■さら句会/入賞発表(22)■

第116回(1月15日)〜第120回(1月21日)

by 管理人

第120回入賞発表(1月21日)/高橋正子選評

【金賞】
★群れ来たりまた大空へ寒すずめ/石井信雄
雀が群れて来て、また大空へ羽ばたいてゆく寒雀の無邪気さ。自然の中で自由に生きる雀に、心を寄せている作者の心こそが「大空へ」開かれている。

【銀賞】
★暖房が止まりて軋む椅子の音/龍造寺規谷(正子添削)
かすかな暖房の音が止まって気付く椅子の音。座っている椅子の音は、人によって作り出される。その音を鋭敏によく聞き届けた。

【銅賞/2句】
★伐られても冬芽は確と青空へ /山野きみ子
四温の青空だろう。伐られても冬芽が確として、芽の力を空へ差し出している。小さいものの力を感じる。

★大寒の夜のウインナを熱く茹で/多田有花
ごくごく身近な事柄を、句にして楽しそうだ。冷え込みが厳しい大寒の夜は、ウインナソーセージを、熱くして食べたい。寒い夜が暖かくなる。

【特選5句】

★足元を寒気の流れる音がする/日野正人
★涸川の杭の陰より昏れはじむ/小峠静水
★零時半のキッチン大寒が棲んでいる/おおにしひろし(正子添削)
★飛ぶ鳥も流れる鴨も小雨時/祝恵子
★遠出して海の見えたる四温かな/脇美代子

【入選13句】

★水仙花どの教室にもふと香る/池田多津子
★さわ立ちて舷(ふなばた)たたく寒の浪/平野あや子
★厳冬の宙から降りるナイター灯/相沢野風村
★寒の汗拭えばきりと身のしまる/磯部勇吉
★短日や金星見ながらペダル漕ぐ/野仁志水音
★大寒の山に向かいて白き干す/宮地ゆうこ
★童謡の近づいて来る山茶花の道/堀佐夜子
★真ん下に香り零して咲く蝋梅/古田けいじ
★探梅のゆるゆる歩き日輪と/大給圭泉
★投函の宵に出会いし寒行者/澤井渥
★寒無縁医療スタッフ夜を徹す/河勝比呂詩
★通学の自転車北風押し戻す/岩崎楽典
★五尺の身滝壷に立つ寒修行/能作靖雄

▼選者詠/高橋正子
水仙の画像くずれては新た
大寒のきりきり冷えし胃を持ちぬ
平らかな電気毛布のほのぼのと

by 管理人

第119回入賞発表(1月20日)/高橋正子選評

【金賞】
★水仙の海の青さに向いて咲く/脇美代子
水仙の花の向きが海であることは、海の美をそっくり花に受けることなったといってよい。美しさに衒いがない。

【銀賞】
★聞こえくる乙女らの声蕗の薹/冬山蕗風
さみどりの蕗の薹がでるころに乙女の声が響いて、早春の明るさと喜びがある。早春譜のような句である。

【銅賞/2句】
★雪間よりからくり時計鳴りはじむ/河ひろこ
雪の降るなかに鳴るからくり時計を、たのしく思う。と、ふと湧く
長い冬の寂しさ。「雪の間より」がその気持ちを表しているのではなかろうか。

★丸餅になって蓬のいい匂い/吉田晃
ひとつひとつ丸められた蓬餅になって、いっそう生き生きと香る蓬の匂いを、いい匂いというほかはない。

【特選5句】

★粉雪の粒の白さが加速する/日野正人
★店先の鮟鱇肝を見せ並ぶ/澤井渥
★大寒の夜のバッハが胸響かす/おおにしひろし
★店頭にひらりと回る干しカレイ/守屋光雅
★金柑に触れたがる児を抱き上げぬ/馬場江都

【入選22句】

★裸木やブロンズ像の子の背中/祝恵子
★河昏く静かに冬の街隔つ/馬場江都
★透き通る大根を割るに箸入れる/多田有花
★大寒や境内浄む若き僧/河勝比呂詩
★帰宅して食わん焼き芋ポケットへ/古田けいじ
★向き変える漁船又追うゆりかもめ/平野あや子
★マフラーの紅のあかるく登校す/宮地ゆうこ
〈車いすマラソン大会〉
★ゴールして見上げる早梅ほころびぬ/池田多津子
★玉霰(あられ)受けつ帰途の車かな/岩本康子
★寒のうちスコン焼き焼きタージリン/能作靖雄
★寒風を背中に本読む駅淋し/野仁志水音
★地下水の湯気立て道の雪融かす/磯部勇吉
★城跡と街見下ろして大寒に/相沢野風村
★細きものみな美しき寒夕焼/加納淑子
★天辺の星透き通る寒暮かな/都久俊
★暖房の図書館で鳴るクラシック/龍造寺規谷  
★日の多き邑の出口の楓の芽/小峠静水
★昼暗き大寒の日に部屋灯す/堀佐夜子
★鉢の芽に寒九の雨の降りそそぐ/山野きみ子
★紅のぞく梅の蕾の枝切られ/大給圭泉
★探梅の人かげ曳きて光り過ぐ/大給圭泉
★小鳥らの声を聞き分け寒椿/池田和枝
..2003/ 1/22(Wed)10:12

