■さら句会/入賞発表S■

第108回(1月1日)〜第110回(1月7日)

by 管理人

第110回入賞発表(1月7日)/高橋正子選

【金賞】
★一月の光りの海へ船首向く/藤田洋子
一月の穏やかな海に溢れる光がまぶしい。その海へ船首を軽やかに向けてゆく船。瀬戸内海の一月の明るさと穏やかさが溢れている。(高橋正子)

【銀賞】
★寒冷の一息肺を煌かす/戸原琴
吸い込んだ寒冷の空気が、肺を清らかにし、肺が煌く思いがする。寒冷の時によって、内なる思いがかがやかに示される。(高橋正子)

【銅賞】
★枕木は等間隔に雪の色/古田けいじ
枕木に置いた雪が、枕木が等間隔であることを教えてくれる。それに置く雪は紛れもなく白いこともまた教えてくれる。単純化された雪の風景がいい。(高橋正子)

【特選5句】

★群れてきてこぼれて丸き初雀/吉田晃
★寒茜すなおに見えて輝けり/相沢野風村
★七日粥野の菜柔らに炊き上がる/山野きみ子
★造船へ仕事始めの火花散る/平野あや子
★風花の町の生活(たつき)のゆっくりと/おおにしひろし

【入選20句】

★まぶしくてカーテン引けば冬芽影/堀佐夜子
★雪晴れや青長靴に空映る/日野正人
★朝摘みの若菜刻めば音跳ねて/池田多津子
★消え残る雪の白さへ鍬入れる/宮地ゆうこ
★初暦雪の穂高に始まりぬ/多田有花
★初参り湖に張り出す鳥居の朱/霧野萬地郎
★七草を手籠に飾り百花園/岩崎楽典
★暁の鐘の音静かお正月/岩本康子
★冬日さす席へ片寄るバスの中/大給圭泉
★霜解や小さき靴跡楽しげに/加納淑子
★楓過ぎて橡落葉の音を踏む/脇美代子
★細氷の朝日の中へ舞い上がる/磯部勇吉
★裸木へ捩れ捩れて藤の蔓/澤井渥
★懸命に闘い抜いた初将棋/龍造寺規谷
★雪交じる内子に残るなまこ壁/河勝比呂詩
★人日や凍てつく垣根花赤し/能作靖雄
★七種を炊いて我が家のけじめかな/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
 伊予・内子
粉雪のけむりて降れる町に降り
雪垂(しず)る廊下伝いをたのしめり
井戸端に飾るゆずり葉に赤のあり
..2003/ 1/ 8(Wed)15:48

by 管理人

第109回入賞発表(1月4日〜6日)/高橋正子選@

【金賞】
★大根を割れば大地の水を吐く/古田けいじ
「大根を割る」は力強い。太い大根から出る水は、大地から吸い上げられたもの。大地の水である。(高橋正子)

【銀賞】
★窓開けて外気きりりと年越ゆる/宮地ゆうこ
年を越す空気が「きりりと」して、緊張がある。年を越す精神もきりりとして、高まりがある。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★冬ごーやー濃き緑をばぶつ切に/下地鉄朗
苦味のある「ごーやー」。冬の濃い緑の生命力の逞しさ。それをぶつ切る力の強さ。迷いがなく、力強い。(高橋正子)

★冬の窓動かぬ海の青きこと/野仁志水音
しんとした冬海の青さが、目に沁みるようである。窓枠にはめられた海が絵画的に表現された。(高橋正子)

【特選5句】

★竹笊へ七種詰めてセット売り/霧野萬地郎
★青空の見えて風花降る午後に/堀佐夜子
★ごうごうと音して冬芽空に揺れ/相沢野風村
★石鎚の鋭角雪に浮き立てり/岩本康子
★塊を四角に切って雪掻きす/日野正人
..2003/ 1/ 8(Wed)15:45

