■さら句会/入賞発表(25)■

第131回(2月5日)〜第135回(2月11日)

by 管理人

第135回入賞発表(2月11日)/高橋正子選

【金賞】
★さくさくと刃にかろやかな春キャベツ/池田和枝
やわらかい春のキャベツを切る音がさくさくと快い。句のリズムも軽やかで、内容とマッチしている。

【銀賞】
★畝伸びる彼方に雪の剣岳/能作靖雄
雪の剣岳に向けて畝が伸びている広い景色が、鮮明に詠まれている。「畝伸びる」は、春を感じた表白といってよい。

【銅賞/2句】
★沈丁花の香りの中へバスを降り/古田けいじ
沈丁花の季節になると、こんな経験を毎年繰り返すように思う。沈丁花の深く強い、昔から変わらぬ香りに安心をする。

★春の雨上がり潮の香のなか歩む/野仁志水音
春の雨が上がると、潮の香がするところに暮らす作者であるが、雨の中に潮の香を感じ取った感性がフレッシュである。

【特選/5句】
★畦道の風の匂うや蓬餅/日野正人
★倒木を跨ぎ草萌ゆ野に出づる/平野あや子
★味噌香る店の格子に春夕焼/宮地ゆうこ
★日矢に舞う有るか無きかの春の雪/安丸てつじ
★梅咲いて新しき夜の暗さにいる/おおにしひろし

【入選20句】

★笹子鳴く欠けし野仏あるあたり/霧野萬地郎
★橿原の空晴れぬまま建国日/野田ゆたか
★月刊誌の農を手解く二月かな/今井伊佐夫
★茶畑の畝に音なく春の雨/右田俊郎
★芽吹き初む枝垂れ柳や水の音/加納淑子
★篁を梳きて二月の風抜ける/磯部勇吉
★春の庭眼鏡はずせば日がはずむ/小峠静水
★梅の木の蕾膨らみきって立春/藤田荘二
★木の影に陽炎い立てる美術館/岩本康子
★小さき手で犬ふぐり摘み上げて見す/祝恵子
★巫女の注ぐ神酒いただき梅祭る/山野きみ子
★鳥帰る高く小さく北に向き/相沢野風村
★春雨に少し濡れている荷物/多田有花
★戸を繰れば春霖四囲を包みいて/河勝比呂詩
★どの家もパンジー咲かせ色競う/堀佐夜子
★和紙干さる斜めに春日いっぱいに/池田多津子
★探梅の陶の狸も見ておりぬ/大給圭泉
★孫達も学校休み朝寝せり/都久俊
★寒もどる砂の走りし河口潟/澤井渥
★大山やバリッと望みし霜柱/津村昭彦

▼選者詠/高橋正子
春山に檸檬生りたり朴訥に
梅の香にいつか歯痛の混じりいる
石垣の緩みし上に桜芽木

by 管理人

第134回入賞発表(2月10日)/高橋正子選評

【金賞】
★真ん丸き春日平らな雲に入る/岩本康子
「真ん丸き」に勢いづいた緊張があって、「春日」の大きな丸さを読者に印象づけてくれる。平らな雲に落ちてゆく様は、大きな広い景色で、明日へ向う元気をくれる。

【銀賞】
★梅林にまた分かれ道ある広さ/霧野萬地郎
梅林は広くて、自然そのままのように、分かれ道まであって、別世界に入ったよう。梅の高貴な香りに包まれて洗心の一日であったことであろう。

【銅賞】
★ブロッコリーの蕾ひしめき春の朝/宮地ゆうこ
春の朝、森の緑のような蕾がひしめいく見事なブロッコリーに出会う。こんなブロッコリーに出会うと、単純に嬉しくなる。

★遠近に耕しの影見え始む/脇美代子
遠近に耕している人を見ると、春の農作業がいよいよ始まって、「耕し」の季節になったことを思う。「影見え始む」が春らしい。

【特選/5句】

★冴え返り杉枝添えて酒たまう/平野あや子
★草青む畦から畦へ足場板/今井伊佐夫
★百畳を開ければ眼下に冬の海/河ひろこ
★畦道の犬のふぐりに日が射して/堀佐夜子
★透きとおる水に色あり野水仙/大給圭泉

