■さら句会/入賞発表(23)■

第121回(1月22日)〜第125回(1月28日)

by 管理人

第125回入賞発表(1月28日)/高橋正子選評

【金賞】
★村ひとつ嵩高くなる霜柱/霧野萬地郎
霜柱がよく育った静かな村。こじんまりとした一村のたたずまいに冬の深さがある。

【銀賞】
★大根の白さを今日もまな板に/祝恵子
冬の間の食材として欠かせない大根の白が、目にみずみずしい。また今日の新しい白となって刻まれる。日々の新しさがさわやか。

【銅賞/2句】
★乱舞して風花海に吸われゆく/岩本康子
海に吸い込まれてゆく風花の幻想的な美しさが詠まれて、動きがあって、風花が海上に舞う様子が目に見えるようだ。

★水溜まり飛び越え冬の虹あおぐ/野仁志水音
水溜りを飛ぶこと、虹をあおぐこと。これらに読者は、希望が湧いてくる。たくさんの未来の希望が見えている。

【特選5句】

★枯れ木霊直角に落ちて杉・檜/小峠静水
★天気予報いろいろ揃い冬深し/河ひろこ
★闇より出雪明り地に広がれり/相沢野風村
★風花の散ると言はざり絵馬に咲く/河勝比呂詩
★大寒の星流されて雲の中/吉田晃

【入選19句】

★春隣る畑に光る水たまり/宮地ゆうこ
★早咲きの梅に小雨が降っている/多田有花
★水仙の郷へ向かいし郵便車/平野あや子
★富士の嶺に吹く風見える雪煙/脇美代子
★冬篭り寡黙の部屋の置時計/山野きみ子
★舞う小雪追って子らの声も舞う/池田多津子
★よく晴れて山鳩の声春隣/加納淑子
★寒月に伴なわれて着く旅の人/河ひろこ
★冬耕に白鷺四五羽付いてくる/堀佐夜子
★スキーから信濃の味噌買い子が帰る/古田けいじ
★木道に雪解雫のシンホニー/磯部勇吉
★吹く風の冷たさのなかに春の匂い/野仁志水音
★校舎からバス停へ向かう道寒し/龍造寺規谷(正子添削)
★十車目の生コン車来て冬暮るる/おおにしひろし
★鴨遊ぶ川に夕日のとどきけり/大給圭泉
★渡り鳥道なき道を還り来る/能作靖雄
★水仙花眺めつつゆく老の旅/冬山蕗風
★雪の川白鷺一羽舞い立ちぬ/今井伊佐夫
★冠雪の伊吹は奥の奥の山/澤井渥

▼選者詠/高橋正子
水仙の咲き落つところ漁港あり
水仙を見しまなざしを海原へ
海に沿う列車に香る蓬もち
..2003/ 1/29(Wed)9:22

by 管理人

第124回入賞発表(1月27日)/高橋正子選評

【金賞】
★吸い上げし水の清さに福寿草/吉田晃
寒中の水であろう、水をもらい、しっかりと吸い上げて花を開いた福寿草は、「清さ」そのものとなった。福寿草の表現としては、新しい発見の句である。

【銀賞】
★氷瀑に蒼はりつきて静まりぬ/小原亜子
瀑が落ちるまま凍ったのが氷瀑。氷の神秘的で深遠な「蒼」の色が格調高く詠まれた。

【銅賞/2句】
★海風に晒して切干旨味増す/右田俊郎
海の風と日をあまねく受けた切干大根が、旨味を増して出来上がった。自然の恵みのあたたかさを思う。

★凍蝶に少し飲まそかコップ酒/大石和堂
寒さに凍える蝶に、ほんの少しで足りるのだが、コップ酒でも飲ませて、その凍てを解いてやりたいものだと思った。飄々とした仏ごごろがなんともよい。

【特選6句】

★冬晴れて園児ら歌い土手をゆく/宮地ゆうこ
★つらら落ち微かに馬の嘶けリ/池田和枝
★コンビニで小春の水を買うて見る/小峠静水
★凍蝶の触るれば生命軽きかな/大石和堂
★日脚伸ぶ踏みかわし行く影法師/山野きみ子
★傘いらぬほどの雨降る水仙花/堀佐夜子

【入選20句】

★葉の張りを青空に向けフリージア咲く/吉田晃
★冬凪ぎて海一枚の色を張る/藤田洋子
★訛り乗せ列車の走る冬日和/日野正人
★新雪に影焼き付けて大白鳥/磯部勇吉
★冬萌えの道あつまりて天守閣/おおにしひろし
★川まぶし揺れる影あり猫柳/大給圭泉
★胸いっぱいに冬の朝陽の匂い吸う/野仁志水音
★街灯を包み込みいて雪が舞う/龍造寺規谷
★機首上げて冬果つ空へ吸い込まる/平野あや子
★水仙の葉に弾く雨きらきらと/脇美代子
★白梅のつぼみと夜来の雨粒と/古田けいじ
★上野駅吹雪の貌で汽車が着く/霧野萬地郎
★冬尽くや雨は静かに降り始む/多田有花
★降るほどに土の匂いや寒の雨/加納淑子
★杣山や声行き還り雪深し/能作靖雄
★一月や庭のトロ箱雨はじく/祝恵子
★初稲荷買いしみかんの苗重し/澤井渥
★雑炊や南部小鍋に散り蓮華/河勝比呂詩
★寒暁一番メール届きおり/冬山蕗風
★産土の玉垣新た雪帽子/今井伊佐夫

