■さら句会/入賞発表(21)■

第111回(1月8日)〜第115回(1月14日)

by 管理人

第115回入賞発表(1月14日)/高橋正子選評@

【金賞】

★福寿草固く寄り合いふくらみぬ/山野きみ子
丈の低い福寿草が固まって、今にも開くばかりに蕾を膨らませている。膨らもうとする花の力に明るさが漲っている。

【銀賞】
★枯草の中の水仙真っ直ぐに/岩本康子
枯草の清らかさに、すっくと水仙が背を伸ばして咲いている。清潔な詩情がいい。

【銅賞/2句】
★雪降れば杉の木立の高さ知る/守屋光雅
雪が降ったらこそ見上げる杉木立の高さ。雪が降ってくる深さが杉の木立の丈というのだろうか。しんとした雪の世界に雪の香がするようだ。

★ふらふらと竹馬の子の笑い合う/加納淑子
竹馬にまだ上手く乗れないで、ふらふらと乗っている子どもが、お互いに笑いあって、たのしい子どもの世界がある。それを見ている者も楽しいのだ。

【特選5句】

★手袋を添えて置かれる旅鞄/河ひろこ
★寒晴れへぐるりとジェットコースター/多田有花
★成人の日終えたる夜の星揃う/藤田洋子
★あいさつの白息どっと門くぐる/池田多津子
★どんどの火鎮まり子等の団子焼く/脇美代子
..2003/ 1/16(Thu)10:26

by 管理人

第115回入賞発表(1月14日)/高橋正子選評A

【入選25句】

★風道を辿り水仙匂い来る/池田和枝
★寒木瓜の枝や後ろの座席占め/戸原琴
★成人式へかるく手を振り大股で/宮地ゆうこ
★寒きほどに朝の椿の花赤き/吉田晃
★残照を塔の高みへ寒の寺/霧野萬地郎
★照りし顔皆おだやかにどんと祭/相沢野風村
★銀翼の寒の落暉へ吸い込まる/平野あや子
★小寒や赤き芽の木のリンと立つ/藤田荘二
★昔日の独楽打つ話得意げに/堀佐夜子
★托鉢に笠を目深の寒修行/石井信雄
★北山の光冴え冴え杉丸太/小峠静水
★枯れ蔓に朝顔の種すでに無し/澤井渥
★冬の雲雨のにおいがしている/龍造寺規谷
★豆粒と見れば一気に下る鷹/古田けいじ
★松明けて売り場に豆の積まれけり/磯部勇吉
★凍て川の水の底まで枯れ木がある/おおにしひろし
★夕焼けを寒雁音無く楔形/右田俊郎
★小春鳶大きく丸く伸びやかに/能作靖雄
★棕櫚二本仁王立ちする冬空へ/祝恵子
★長き列妻と二人の初詣/冬山蕗風
★生垣に潜りては出て日向の目白/柳原美知子
★蝋梅の胸内に咲く明るさか/碇英一
★順々に渡すお年玉赤子にも/都久俊
★寒さなか留守居の午後をまどろみて/河勝比呂詩
★寒稽古竹刀背中に豆剣士/大給圭泉


▼選者詠/高橋正子
大根の太きを剥ける二つの手
水仙の花冠たそがれの空に
水仙の花冠を掬う老いたる手
..2003/ 1/16(Thu)10:23

by 管理人

第114回入賞発表(1月13日)/高橋正子選評

【金賞】
★鳥発ちて枯れの深さの残りけり/吉田晃
鳥が発ったあとの無音に、枯れがふかぶかと残る。それを端的に言った。

【銀賞】
★大根は自由に傾き畝を割る/古田けいじ
次々に引き抜かれていって残る大根が、凍て土を割って自由に、向き向きに傾いている。その様が切り取られた。

【銅賞】
★よく晴れて天神の鷽売り初めし/山野きみ子
亀戸天神や大宰府の鷽替が有名であるが、気持ちよく晴れた日に始まる鷽替に、幸せの予感がして気持ちが晴れやか。

【特選5句】

★初泳ぎ水中で聞く水の音/相沢野風村
★装いの帯高く締め成人式/藤田洋子
★海面を限る一線寒茜/霧野萬地郎
★立山の雪解水はじけ煌めけり/能作靖雄
★梅早しゆっくり荷押す坂の道/宮地ゆうこ