【入選21句】

★木蓮の蕾尖りて遊ぶ空/古田けいじ
★春の日に切り株ゆっくり温まる/祝恵子
★緋毛氈明るき店に雛ながむ/柳原美知子
★明けの星消えひたち野の薄氷/小原亜子
★白鳥の動くそこだけ凍らずに/守屋光雅
★一輪と見えてあちこち節分草/加納淑子
★雪解水の音の案内の道をゆく/能作靖雄
★砂風呂の起伏を流る春の風/日野正人
★早蕨の金やわらかき蒔絵かな/戸原琴
★春の浜砂は鏡のごとく光る/吉田晃
★屋門へ続く草田や春めける/石井信雄
★艫綱の弛みに付きしあおさかな/澤井渥
★凍解けてひと塊に鯉動く/磯部勇吉
★そこだけが春めき祭りの福笹売る/おおにしひろし
★春の鴨寄りて岸辺の餌に潜る/山野きみ子
★あれ蒔こうこれも植えよう春待つ日/右田俊郎
★春寒し甲斐甲斐しきは朝の鳥/河勝比呂詩
★春光に包まれローカル線の駅/多田有花
★薄氷細波載せて光おり/小峠静水
★旋回し雲を揺らして鳥帰る/相沢野風村
★植木鉢なにか芽の出て春めけり/都久俊
..2003/ 2/12(Wed)7:56

by 管理人

第133回入賞発表(2月7日〜9日)/高橋正子選@

【金賞】
★さらさらと水待つ音の種袋/大給圭泉
「種袋」を手に取ると、種が「さらさらと」音を立てた。芽吹きの「水待つ音」である。(高橋信之)

【銀賞】
★種まいて空の大きさ見る農夫/堀佐夜子
種蒔きを終えて、安堵の息遣いで空を見上げる。うす曇りの春の空だろうか。種蒔きをした畑や空が広々として気持ちが晴れる。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★春立つや御厨子に朝の光満つ/野田ゆたか
春立つ朝の明るい光が、どこにも、御厨子にも満ちて、春が来たことを感じる。しずかな心満ち足りる朝である。(高橋正子)

★鍬深く返せば春日の匂い立つ/宮地ゆうこ
土に鍬をいれて深い土を掘り返すと、光りに触れた土は、土の匂いではなく、春の日の匂いを返してきた。土の輝きが南国の春なのである。(高橋正子)

【特選5句】

★巻尺を伸ばし春陽を測る朝/おおにしひろし
「巻尺を伸ばし」、早春を感じ取ったのである。そこに俳があり、詩がある。(高橋信之)

★枝の揺れ止まることなく鳥の恋/日野正人
★春きざす野口雨情の歌碑の空/今井伊佐夫
★早春の雲無き空を出勤す/古田けいじ
★春の鵯声軽やかにすっ飛べり/磯部勇吉
..2003/ 2/12(Wed)7:53

by 管理人

第133回入賞発表(2月7日〜9日)/高橋正子選A

【入選24句】

★案内図のまず白梅の道を行く/加納淑子
★ニン月の星を数えて遠い道/霧野萬地郎
★潮の香を散らして浅蜊水を吹く/池田多津子
★海流の冷たさ持てる潤目割く/脇美代子
★丘登り来て風匂い梅匂い/藤田洋子
★春立ちて絹の軽さを身に纏い/柳原美知子
★凍解けて幹の太きも濡れ色に/山野きみ子
★大降りの春雨冷たく地の中へ/野仁志水音
★濁りみな水底に沈め冴返る/吉田晃
★桃の花車で運びて香の中に/相沢野風村
★雪解けの明るき朝(あした)深呼吸/岩本康子
★影細きまんさくに日のやさしけり/加納淑子
★春めくや茅新しき長屋門/石井信雄
★魚河岸の甲高き声二月かな/小原亜子
★蛇口より一滴つづの余寒落つ/小峠静水
★春淡し飛機の灯それぞれ色違え/祝恵子
★青空へ梅の蕾の零れけり/古田けいじ
★ふくらみて憩う小鳥に春の風/右田俊郎
★春光射す窓辺の卓に影法師/冬山蕗風
★試験後や冬木は黒く立っている/龍造寺規谷
★早春の羽音かすかに薮の奥/平野あや子
★春はじめ赤子は丸き指を持つ/多田有花
★丹精の菜の花ひろがる風土記の丘/河勝比呂詩
★薄氷を透かして空の歪みかな/池田和枝

▼選者詠/高橋正子
水仙に落ちる水音さわさわと
石垣の緩みし上に桜芽木
二月晴れ空の青さを眼に深く
..2003/ 2/12(Wed)7:53

by 管理人

第132回入賞発表(2月6日)/高橋正子選評

【金賞】
★ばさと雪落して帽子濡らしたり/今井伊佐夫
突然に思わぬほどの雪がばさと落ちて、帽子を濡らしてしまった。雪を載せた木の枝に、頭が触れたのであろうか。作者は飛騨の下呂温泉に住み、雪深い地方の生活を見せてくれる。

