集荷場/小峠静水
★昼ちちろ休耕田の中に鳴く/澤井渥


▼選者詠高橋正子
秋の潮満ち来る波の触れ合いて
耀いて海より煙る秋の島
毬栗の二夜弾けて卓にあり
..2002/10/ 3(Thu)21:28

by 管理人

第43回入賞発表(9月30日)/高橋正子選評


【金賞】
★富士山に雲あそぷ日の蜜柑狩/大給圭泉
「富士山に雲あそぶ」のおおらかで明るい捉え方に、読み手までものんびりした気持ちになる。富士山の見えるところで、蜜柑狩りを楽しむ麗らかな秋の日の風景が鮮明。

【銀賞】
★一本のマッチを摺れば霧動く/小峠静水
濃い霧の中で、煙草を吸うためマッチの火を摺った。マッチを擦るその動作によって、霧が動いた。霧の深さとマッチの火の出会いをイメージで読ませる。

【銅賞】
★白萩のトンネルくぐり夕焼け空/石井信雄
白萩のトンネルをくぐると、夕焼けに染まる空が広がっている。日常の風景だが、その中にも、ひと時は豪華な美しい風景があることに気づく。


【特選5句】

★稲刈られ鈴鹿連峰近くなり/澤井渥
★大河往き添いて揺るがぬ大花野/池田和枝
★霧の中より声かけられて朝早し/宮地ゆうこ
★ガジュマルの木下痩せ馬水を飲む/古田けいじ
<ケニアへ>
★アカシアの木々やはるかに青い空/多田有花


【入選18句】

★摺りたての米の温もり秋ともし/脇美代子
★飛騨の秋訛りみごもる朝の市/霧野萬地郎
★日の落ちて風化の狛犬冷ややかに/山野きみ子
★雁渡し観察小屋に望遠鏡/磯部勇吉
★群雀のどっと落ち込む大葦原/おおにしひろし
★萩の揺れ鏡に写り紅を刷く/平野あや子
★秋の潮真珠いかだの弧を描く/池田多津子
★上り月われを透かして影もなし/能作靖雄
★鯖雲の分かれて往けり一里塚/吉田晃
★帆掛け船風一杯に秋の海/高橋秀之
★紫蘇抜かれ石灰の白でこぼこに/柳原美知子
★ひつじ田に根を降ろしたる近江富士/碇英一
★新米洗うこぼせる水のふと匂う/やぎたかこ
★神社前バスを降りれば中稲かな/都久俊
★刈田畦座りて無口老夫婦/相沢野風村
★追憶の彼方の彼方紅芙蓉/冬山蕗風
★赤とんぼ落剥止まぬ道祖神/右田俊郎
★玄関には指南看板菊薫る/祝恵子


▼選者詠高橋正子
港湾の秋海波のあふれんと
鉄材にみどり波立つ秋の海
笹鳴らす風ひやひやと身に溜まる
..2002/10/ 3(Thu)21:23

by 管理人

第42回入賞発表(9月27日〜29日)/高橋正子選評@


【金賞】
★ざっくりと束ね新藁眼に青し/池田多津子
「ざっくり」と表現され、藁を束ねる音まで聞こえそうである。まだ青さの残る新藁が束ねられると、眼にはっきりと青が印象付けられる。

【銀賞】
★薄の穂見せて花束抱えくる/山野きみ子
花束の中に少しだけ抽き出て薄の穂が見えている。花束の中に、花野があるようである。「見せて」は、花束を抱えている人が意識的に見せているのではないが、見ているほうからすれば、「見せて」で、薄が心楽しく抱かれている様子をよく表現している。

【銅賞】
★秋の空警笛高く貨車走る/大給圭泉
澄み渡った秋の空に、高らかに警笛を鳴らして走る貨物列車。男の子ならずも、子どもは、時には大人も、こんな景色に憧れるのではないか。楽しく郷愁を誘う景色である。


【特選5句】

★秋の灯に栞はさみてページ閉ず/祝恵子
読みかけの本に丁寧に栞をはさんで、静かにページを閉じる。満ち足りた秋の夜のひとときが芳しい。

★竜胆描く墨の匂いの中にいて/柳原美知子
竜胆を水墨画か、墨彩画に描いているのだろう。墨の匂いが漂うほどに、葉や茎がみずみずしく墨で描かれる。花にはきれいな青い色が落とされると、私はうれしい。

