■さら句会/入賞発表(24)■

第126回(1月29日)〜第130回(2月4日)

by 管理人

第130回入賞発表(2月4日)/高橋正子選

【金賞】
★高枝がまた高くなる春立つ日/古田けいじ
高いところの枝が、今日が立春と思うといっそう高く空に伸びていく感じがする。感じだけでなく、実際そうなのかもしれない。立春という季節の巡りに、木も人の心も伸びやかになる。

【銀賞】
★春来れば万年筆の滑り良し/霧野萬地郎
春が来て気温が上がると、実際インクの出も良くなるのかも知れないが、気持ちの上でも、さらさらとものを書きたい気持ちになる。「滑り良し」に春らしい、少しうきうきした気持ちがある。

【銅賞/2句】
★立春の雲のちぎれて空青む/磯部勇吉
これまでの冬空と違って、立春の空は、雲がちぎれてはっきりとした青い色の空が覗いた。「空青む」は、地味な表現だが、感動がある。

★早春の水面ふわりとくらげ浮く/平野あや子
何気なく覗いた海に、透き通ったくらげがふわりと浮いて、春浅い海の淡さがよく出ている。春を迎えたささやかな喜びがある。
【特選5句】

★立春の名のみの空の重くある/山野きみ子
★地吹雪にも白樺温き芽を捧げ/藤田荘二
★豆撒の屋根に弾んで星明り/宮地ゆうこ
★早春の梢艶もつ雑木山/澤井渥
★立春に木床の艶の光りおり/相沢野風村

【入選14句】

★立春の陽のやわらかき日となりぬ/祝恵子
★落日の街染めつくし春立つ日/加納淑子(正子添削)
★春なれや雲がからまる富士の山/多田有花
★春潮の波静かなり岸を洗う/岩本康子
★関取のむんずと掴む鬼の豆/池田和枝
★暁の星一つ澄み今日立春/藤田洋子
★明けやらぬ春立つ空に金星が/堀佐夜子
★春きざす水平線に船ひとつ/大給圭泉
★浅春の海辺に桜貝捜す/都久俊
★寒明けの音いそしみてタイピスト/小峠静水
★初午や赤赤赤の門くぐる/今井伊佐夫
★立春や神宮の森凍てし風/能作靖雄
★糟糠の妻傍におり初旅行/冬山蕗風
★母として母なる子おもふ雛飾/河勝比呂詩

▼選者詠/高橋正子
ねぎ一本水の棒のごときもの
立春の畑の土に水が足る
立春の夕焼けわずか山ぎわに

by 管理人

第129回入賞発表(2月3日)/高橋正子選

【金賞】
★石積みて冬果つ港出航す/平野あや子
石を積んだ船は、喫水を深くして、船首を少しもたげて潮をなみなみと分けて港を出て行ったのであろう。「冬果つ港」の表情が豊かである。

【銀賞】
★春近し幹の周りに日矢の射す/相沢野風村(正子添削)
どの樹の幹の周りにも日矢が射して、樹の幹が輝いて、もう春が来ることは間違いない。春を待つ心がうしそうである。

【銅賞/2句】
★ふるさとの納戸の闇へ豆を撒く/古田けいじ
納戸は暗くて、ひんやりとした思い出がしまわれている場所でもあろう。その暗がりに、追難の豆を撒く。少し寂しくなった故郷の節分である。

★節分や日矢透き通る明るさに/堀佐夜子
節分ともなれば、暦は正直といおうか、確実に明るい日が射してくる。眺める目には、透き通るような光りとなって映る。

【特選5句】

★猫柳水ささやきつ光りつつ/山野きみ子
★春近し光溢れる音楽堂/岩本康子
★潮時か冬涛騒ぐ河口港/河勝比呂詩
★冬尽くやガラスのビルに空が満つ/多田有花
★水仙を手渡されつつ香りかぐ/祝恵子

【入選15句】

★冬の星指さす吾子を肩車/高橋秀之
★梅が枝を水にて切れば水光る/吉田晃
★木の肌の少しつけたる芽吹きかな/小峠静水
★軒氷柱落とせばどどど鶏騒ぐ/守屋光雅
★しらじらと昼の半月ふきのとう/大給圭泉
★明日立春運河は煌き満ちてくる/古田けいじ
★四つ角に豆ころころと春の音/池田多津子
★老僧の声朗々と豆を撒く/霧野萬地郎
★風花のふっと溶けゆく青き空/高橋秀之
★明日からは春となる日の靴磨く/宮地ゆうこ
★冬鳥の啄ばむ青菜無残なり/脇美代子
★しんしんと灯りを放つ冬の駅/野仁志水音
★なまけ鬼打たれし豆を拾いをり/磯部勇吉
★塀越しに子犬覗いてクロッカス/池田和枝
★畝の菜の高きところに花のあり/澤井渥

