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第107回入賞発表(12月27日〜31日)/高橋正子選@ 【金賞】 ★山茶花の花こぼしつつ咲きつづき/大給 圭泉 いい句ですね。命があります。「まこと」があります。(高橋信之) ありのままを、今感じるそのままの心で詠んでいて、余分も不足もない、つつましくていい句ですね。 (高橋正子) 【銀賞】 ★蝋梅の透けて青空下りてくる/宮地ゆうこ 小さな「蝋梅」に大きな世界がひろがりました。詩があります。(高橋信之) 【銅賞/2句】 ★年の瀬の洋上へ向くコンテナ船/平野あや子 ★ふるさとの駅に大きく松飾る/池田多津子 「松飾る」いつもの風景には安らぎがありますね。「ふるさと」となれば、なおさらです。(高橋信之) 大きな松飾りが、いかにもふるさとらしい。純朴であり、おおらかであり、元気がある。大きな松飾りに惹かれた。(高橋正子) 【特選5句】 ★暗闇に耳を澄ませば冬の海/高橋秀之 作り手の思いが伝わってきます。「冬の海」には、深いものがあって、心が動かされますね。(高橋信之) ★一軒を更地に冬空を広くする/加納淑子 ★またあした子らは手を振り大晦日/祝恵子 「大晦日」の「またあした」は、格別に明るいですね。私の好きな句です。(高橋信之) ★行く年や山から海へ闇動く/相沢野風村 写生とは違った良さがあります。作り手の心の動きが伝わってきます。(高橋信之) ★湯気立てにころころ滾つ茹で卵/下地鉄朗 ストーブの上に、お鍋などに水を張ってのせ、湯気をたてて部屋の乾燥を防ぐことは、少し前までは、私もよくしました。ゆで卵を茹でるのに、ちょうどいいですね。「ころころ滾つ」は、ゆで卵の状態が目に見えるようで、いいですね。穏やかな生活があります。(高橋正子) ..2003/ 1/ 8(Wed)15:32 |
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第107回入賞発表(12月27日〜31日)/高橋正子選A 【入選@/5句】 ★冬厨重石を変える水の音/河 ひろこ ★きらめきを川幅いっぱい冬日射す/岩崎楽典 ★はきはきと答えて少女飾売る/宮地ゆうこ ★富士に対す半島どこも大根畑/霧野萬地郎 ★雪来たり遠嶺の姿浮き立つ日/多田有花 【入選A/5句】 ★年送る命うべない椿真白/おおにしひろし ★藁の香をさせて玄関注連飾る/古田けいじ ★松の枝無造作に重ね年の市/守屋光雅 ★文机正座の高さ冬灯し/堀佐夜子 ★年送る硝子食器を磨き上げ/山野きみ子 【入選B/5句】 ★枯れしものに薔薇一輪のありにけり/加納淑子 ★年の夜を待つことに薔薇一輪切る/おおにしひろし ★伐られゆく木蓮冬芽つけしまま/加納淑子 ★街路樹の空を透かして年の暮れ/古田けいじ ★地吹雪の去りて蒼空透明に/相沢 野風村 【入選C/6句】 ★干支の午よいお年をと年惜しむ/野田ゆたか ★空っ風柴又街道駆けめぐる/山野きみ子 ★初雪を老眼鏡(めがね)外して見ていたり/澤井渥 ★配達に米屋忙しく花八手/霧野萬地郎 ★冬休みポプラの空に風走る/岩崎楽典 ★寒波つき路地奥にまで蜜柑売り/河勝比呂詩 ▼選者詠/高橋正子 子が打って寒柝の音の揃わざる しんしんとして年逝けりドアの外 羊鳴くは春のことなり故郷に |
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第106回入賞発表(12月26日)/高橋正子選@ 【金賞】 ★切り口の真白き竹に松飾る/池田多津子 「切り口の真白き竹」は、日本の簡素な美しさで、清々しい。いい正月に違いない。(高橋信之) 【銀賞】 ★冬日差し俄かに変わる波の色/岩本康子 海の波も日が差さない時は色が深いが、日が差すと明るくなる。こんなにも違うものかと思うが、照りかげりの激しい冬だからこそ、色の変化に驚かされる。(高橋正子) 【銅賞/2句】 ★胴太き竹伐り出され冬の鵙/脇美代子 太く青々とした竹が切り出されている。その山里に鵙が鳴いてキチキチとよく声が通る。竹も鵙も音の消えたような冬のなかで、命の力を見せてくれている。(高橋正子) ★冬星座風鳴る中に傾けり/古田けいじ 北風に塵が払われて星座も冴え冴えと輝いて見える。その星座も傾き夜も晩くなてきた。星は、鳴る風のなかでますます輝いている。(高橋正子) 【特選5句】 ★雪解けの川笹舟を流そうよ/おおにしひろし 「笹舟を流そうよ」と、そういわれれば、笹舟を流して見たくなる。青い小さな笹舟を雪解けの冷たく清い流れにながしてみる。雪と笹と水の醸すイメージがいい。(高橋正子) ★働きし目にふつふつと韮雑炊/池田和枝 「働きし」あとの食事。生活のいい楽しみである。(高橋信之) ★吹き抜けの聖夜のホール子ら歌う/藤田洋子 ★手袋の小さき手と手をつなぎ行く/馬場江都 ★粉雪の中へ中へと通勤道/日野正人 ..2002/12/27(Fri)2:29 |