by 管理人

第118回入賞発表(1月17日〜19日)/高橋正子選評@

【金賞】
★日を溜めて水仙さらに膨らみぬ/日野正人
日を充分に溜め、明日にも開かんばかりとなった水仙の蕾が、あかるく眩しいほどである。

【銀賞】
★冬オリオン街に明かりを滴らす/藤田荘二
オリオン座の星の一つ一つが、寒空に輝き、その明かりが
滴りおちている感じの夜である。「滴らす」によって明りが
浮き上がり潤った。

【銅賞/2句】
★水鳥の影を映して動かざる/岩本康子
眠るように動かない水鳥が、水に自分の影を落として、何事もおこらない平らかさがある。

★早梅の白咲き急ぐ日となれり/吉田晃
早咲きの梅が、月日に急かされるように、きよらかな白い花を咲き急がせている。急ぎ散るものもあろう。移ろいやすさを覚えるこの日ごろである。

【特選5句】

★スニーカー干されし小枝目白来る/脇美代子
★冬の雨水仙の芽のとんがりに/戸原琴
★冬木の芽りす小走りて青空へ/石井信雄
★キャンパスに吸い込まれ行く受験生/守屋光雅
★押し車に葱青々と帰り来る/堀佐夜子
..2003/ 1/22(Wed)10:08

by 管理人

第118回入賞発表(1月17日〜19日)/高橋正子選評A

【入選25句】

★寒月の明かりの雫が町に降る/日野正人
★寒椿咲き揃いたる空の青/大給圭泉
★真平らに透きとおっている冬の海/野仁志水音
★芽若布の熱き緑を啜りけり/磯部勇吉
★裏通り山茶花散り初め登校す/祝恵子
★滾る湯に浸す若布のさみどりに/平野あや子
★雪の降る音のみ闇へ山椿/堀幹夫
★冬満月出羽の国へと傾むきぬ/相沢野風村
★冬峰をくっきりと曳き東山/野田ゆたか
★卒業へ日々の空気の張り詰める/柳原美知子
★ははそばの母の目覚めず寒椿/おおにしひろし
★近寄れば冬芽に緑ある木蓮/古田けいじ
★夕空の底桜色春を待つ/多田有花
★手作りの柚子酢の香り海鼠食む/安丸てつじ
★ちりちりと切干乾く陽の真下/宮地ゆうこ
★紅き実に此家の温もり冬の門/河勝比呂詩
★枯れ色の深き所に陽を返す/小峠静水
★ここからは江戸の空航く冬満月/霧野萬地郎
★澄みし空サクサク踏む凍し道/能作靖雄
★福寿草開くは母のごと父のごと/加納淑子
★磨かれて真上に上る冬満月/山野きみ子
★安らぎを乱す者居て都鳥/岩崎楽典
★窓越しに仰ぎ見ゆるは寒の月/高橋秀之
★霜深し皆伏してをり畑のもの/澤井渥
★窓辺にはそよともしない冬木一本/龍造寺規谷


▼選者詠/高橋正子
蕗のとうの香のはや混じる山菜揚げ
たらの芽を冬満月を来て食べる
枯れ枯れて小川の深く落ち込める
..2003/ 1/22(Wed)10:07

by 管理人

第117回入賞発表(1月16日)/高橋正子選評

【金賞】
★花蕾の覗く花菜のみどり買う/馬場江都
蕾がやっと覗いているものの花菜は緑色。それでも「みどり買う」に、はやばやと春を感じるうれしさがある。

【銀賞】
(芭蕉翁御墓所)
★義仲寺や行く冬の音湖の音/大石和堂
行く冬の音、湖の音。つまりは心象の音として捉えられたこれらの芭蕉の墓所で聞く音に、芭蕉に通おうとする精神が読み取れる。

【銅賞/2句】
★蔦の芽や枯れの束縛を高うして/小峠静水
高くまで絡まってがっしりと上っている枯蔦を、「枯れの束縛高うして」と表現した。がっしりと枯れた蔦にも赤い芽が見られる。命の芽吹きは嬉しいものだ。