【入選20句】

(石鎚スキー場)
★己が全身雪に投げ出し潔し/おおにしひろし
★花舗すでに淡き香りの春隣り/堀佐夜子
★煮大根煮られ煮られて飴色に//安丸てつじ
★成人の日や広げ行く青い空/野田ゆたか
★起き抜けにぐっと飲み干す寒の水/冬山蕗風
★半額を大きく掲げ春隣/磯部勇吉
★柔らかき夕陽に包まる桜冬芽/岩本康子
★底石の藻草のみどり冬清水/脇美代子
★尖った葱に青さの風逃ぐる/小峠静水
★レモン汁たっぷりふって牡蠣を食ぶ/多田有花
★オリオンのひときわ光る寒土用/堀幹夫
★日溜りの水仙蕾をふくらます/右田俊郎
★製材所覆うシートに雪残る/澤井渥
★小豆煮る匂いの中の日と風と/柳原美知子  
★雪堀りて囲い大根探り抜く/守屋光雅
★冬凧の置かれ高き声駆けめぐる/祝恵子
★寒椿に出会う仕合せ出し抜けに/加納淑子
★成人の日は美しく晴れわたり/野田ゆたか
★青空に笑みを返して成人の日/池田多津子
★大和川渡る列車に冬陽さす/高橋秀之
〈紀三井寺にて〉
★冬地蔵の隣りに立って山になる/野仁志水音
★香の物一箸添えて小豆粥/河勝比呂詩
★つぎつぎと小鳥潜りて軽き枯れ/宮地ゆうこ
★黄水仙受付嬢の笑みと合い/大給圭泉
★アイロンに折り目生まるゝ室の花/碇英一

▼選者詠/高橋正子
白椿花の錆しは止むをえず
寒入日鵙をも染めて鳴かせたり
月白し椿の白の咲きだせる
..2003/ 1/14(Tue)6:15

by 管理人

第113回入賞発表(1月10日〜12日)/高橋正子選評

【金賞】
★水仙の目線にあれば香りくる/祝恵子
目線の位置から、すっと真っ直ぐ水仙のいい香りが届く。香りがたゆたわず、すっと真っ直ぐ届くところが、水仙の花らしい。

【銀賞】
★磯岩の裏に寒潮昇降す/霧野萬地郎(正子添削)
磯の岩に潮が寄せて昇っては流れて降りる。幾度となく繰り返される寒潮の動きの描写「昇降す」に、納得させられる。原句の「初潮」は、秋の季語。歳時記でお確かめいただきたい。

【銅賞/2句】
★公園に大きな日向冬木立/堀佐夜子
冬木立が囲む公園に、充分に日が差す日向がある。大きな日向といいたい暖かそうな公園の日向である。

★葉牡丹の渦の中にも雪が白い/おおにしひろし
葉牡丹の赤紫、白、オリーブ色の色彩に加えて、白い雪が載って葉牡丹に美しさが加わった。雪に咲くものの美しさである。

【特選5句】

★電柱の影真っ直ぐに冬晴るる/磯部勇吉
★冬の霧滲みて赤き夕日かな/岩本康子
★みごとなる大根積みし野菜売り/平野あや子
★まだ見えぬ列車の音する霜の道/野仁志水音
★冬の日や常に先行く影法師/多田有花

【入選24句】

★年縄の太く古刹のあらたまる/山野きみ子
★山陰の畦ごつごつと霜を踏む/脇美代子
★全長の落差静かに凍の滝/小峠静水
★寒灯の等間隔に闇に消え/堀佐夜子
★手をひろげ走り寄る子の冬帽子/大給圭泉
★どうだんの冬芽あまねく陽を受けて/古田けいじ
★雪溶けり音のしずくの逞しく/相沢野風村
★浄め塩店主祈りて息白し/河勝比呂詩
★高々と干されしものに寒の晴/宮地ゆうこ
★俳句子にして風の子よ梅探る/野田ゆたか
★派出所の机に水仙香をはなち/大給圭泉
★初空や身延山より富士仰ぐ/冬山蕗風
★園児の列手に手に賽銭戎祭/祝恵子
★寒晴の空へ木の香の塔婆立て/柳原美知子
★夕日落つ水平線まで凍てており/池田和枝
★きらめきの海を背にして初句会/右田俊郎
★お揃いの冬帽子行く通学路/日野正人
★靴音の跳ね返る朝凍ていて/池田多津子
★番傘の下に咲き初む冬牡丹/守屋光雅
★読始めばさりと届きし新聞紙/都久俊
★冷たさの風に貼りつく朝かな/戸原琴
★初凪に道あり夕日落ちるまで/加納淑子
★水餅の饐えたる匂い懐かしき/安丸てつじ
★枇杷の花人の真似して匂い嗅ぐ/澤井渥
..2003/ 1/14(Tue)6:11

by 管理人

第112回入賞発表(1月9日)/高橋正子選

【金賞】
★寒暁を背に歩を速む人のあり/河勝比呂詩
寒暁の寒さの中を背を丸めがちに足早に歩く人がいる。暁に始まる勤務につくためか。夜勤の帰りか。作者もまた寒暁を歩く人である。(高橋正子)