▼選者詠/高橋正子
節分の空漆黒に地を包み
節分豆のわずかばかりを炒る音を
節分豆一つは座布団の上に
..2003/ 2/ 5(Wed)22:35

by 管理人

第128回入賞発表(1月31日〜2月2日)/高橋正子選@

【金賞】
★雪吊りの縄張り緩むこともなし/守屋光雅
素直な写生だが、少しの緊張があって、過不足がない。作り手の心境がいい。四国では、「雪吊り」を見ることがない。(高橋信之)

【銀賞】
★朴ノ木の芽のとんがれる散歩道/今井伊佐夫(正子添削)
朴の木の芽の大きさ、固さが「とんがれる」に読み取れる。そんな朴の芽を楽しみながらの散歩は、春がすぐそこに、という思いを膨らませてくれる。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★地球儀をくるりと回し冬送る/平野あや子
冬は、家に篭りがちだが、「地球儀」を「くるりと回し」てみれば、世界はひろびろとして、楽しい。俳句は広々とした世界なのである。わたしの好きな句。(高橋信之)

★待ち侘びし蕗のとう漬け馥郁と/安丸てつじ
俳句の言葉に実感があるので、読み手にも「馥郁と」匂ってくる。季節の食材は、生活を楽しくする。(高橋信之)

【特選5句】

★陽へ伸びてつぼみ膨らむ桜草/古田けいじ
★卵割る朝の光りに二月来る/藤田洋子(正子添削)
★息白し仏前に供う経一巻/河勝比呂詩
★ゆるやかに切干の色変わりゆく/池田多津子
★陽のしずみ星かがやけり寒桜/大給圭泉(正子添削)
..2003/ 2/ 5(Wed)22:29

by 管理人

第128回入賞発表(1月31日〜2月2日)/高橋正子選A

【入選23句】

★意志強く生きて紫紺の冬菫/池田和枝
★新聞が二月の朝を告げに来る/日野正人
★春めける空に張りたる枝黒し岩本康子
★山茶花を窓辺に一輪寒気断つ /藤田荘二
★深雪晴どっと晒せし唐辛子/磯部勇吉
★春近き河口群青に日矢の射す/山野きみ子
★土間湿りほのかに葱の香動きけり/小峠静水
★隼の一気に翔ける大空を/霧野萬地郎
★冬耕の線まっすぐに交差する/脇美代子
★四温へと節目の雲の流れ継ぐ/野田ゆたか
★文字に陽をあたえ本読む冬列車/野仁志水音
★夕風に揺れるも白梅咲く用意 /古田けいじ
★冴返る掘られし土の固まりに/吉田晃
★マンションの窓より聞こゆ鬼やらい/堀佐夜子
★ひとしきり揺れて真白き雪柳/宮地ゆうこ
★冬晴れの青空横切る雲速し/日野正人
★旧正や紅い獅子舞う中華街/都久俊
★椿という名の漁港に冬 /河ひろこ
★春隣更地の分譲旗ゆれる/祝恵子
★終電車去りて北風夜明けまで/相沢野風村
★風光る一艘の船佇みて/冬山蕗風
★群れ千鳥翻るとき羽白し/澤井渥
★園丁の焚き煙る香や春隣/河勝比呂詩

▼選者詠/高橋正子
目に雪もつめたし向かいの畑に積み
水仙の花畑土へ動きでる
寒潮の港に満ちて空映す
..2003/ 2/ 5(Wed)22:29

by 管理人

第127回入賞発表(1月30日)/高橋正子選

【金賞】
★雪晴れの強い光が窓に来る/池田多津子
雪晴れのけがれない光と強さと、そのたくさんを、自身にしっかりと受け止めた率直さがよい。「窓に来る」が句を詠んだ作者の位置を明確にして、作者の視線の向きのよさを感じる。

【銀賞】
★大根の土塊叩き落としたり/今井伊佐夫(正子添削)
大根を抜くと、畑の凍みて湿った土が大根についてくるが、それを手で「振るう」のではなく、「叩き落とす」というのが、寒中の大根を表して生活実感が確かである。