▼選者詠/高橋正子
海光のあおき反射の水仙に
冬灘の碧引き寄せて駅ホーム
打ち寄せる潮の香濃きは春隣
..2003/ 1/28(Tue)18:11

by 管理人

第123回入賞発表(1月24日〜26日)/高橋正子選評@

【金賞】
★深海の青さ浮き出る冬の海/日野正人
「深海の青」は、深海の透明度の高い濃い青である。その色が冬海に浮き出たかのように所々に見える。広く凪いだ晴れやかな海である。

【銀賞】
★ヒアシンス水栽培に分厚き葉/堀佐夜子
水栽培のひ弱さを微塵も感じさせないヒアシンスの分厚い葉。これから開くヒアシンスの花が、しっかりと香ってくれることを思わせてくれて、安定感のあるしっかりした句。

【銅賞/2句】
★故里の雪匂わせて餅来る/安丸てつじ
故里から届けられた餅に、懐かしい雪の匂いまでついてきた。故里から届いたものへの嬉しさと懐かしさが、ひんやりとした叙情をもって詠まれた。

★縄跳びの縄軽やかに回りけり/多田有花
縄跳びの縄が軽く子どもたちの足を掬っては回る様子が楽しくて、読み手の気持ちを軽くしてくれる。

【特選5句】

★セロリ噛む一口二口音させて/祝恵子
★寒の水満せし庫裡の豆腐桶/野田ゆたか
★氷雨つきフェリーゆっくり湾奥へ/河勝比呂詩
★風花や岬めぐりのバス発ちし/平野あや子
★水仙の束ねしが揺れ香り揺れ/池田和枝
..2003/ 1/28(Tue)18:08

by 管理人

第123回入賞発表(1月24日〜26日)/高橋正子選評A

【入選32句】

★海青し丘の水仙咲き満つる/藤田洋子
★山どっとなだれて咲ける水仙花/おおにしひろし
★白雲のゆっくり動き冬木の芽/岩本康子
★枝撓り黙してあがる雪煙/河ひろこ
★街路樹の冬芽煙れり遥かまで/馬場江都
★沈黙の冬は眼下に分水嶺/霧野萬地郎
★遠山も新雪かさね富士清か/石井信雄
★ういろうの冷たさ底に旅鞄/脇美代子
★大寒の枝々銀に漲りて/戸原琴
★冬耕の土黒々と崩れけり/古田けいじ
★野水仙風強き日の濃く匂う/大給圭泉
★冬空に大きな口のうがいの子ら/池田多津子
★うるめ焼く炎も煙も青く透け/宮地ゆうこ
★御嶽の裾広がりし雪山河/今井伊佐夫
★寒凪に水分けながら巡視船/下地鉄朗
★大ラグビー息整えてキックする/守屋光雅
★冬帽子ぐっと引き下ぐ向かい風 /岩崎楽典
★寒鯉の生きてる重さを苞の中/小峠静水
★蕗の薹山神さまに手を合わす/冬山蕗風
★雪深し靴の重みが増してくる/龍造寺規谷
★ラーメンの匂いに誘われコート脱ぐ/堀幹夫
★雪掻きに明けの明星ひとつあり/相沢野風村
★素麺干す雲の動きを確かめて/澤井渥
★日と語る冬木の瘤に耳当てて/山野きみ子
★粉雪に友と語る未来のこと/野仁志水音
★白鳥の吐く息白く湖暮るる/磯部勇吉
★寒の水足してヤカンの音静め/吉田晃
★冬晴れや軒の雫もリズミカル/能作靖雄
★寒の雨屋根なき駅に降り注ぐ/高橋秀之
★黄昏の巷の人ぞ氷雨かな/津村昭彦
★箱開けて一年振りの雛の顔/都久俊
★寒梅のほころぶ社に笙の笛/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
寒晴れの海の浮標のかろやかに
枯山の枯れのむらさきだつ命
寒晴れに海苔の香うれしきにぎり飯
..2003/ 1/28(Tue)18:07

by 管理人

第122回入賞発表(1月23日)/高橋正子選評

【金賞】
★水仙の茎青々とガラス器に/岩本康子
水仙の真っ直ぐな青い茎。ガラスの花器に透ける「青」という色が、大変に美しい。茎の先には、水仙の花がもちろんあることだろうし、その香気だけを暗示して、茎の青を印象づけている。

【銀賞】
★冬萌を乳牛静かに踏んで寄る/古田けいじ
冬萌を踏んで寄ってくる乳牛が、おだやかでゆったりとして、ここでは時間の流れが特別なようである。ゆたかな乳と冬萌のみどりが牧歌的で心和む。