by 管理人

第109回入賞発表(1月4日〜6日)/高橋正子選A

【入選28句】

★校庭に正月の日を敷き延べり/碇英一
★蕭蕭と寒風渡る淀おもて/堀幹夫
★くくられて大きな白菜傾ける/池田多津子
★島の端の淡き新雪踏みしめる/平野あや子
★氷雪の石鎚雄々しき二日かな/おおにしひろし
★冷ゆる夜の影黙々と橋渡る/吉田晃
★大河の流れ光りて年新た/山野きみ子
★雪乗せてぶらんこ風にきいと鳴る/池田多津子
★小寒に入りて静けさ戻る寺/右田俊郎
★吹雪く夜は我が家一戸の思いかな/河ひろこ
★大雪の一本道のきしきしと/守屋光雅
★樹に集い樹より散りけり初雀/都久俊
★箸正し千枚漬の白きとる/馬場江都
★星空の淑気に心通わせる/加納淑子
★透き通る空の広さに寒禽鳴く/脇美代子
★近道を閉ざせし雪の浄土かな/野田ゆたか
★初仕事真白きシャツが電話せり/能作靖雄
★寒の入り親子集いて藁細工/高橋秀之
★正月の空に大円プロペラ機/岩崎楽典
<高知にて>
★海見える札所の寺へ初詣/多田有花
★焼けし冬たんぽぽの貼り付きて/澤井渥
★宿とせし古城の暖炉赤々と/安丸てつじ (フランクフルト郊外)
★初売りの紅白幕に陽がいっぱい/守屋光雅
★純白の目に飛び込みし初日記/池田和枝
★降り立ちし駅の山茶花夕日燃ゆ/大給圭泉
★注連飾りすずめ飾り穂ついばめり/祝恵子
★初仕事 背筋ぴしっと 門を出づ/河勝比呂詩
★冬雀寄り添いたきし距離におり/龍造寺規谷

▼選者詠/高橋正子
雪雲の茫洋たるを窓に飛び
雪雲の切れて眼下の緑の田
階の雪踏み下りる音淡し
..2003/ 1/ 8(Wed)15:44

by 管理人

第108回入賞発表(1月1日〜3日)/高橋正子選@

【金賞】
★戻り来る谺へ相打つ除夜の鐘/霧野萬地郎
句に力が入っていますね。いい力ですよ。(高橋信之)

【銀賞】
★小さきものより順に渡してお年玉/祝恵子
恵子さんの姿が見えてきます。やさしさがあります。(高橋信之)

【銅賞/3句】
★畦道を凧を揚げての母子見ゆ/津村昭彦
広い田の風を受けて凧が揚がっている様子が目に浮かびます。凧揚げをしているのが、母と子であるのも現代の風景ですね。(高橋正子)

★正月や道は右にも左にも/大石和堂
行く道は右にも左にもあるということに、正月の平らかな広さを思います。実際の道でも、心に思う道でも。(高橋正子)

★祝い笛膨らむ頬へ初日来る/古田けいじ
楽しい句ですね。いい新年です。(高橋信之)

【特選5句】

★年迎うさらの卓布にワイン籠/山野きみ子

★初空に煙真直ぐほのぼのと/相沢野風村
「初空」の「煙」が何であれ、「真直ぐ」で、「ほのぼのと」しているのは、作者の気分でもあり、心が解放されている。(高橋信之)

★冬ごーや青き苦みをぶつ切に/下地鉄朗
「ぶつ切に」が句をリアルにしました。「ごーや」は、好みの食材です。こちらでも手に入りますので、ときどき食べています。(高橋信之)

★おみくじの律儀に畳まれ枯枝に/馬場江都
人さまざまで、その人なりの良さがありますね。「枯枝」が季語のいい働きをしています。(高橋信之)

★隠すこと出来ぬ青さや初御空/加納淑子
明らかなことには、安心します。「初御空」となれば、なおさらですね。(高橋信之)
..2003/ 1/ 8(Wed)15:37

by 管理人

第108回入賞発表(1月1日〜3日)/高橋正子選A

【入選@/6句】

★幼子を真ん中にしてお正月/脇美代子
★年新た産院灯ともす白々と/おおにしひろし
★雲走る初日の影を暗くして/安丸てつじ
★元日のゆっくり流れるときにいる/池田多津子
★ほうれ飛べ雪は境のなき空へ/大石和堂
★前山に朝日輝くお元日/岩本康子

【入選A/5句】

★新年の空を見上げて深呼吸/日野正人
★深々と紺の空より年明ける/池田和枝
★枯葦や木曽三川の水ゆたか/澤井 渥
★独楽まわし教える父の声高く/高橋秀之
★門松のひときわ青き明けの空/大給圭泉

【入選B/11句】

★お降りの松の雫に空映る/堀佐夜子
★元朝の光揉み合う窓辺かな/小原亜子
<高知にて>
★大晦日龍馬生まれし場所に立つ/多田有花
★御降の上がりて滴に朝日溜め/岩崎楽典
★初春の空晴れ渡り富士真白/右田俊郎
★小鳥来て元朝の木の生き生きと/碇 英一
★新幹線旅の一つに雪の富士/金子孝道
★ひとりひとり正月の顔して座る/藤田洋子
★元朝の立山下ろし深く吸う/能作靖雄
★初春や物音立てず聞こえ来ず/河勝比呂詩
★青空を賜りし今朝お元日/河ひろこ


▼選者詠/高橋正子
初旅にみずほの山の青を飛び
雪に閉ず富士の火口を眼下にし
竹の秀(ほ)の雪の重さに動かざる