【銀賞】
★平らかな四温の海へ石を投げ/霧野萬地郎
四温ののどけさを身をもって感じている作者をこの句に見て、湘南の海の広く平らかな風景を思った。平らかな海に石を投げて滑らせる遊びが、少年のようだ。

【銅賞】
★滑り台に子供つぎつぎ春めく日/加納淑子
「子供つぎつぎ」のリズムが軽くて、春めく日の軽やかな気持ちにふさわしい。滑り台を滑る子供たちも身軽な動きになって、子供たちこそ「春めく日」を体に感じているようだ。

【特選/5句】

★春禽の瑠璃走らせつ汀まで/平野あや子
★梅白く日々新しき空に咲く/藤田洋子
★水車回る春の陽光零しつつ/古田けいじ
★夜の明けて名残の雪の眩しかり/磯部勇吉
★春光をドア開け入れる玄関に/堀佐夜子

【入選16句】

★氷解く義経伝説残る地も/大石和堂
★立春の朝前髪を切り揃う/野仁志水音
★ぼうぼうと霧笛まじかに冬喫茶/おおにしひろし
★鶏の声春立つ日には柔らかし/祝恵子
★潮風の野水仙を波立たす/大給圭泉
★春浅し入り江に日輪淡く揺れ/岩本康子
★いっぱいの息ゆっくり吐く春立つ日/相沢野風村
★春の雪受けてペダルを踏み行けり/多田有花
★春時雨貨物列車の汽笛鳴る/高橋秀之
★猫柳床より眺む庭の雪/能作靖雄
★春の朝日差し込む厨窓/澤井渥
★ものの芽の小庭あちこち嬉しげに/河勝比呂詩
★寒禽の木立に届く声尖る/小峠静水
★春立つ日暮れてやさしき町灯り/宮地ゆうこ
★三つ葉入れ熱き出汁にて明石焼/都久俊
★早春の光流るる隅田川/小原亜子

選者詠/高橋正子
戸に低く春光ありて目覚めける
水仙の香の玄関を満たしける
春の朝時計の音の息づかい
..2003/ 2/12(Wed)7:49

by 管理人

第131回入賞発表(2月5日)/高橋正子選評

【金賞】
★ハナミズキの芽ぐみに飛機が下りてくる/おおにしひろし
破調で、一句一章であって、詩情のある句である。これら大変難しいことをこなして、清新な季節感覚でハナミズキの芽ぐみと飛行機の出会いを捉えている。

【銀賞】
★水仙を抱えて岬より帰る/脇美代子
さっぱりとした句で、水仙がすがすがしく詠まれた。岬に咲いていた水仙を腕に抱えて帰ってきた、その自然さが好もしい。

【銅賞/2句】
★立春の鳥影つよく窓横切る/宮地ゆうこ
春立つ日の窓を、力強く横切るものへの驚きが新鮮。春は淡い思いだけでなく、力強く羽ばたくものがいることに、生活への意欲が湧く。

★浮き雲へ奔放なりし冬木の秀/石井信雄(正子添削)
のどかな浮雲に、奔放に枝を伸ばした冬木の秀先が、触れそうである。冬木の奔放さを許したのは、天の慈しみか。

【特選/5句】

★遠くにも見える白さに梅の咲き/古田けいじ
★奥飛騨の蚕飼祭に雪五尺/今井伊佐夫
★いぬふぐり風吹きぬけて空軽し/脇美代子
★雪原のこれより先は日本海/河ひろこ
★フリージヤ抱く子の顔のかがやけり/大給圭泉

【入選18句】

★寒明けやスポンジケーキを半分こ/多田有花
★春立つや河口に波の逆らわず/磯部勇吉
★牡丹の芽その色づきに意志を見る/河勝比呂詩
★春なれやスカーフなびく萌黄色/平野あや子
★冬すみれ路地にも生きて濃紫/山野きみ子
★なわとびの軽く風切る音二月/藤田洋子
★春雪や雲間は晴れの水の色/加納淑子
★旦柑や不細工のまま積まれおり/下地鉄朗
★梅が香や黄ばみし写真ほのかなり/能作靖雄
★校庭の木立一斉に雪の花/日野正人
★大臼に少年の日の祝い餅/吉田晃
★少年の日の春の光が子らの背に/池田多津子
★たらの芽の旬の苦さを和えており/祝恵子
★寒雀赤い実落つればそこに落つ/相沢野風村
★ブランコのペンキ塗りたて草萌える/澤井渥
★羽根布団どかんと干して海眺む/野仁志水音
★鳶啼けり海苔の青さの岩畳/霧野萬地郎
★空の色昨日とちがう春の色/堀佐夜子
★ふるさとの菜虫と思い這わせおく/小峠静水