【銅賞】
★早梅や海光展く磴のぼる/平野あや子
石段を登って行くにつれて、光りを返している海が良く見えてくる。それが「海展く」。海の光に、早咲きの梅の香と花がいっそう清らかになった。「早梅」の季感をうまく捉えた。

【特選5句】

★粉雪の一葉一葉に真白かり/岩本康子
★冬茜一と日の嵐過去とせし/河勝比呂詩
★雪しまき並んで帰る小学生/多田有花
★麦青む一村覆う雲の影/澤井渥
★湖ひとつ水尾引きわけて鴨群るる/磯部勇吉

【入選17句】

★寒日和陽射し燦々今朝の幸/堀佐夜子
★一羽だけ野鶏飼われて寒卵/古田けいじ
★青空は決して動かぬ虎落笛/霧野萬地郎
★都鳥風に煽られ波を蹴る/山野きみ子
★観覧車春の空へと吸い込まれ/冬山蕗風
★今朝の雪華やぐ樹々の光なり/河ひろこ
★霜踏んで明るい野原へ出ておりぬ/脇美代子
★凍雲の薄きに星のちらばりて/宮地ゆうこ
★皿に置く和菓子に少し春の色/吉田晃
★風止みて雪とこすれる靴の裏/龍造寺規谷
★一突きでわれぬ氷よ朝の瓶/祝恵子
★吹雪きつつ鴎はゆったり風になる/おおにしひろし
★石蕗の花参道暗き神社かな/戸原琴
★雪流る濃淡ありて山黒く/相沢野風村
★雪の峰今日一日の顔を見せ/能作靖雄
★旅立ちの夫送り出て眉の月/大給圭泉
★電線の雀に見られて布団干す/小峠静水
..2003/ 2/ 5(Wed)22:21

by 管理人

第126回入賞発表(1月29日)/高橋正子選

【金賞】
★葉を打てる音の高鳴り霰降る/藤田荘二(正子添削)
霰が降り始め、瞬く間に音高く葉を打って降り出した。霰の降る勢いの高まりに、その音が耳に押し寄せて聞こえる。句にあるグレーのイメージがいい。

【銀賞】
★奴凧糸に抗い高みへと/小原亜子
少年が揚げている奴凧だろう。手許に糸を引く力と揚力でぐんぐんあがってゆく。「糸に抗い」には、すでに高く揚がっている凧に、よく風が吹いて、引く糸に抗ってさらに高みへという様が読み取れ、凧揚げの緊迫感がある。

【銅賞/2句】
★群青の四温の海に水脈長し/石井信雄(正子添削)
四温の静かな海の青さを、彫るように長く引かれてゆく水脈が、伸びやかである。四温は天の賜物。

★粉雪と日差しが交互にやってくる/多田有花
粉雪が舞ったと思うとまた日差し届いている。日差したり、降ったりの天気の変化に、時のしなやかな流れが見える。

【特選6句】

★冬枯れを雲の翳りの走り来る/吉田晃
★凍土の音の確かさ足裏に/池田和枝
★颯爽と長いマフラー二十歳なる/堀佐夜子
★雪煙の隙間に見える街明かり/日野正人
★雪載せし車の島へ渡り継ぐ/平野あや子
★日脚伸ぶアロエの花の濃き色に/脇美代子

【入選18句】
★冬波の立ちて鴎の宙を舞う/山野きみ子
★米一合寒九の水を蛇口より/小峠静水
★水仙の水替えて揺れ激しくす/加納淑子
★雪降りて町は鉛となり沈む/大石和堂
★初場所の楽日混み合う喫茶店/澤井渥
No.3069 2003年01月30日 (木) 01時21分
その4 管理人

【入選A/13句】

★さまざまな水鳥睦む混ぜあいて/霧野萬地郎
★雪掻きを終えて心身爽快に/磯部勇吉
★雪解けの畑が青い空のなか/野仁志水音(正子添削)
★山茶花に逆さの目白蜜をすい/祝恵子 (正子添削)
★お隣に紅梅窓に映りけり/大給圭泉(正子添削)
★冬の燈を辿りて熱き珈琲飲む/河勝比呂詩
★すっぱりと烈風の白椿剪る/おおにしひろし
★少女らの声明るかり雪景色/岩本康子
★干し上がる布団の匂い病む母に/右田俊郎
★マフラーが胸より先行くビル突風/古田けいじ
★湯豆腐を飲み込み忘る寒さかな/能作靖雄
★雪踏みし音闇夜に吸い込まれる/龍造寺規谷
★はとバスの港横浜寒時雨/今井伊佐夫