★秋耕や四角の大地黒々と/日野正人
★秋空が水平線で海になる/吉田晃
★鳥群るる刈田の藁の明るさを/碇 英一
..2002/10/ 1(Tue)10:47

by 管理人

第42回入賞発表(9月27日〜29日)/高橋正子選評A


【入選30句】

★木の林檎雨滴滑らせ色となる/守屋光雅
★赤道の国より戻り彼岸花/多田有花
★ポプラ坂登りつ見上ぐ鰯雲/右田俊郎
★秋潮の大きく膨らみ輝けり/岩本康子
★十六夜へ椰子の木真っ直ぐ伸びて黒/古田けいじ
★月出でて沼は青さを失わず小峠静水
★朝月夜出漁の火の連なりて/平野あや子
★秋の雨竹青々と地鎮祭/澤井渥
★冬瓜を横抱きにして貰いけり/磯部勇吉
★塩漬けの穂紫蘇しゃきしゃき白ごはん/やぎたかこ
★球場の丸い外野が秋空占め/おおにしひろし
★コスモスを活けて朝会禁煙に/野田ゆたか
★新酒待つ古き杉だま動かざる/霧野萬地郎
★新米を炊き仏前に母忌日/冬山蕗風
★百貨店の広場の樹々が初紅葉/河ひろこ
★金属の冷気の林檎を摺りおろす/戸原琴
★また一つ馬齢重ねし林檎食う/安丸てつじ
★秋の暮たちまち灯る街路灯/池田和枝
★むらさきの通草が二つ魚篭の中/脇美代子
★秋雨にダンプカーみな荷台上げ/相沢野風村
★数珠玉も名札の付きて一区画/岩崎楽典
★黄菊を活け玄関ぱっと明るかり/堀佐夜子
★桐一葉風の便りと思いけり/加納淑子
★玉入れの玉天高く放り投げる/都久俊
★薄穂のはらりと解けて風立ちぬ/越前唯人
★まだ詠まぬ詩あり満天星月夜/冬山蕗風
★焼芋のほかほか匂う老人会/能作靖雄
★晩秋や何をか諭すごと暮れて/大石和堂
★不揃いの抜菜夕餉の一皿に/宮地ゆうこ
★無心にてドングリ拾う園児たち/津村昭彦


▼選者詠/高橋正子
りんりんと虫音に力ありて闇
 四国連合三田会にて2句
秋灯ジンジャーエールがあれば飲み
ともしびに芋煮の鍋の冷めずあり
..2002/10/ 1(Tue)10:46

by 管理人

第41回入賞発表(9月26日)//高橋正子選評


【金賞】
★ポケットに何もなき日の天高し/やぎたかこ
何もないということが、こんなにさっぱりと、そして晴れ晴れとしているものかと、強く思わされる。「秋高し」の季語が十分に生きている。

【銀賞】
★秋蒔きの畝の湿りを均らしけり/脇美代子
大変やわらかいリズムの句で、畝を均す鍬の音が聞こえそうである。「畝の湿り」からは、いろいろな程よさを感じる。

【銅賞】
★ひやひやと朝の空気の通し土間/平野あや子
「ひやひやと」は、正岡子規も使っていて秋の季語。古い民家の通し土間が、朝などは、いち早くひんやりとしてくる。秋冷をぴったりと言い得ていて、「朝の空気」は、新しい感覚。


【特選5句】

★吹く風の刈田となりて白くなり/澤井 渥
言うまでもないことだが、「吹く風の白くなり」と続く。刈田となってからは、稲を稔らせていた田もよく乾き、さびしくなって、しらしらとした感じになる。そこで「吹く風も白くなり」という感懐が湧く。しみじみとした佳句。

★水道水のいきおい葡萄はじけさせ/福島節子
★沢ごとに霧立ち昇る朝まだき/河野齊
★煙草消す靴跡残せし大花野/小峠静水
★彼岸過ぎ五箇山はなお曼珠沙華/能作靖雄


【入選21句】

★京大路上ルも下ルも秋日和/小原亜子
★夕暮のいろを増やして式部の実/加納淑子
★ごろごろと杓もじに当たる栗ご飯/日野正人
★鶏頭を引けばぱらりと膝に種/宮地ゆうこ
★埋もれる白にも紅にも萩の寺/山野きみ子
★懸崖の鳶舞う辺り野菊咲く/霧野萬地郎
★茜雲動かざるなり鳥渡る/右田俊郎
★秋の峰雲の影大きく落とす/祝恵子
★秋高し水平線の波やさし/相沢野風村
★店先の一盛香る青蜜柑/高橋秀之
★マンションの二枚ばかりの障子貼る/都久俊
★瓢箪の重みに垂れて塀の外/柳原美知子
★古本を探しあぐねて秋深む/冬山蕗風
★登校の道の明るし稲熟れて/藤田洋子
★秋冷の夕渚素足さらさら/おおにしひろし
★四五本と木々の根方に曼珠沙華/石井信雄
★川舟の乗り上げてきて水葵/磯部勇吉
★秋日受け「かごめかごめ」の石の像/岩崎楽典
★仏彫る手先の影や曼珠沙華/下地鉄
★カサカサと愛犬連れた早や落葉/津村昭彦
★心待ちの秋の揚げ羽蝶来てくれし/堀佐夜子


▼選者詠/高橋正子
叢に芒の金の穂の若し
大切なものとし買えり青レモン
秋今日も「三省堂」の金文字に