★緋と燃ゆる落日しばし冬木立/石井信雄
冬の落日の美しさを「緋と燃ゆる」と感じるままに言った。冬木立に懸かって、しばし燃える透き通った緋色の太陽に大きな感激がある。難しいところをよく捉えている。

【特選5句】

★白菜の外葉残こさる抜きしあと/祝恵子
★日の差して梅の蕾の紅らみぬ/磯部勇吉
★地球儀の青の丸さに冬ぬくし/相沢野風村
★青空に煙とけゆくどんど祭/守屋光雅
★水映す障子明かりや座禅の間/霧野萬地郎

【入選21句】

★つぶやくがごとく野にあり冬苺/池田和枝(正子添削)
★底冷えの蔵に眠りしワイン樽/平野あや子
★仰ぎ見て石垣の上の寒椿/堀佐夜子(正子添削)
★どんどの火上がれば暮れる美しき空/脇美代子
★朝菜摘む遠嶺に雪のしろじろと/宮地ゆうこ
★盆梅の一輪咲けり染物屋/加納淑子
★手袋を雑踏の駅に忘れけり/河ひろこ
★枯芦の川に傾き川に落つ/山野きみ子
★雪だるまいつもどこかに泥ついて/多田有花
★電線のどっと下り来る寒すずめ/澤井渥
★寒黄菊入日を受けて色濃くす/古田けいじ
★棒樫はがっきと北風(きた)の空支え/おおにしひろし 
★校庭の声は川面に百合鴎/岩崎楽典
★べランドに白き椅子ある冬の風/下地鉄朗
★霜柱朝には光クリスタル/堀幹夫
★大滑降青春が舞う雪煙/能作靖雄
★風花や老婆無心に手押し車/河勝比呂詩
★一ト杓子寒の名水飲みほせり/大給圭泉
★関東煮赤提灯の字の太く/都久俊
★登り坂の頂上照らす冬の太陽/龍造寺規谷
★おでんから噴出す程の白き湯気/日野正人

▼選者詠/高橋正子
寒菜花山並紺に漂わす
芽柳を揉みてあらしのすざましき
坂道に空色落ちて日脚伸ぶ
..2003/ 1/17(Fri)8:26

by 管理人

第116回入賞発表(1月15日)/高橋正子選評

【金賞】
★雲の飛ぶ暮れの空より風花す/堀佐夜子(正子添削)
雲が風に飛んでゆく暮れの空から、ひらひらと風花が舞い落ちる。雲や風花が、生きいきと動的に描かれた夕空はまたとない。

【銀賞】
★光る葉に蕾張りきし寒椿/岩本康子
「蕾張りきし」は、内から溢れようとするものの新鮮さを描いた。寒椿の生命力の強さと充実を感じさせる句。

【銅賞/2句】
★時計塔染めて落ちゆく冬夕日/山野きみ子
高く聳える時計塔をすっかり染めて冬の夕日が落ちてゆく。落暉が胸内を染めているのだろう、暖かい華やかさを感じる。

★鏡餅ひび割れしまま水の中/祝恵子
鏡餅が沈む水が、冷たく透き通って、ひび割れたままの姿を見せている。あるままの姿をきっちりと受け止めた。(高橋正子)

【特選5句】

★蝋梅の花びら透す日のひかり/加納淑子
★空風に富士までの距離近づきぬ/霧野萬地郎
★左義長の火きり具点火厳かに/能作靖雄
★白鳥の雲にまみれて呼び合えり/磯部勇吉
★新しい手袋にぴんと指伸ばす/日野正人

【入選18句】

★群青の空に樹氷が冴えざえと/おおにしひろし
★風の無き小正月なりシャツを干す/多田有花
★大根の肩風に洗われている/脇美代子
★冬日和光の中へ一歩ずつ/日野正人
★寺の庭日だまり匂う水仙花/大給圭泉
★束ねれば花そむけ合う水仙花/小原亜子(正子添削)
★探梅の空の若さを見て坐る/宮地ゆうこ
★涸れ過ぎる無残一揆の野の石も/小峠静水
★冬木立烏の声がこだまする/龍造寺規谷
★風邪声を敏感に聴く子の電話/河勝比呂詩
★風吹くも陽の色確かに春隣り/古田けいじ
★図書館の冬陽明るき中に居る/岩本康子
★小正月干支の根付の鳴る財布/山野きみ子
★大黒屋ひときわ大き注連飾り/澤井渥
★夜明け前闇の寒さと濃さがある/野仁志水音
★部屋中に母の活けてる百合の匂い/野仁志水音
★枯蘆の影揺れていし光まで/相沢野風村
★かまくらに灯す明かりの仄かなり/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
大根煮る夕焼け空の胸にあり
鴨の池朝の視線のゆくところ
冬ぬくし人それぞれに生きていて