【銀賞】
★枯ふめば遥か山河へ還る音/宮地ゆうこ
枯を踏む音が、広く野に響いて、山河に吸い込まれ還ってゆくようである。よく乾いた野の枯の清らかさがある。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★雪空の行方に海鵜嘴(くち)より翔ぶ/おおにしひろし
海鵜が首を伸べ、嘴から雪空へつっと飛び立つ瞬間の様子がよく詠まれている。雪空と鵜との取り合わせに寂びた情趣がある。(高橋正子)

★音立てて着膨れ離れし静電気/小峠静水
「着膨れ」という少しばかりの自己揶揄にユーモアがある。わが身を離れる静電気に意外にも冬らしさを思う。(高橋正子)


【特選5句】

★新製品詰め合わされし初荷解く/平野あや子
★寒鴉小さく跳ねて地に降りぬ/吉田晃
★学び舎の廊下に冬陽が浮いている/野仁志水音
★天井へ朝日の屈折冬晴るる/磯部勇吉
★地鶏生む寒卵らし漲るもの/河勝比呂詩

【入選18句】

★内子座の庇せり出し雪垂る/藤田洋子
★見た夢をそのまま布団に残したい/龍造寺規谷
★色変り日重ね雪の厚さかな/相沢野風村
★クルーズの日本寄港の三が日/霧野萬地郎
★冷えてくる空を映して凪ぐ運河/古田けいじ
★束ねたるままで枯菊燃やさるる/祝恵子
★手に残る革手袋の匂いかな/多田有花
★大根を分厚く煮てる匂いかな/堀佐夜子
★家中の時計それぞれ年始め/能作靖雄
★しもやけの耳の形も似て親子/小原亜子
★漣も氷りてしまう朝(あした)なり/岩本康子
★太き瘤に生を留めて枯木の秀/山野きみ子
★冬うらら小学校の鶏鳴きて/澤井渥
★はらからといさかひ淋し冬の月/加納淑子
★枯真菰折れたばかりに風逃ぐる/小峠静水
★似顔絵の少し寒げなできあがり/右田俊郎
★鷺翔ちて冬日の光したたらす/大給圭泉
★ダンベルの冷たき重さを握りけり/多田有花

▼選者詠/高橋正子
七草の書架のガラスの透きとおり
木蝋のみどりの気配雪に買い
この町のすべての見えて雪の屋根
..2003/ 1/10(Fri)21:35

by 管理人

第111回入賞発表(1月8日)/高橋正子選

【金賞】
★晴れ上がる空に寒禽鳴き交わす/戸原琴
寒禽の声が鋭く鳴き交わされて、晴れあがった空に透明感が生まれた。寒中のすがすがしさがよい。(高橋正子)

【銀賞】
★柚子風呂にと小さき丸をもらいけり/古田けいじ
柚子を「小さき丸」とは、楽しい把握で、小さな柚子を沢山もらったのであろう。寒中の柚子湯も趣があり、温まっていいものだ。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★冬晴れの日の暖かくポストまで/堀佐夜子
落ち着いた心境が、読み手に安心をくれる。日常生活のいい場面である。(高橋正子)

★子等去りし部屋へどすんと寒の入る/平野あや子
正月に帰省していた子どもたちが一挙に去ると、使っていた部屋がしんとなって寒々しい。「どすんと」は、「寒の入る」感じであるが、同時に子どもたちが去ったあとの空虚感をよく表している。(高橋正子)

【特選5句】

★安房武蔵雪の信濃も峠より/霧野萬地郎
★寒餅の市松模様に干されいて/河勝比呂詩
★七草粥すする熱さに草匂う/おおにしひろし
★登校の子ら新年の顔をして/池田多津子
★沢水の手を切る流れ芹を摘む/磯部勇吉

【入選14句】

★初手帳弾みて記す予定ごと/山野きみ子
★飾取る夕ぐれ風の強くなり/宮地ゆうこ
★暮早し静かに澄みて空の蒼/脇美代子
★初仕事クレーンのびゆき声上がる/祝恵子
★冬うらら保育園児の列送る/加納淑子
★初旅を終えて眉月明るかり/岩本康子
★箱根路を登る選手や雪の朝/石井信雄
★寒晴れや松の梢が雪払う/能作靖雄
★年新た道路工事は着々と/龍造寺規谷
★空の青一つ残った三学期/野仁志水音(正子添削)
★賀状尽く日常茶飯に立ち返る/多田有花
★吊橋のかすんで見える雪の宿/大給圭泉
★首振れり独楽直す少年(こ)の目鋭く/相沢野風村
★羽子板をつく娘も嫁ぎ飾りをり/都久俊