【銅賞/2句】
★葉牡丹の渦引き締まる明けの空/藤田洋子
葉牡丹の渦が、引き締まるような明け方の空。また逆に、寒冷な空気と曙光が、そのまま葉牡丹となったような朝。身の引き締まる朝である。

★憧れのとどくところに冬の虹/多田有花
憧れは遠くない。冬の虹のでているところ、そこに憧れがある。憧れの世界を現実の虹に置いたところに、甘くなりがちな発想を手堅く句に纏めることができた要因がある。

【特選5句】

★口元に迫る冷気を吹き飛ばす/龍造寺規谷
★風邪の眼の黒眼大きくこぼるるほど/戸原琴
★風邪薬飲んで眠るよ昼ふかく/堀佐夜子
★赤マフラーぐるぐる巻きの小学生/日野正人
★毛糸編む昼も灯ともし雨の音/山野きみ子

【入選19句】

★冬空に澄む音鉄骨組まれゆく/大給圭泉
★木蓮の冬芽ぬくぬく逞しくも/河勝比呂詩
★雨上がる寒の灯胸に迫るごと/加納淑子
★雪降って枝こまごまと見えて来し/磯部勇吉
★寒渚埋め尽くしたる蜆殻/澤井渥
★街路樹に雪積み枝の連なれり/相沢野風村
★シーソーにジャンバー姿の子の二人/祝恵子
★海の凍て残せし生牡蠣酢に浸す/おおにしひろし
★峠越へ水仙郷への旗吹かれ/平野あや子
★冬苺祖母とならんでじゅっと噛む/野仁志水音
★駐車場いささか遠き雪しぐれ/岩崎楽典
★水仙の匂いを胸に家路着く/冬山蕗風
★水仙の四方に向いて花開く/吉田晃
★野に山に庭も道路も牡丹雪/能作靖雄
★大寒の雨なりどこかほっとして/多田有花
★明け方の生駒遥かに雪帽子/高橋秀之
★マスクして北風睫毛に突きささる/小峠静水
★川岸に薄氷を踏む白鳥ら/守屋光雅
★魚屋の水槽冬日が貫いて/宮地ゆうこ

選者詠/高橋正子
寒の雨細かにかかる蕾など
青がかる蕾となりてヒアシンス
手袋をいつか揃えて手に持てる
..2003/ 1/24(Fri)12:36

by 管理人

第121回入賞発表(1月22日)/高橋正子選評

【金賞】
★冬満月欅は芯より枝を張る/脇美代子
木の芯から枝を空へと広げた欅は、冬満月の照らす空を細やかに透かして、透明感のある画を描いている。(高橋正子)

【銀賞】
★靴跡を浅く残して雪止みぬ/河ひろこ
雪に残る靴跡に、また雪が降って止んだけれども、靴跡は埋まりきらずに、浅くやわらかに残っている。雪は、物語るようにやさしく降って止んだのであろう。

【銅賞/2句】
★玻璃越しに大寒の空ゆたかなり/小原亜子
雲の多さ、空のひろがりなど、大寒の空の大いなるゆたかさである。部屋内の暖房に居ての感受であろう。

★霜晴れの坂道から来る登校生/日野正人
霜の降りた日は、よく晴れる。白息を吐きながら、坂道を登校してくる生徒たちの元気よさが明るい。

【特選5句】

★日脚伸ぶ立山蒼く厳めしく/能作靖雄
★夜半の雨凍てて輝く道に出る/多田有花
★熱きスープみどりに冬の菠薐草/山野きみ子
★大寒や火のなき部屋も昏れんとす/藤田荘二
★鶏歩む別の冬日にも鶏歩む/小峠静水

【入選20句】

★校庭に芽吹きを待てる枝の張り/藤田洋子
★放課後の寒増しゆけり明日試験/岩本康子
★榛の枝しなりて花の風に揺る/磯部勇吉
★ゆるやかに押し合い電車へ寒ゆるむ/戸原琴
★濃きみどり静かに膨らむブロッコリー/古田けいじ
★枯草の幾千続く淡々と/相沢野風村
★黒々と雪の合間を縫う足跡/龍造寺規谷
★幾日もかけて開きし福寿草/吉田晃
★水仙の香に包まれて目覚めゆき/平野あや子
★探梅行車椅子なら二キロまで/堀佐夜子
★水仙へ三歩で行ける勝手口/宮地ゆうこ
★魚臭き町一筋に寒念仏/おおにしひろし
★発掘の溝内太き霜柱/澤井渥
★黙々と釣り竿投げる防寒着/祝恵子
★路地に入り探梅行となりにけり/都久俊
★寒の雨厭わずに立つ大けやき/加納淑子
★歩みつつ囃す太鼓や冬帽子/岩崎楽典
★山茶花の垣根角刈り高速道/大給圭泉
★寒の朝名水汲まん人の列/河勝比呂詩
★春うらら歩道に猫の鎮座する/下地鉄朗

選者詠/高橋正子
椋鳥の移れる枯木大いなる
椋鳥の塒の木より高き空
枯を切り切株白く開墾す