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第106回入賞発表(12月26日)/高橋正子選A 【入選16句】 ★冬空にくっきりと立つ東京タワー/右田俊郎 素直な写生がいい。「くっきりと」した句である。(高橋信之) ★寒すみれ陽射しに傾ぎ愛しき/堀佐夜子 寒さの中で、陽射しに向いて明るく咲いているすみれは、強くて愛らしい。(高橋正子) ★鴨一羽向こうの川へめざし飛ぶ/祝恵子 「鴨一羽」へ目を注ぐ作者の心がやさしい。(高橋信之) ★影ひとつ動くものなし寒の水/磯部勇吉 ★山際に軽トラックあり年の暮/多田有花 ★声高く釣りの自慢や浜焚火/平野あや子 ★魴ぼうの漁師の籠にただ一尾/霧野萬地郎 ★歳晩の街の彼方にクレーン立つ/山野きみ子 ★縄跳びの声絶え日暮淋しくす/加納淑子 ★鉢巻を締めて囃せし飾売り/都久俊 ★寒雀飛び歩く羽丸くなり/相沢野風村 ★天皇誕生日分校に国旗/澤井渥 ★街路樹や雪を冠りし街オブジェ/能作靖雄 ★枯れ果てて木の枝に縋る烏瓜/岩崎楽典 ★注連飾り新年迎う家となる/河勝比呂詩 ★不忍池の大観も見た鴨の陣/大給圭泉 ▼選者詠/高橋正子 本積める狭き部屋にもクリスマス シクラメンの真白に霧をふっと吹き 餅花に柳の枝のしなやかに ..2002/12/27(Fri)2:29 |
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第105回入賞発表(12月25日)/高橋正子選 【金賞】 ★冬篭湯沸しの蓋持ち上がる/小峠静水 日常を軽い言葉で語るが、詩が成り立っていて重い。「冬篭」と「湯沸しの蓋持ち上がる」との間の切れがいい。そこに、詩が成り立って、生活の重い思いを伝える。(高橋信之) 【銀賞】 (三津浜ドック) ★入渠して船寒風に赤き腹/おおにしひろし 【銅賞/2句】 ★聖樹かこむ園児ら小さき手をつなぎ/宮地ゆうこ 「小さき手」の一つ一つが堅く結ばれて、地上の楽園である。キリスト誕生の聖樹となれば、なおさらであろう。(高橋信之) ★凍蝶の影天日に動かされ/金子孝道 天日は、くっきりと晴れた日の日輪であろう。動きの少ない凍蝶は、太陽の位置によってその影が動く。「天日に動かされ」である。凍蝶の生きる姿とも言える。(高橋正子) 【特選5句】 ★鉄骨の凍ていてヘルメットが渡る/加納淑子 「鉄骨」と鉄骨の「凍て」を強調しました。季、そして自然を読むことの大切さを考え、「ヘルメットの男」を抑えました。好きな句なので、添削してみました。ご参考にしてください。(高橋信之) ★香水をつけて聖夜の街に出る/多田有花 「聖夜の街」である。軽いおしゃれにくつろぎがある。(高橋信之) ★山に積む白菜日和も積むごとく/大給圭泉 ★単線の明けの鉄橋水烟る/岩崎楽典 ★出勤の子がたくましく嗽する/古田けいじ 【入選15句】 ★炉は盛りワイン激しく香りくる/脇美代子 ★風呂敷のマント纏いて聖夜劇/池田和枝 ★蜜柑摘み夕餉のけむりを見おろせり/藤田荘二 ★阿波蓮根師走の漁場に売られおり/平野あや子 ★歯科医院に小さな聖樹灯がともる/河ひろこ ★ハンドベルの響き聖夜を透明に/池田多津子 ★聖夜の窓大きな靴下揺れており/池田多津子 ★裸木の揺れて眩しきガラス拭く/相沢野風村 ★今日だけの銀のナイフで聖菓斬る/霧野萬地郎 ★夜の北風救急車を連れてくる/堀佐夜子 ★梅の蕾少し膨らむ年の暮/磯部勇吉 ★絵手紙は赤い蝋燭クリスマス/右田俊郎 ★雨に濡れ赤濃くなりし山茶花や/能作靖雄 ★白き姿見せて水鳥飛びたてり/祝恵子 ★冬至過ぎ日脚やや伸ぶ気配みせ/河勝比呂詩 ▼選者詠/高橋正子 クリスマスのキャロルラジオに無伴奏 クリスマスの子への荷物に少しずつ クリスマスイヴなり翳れば灯を点し ..2002/12/26(Thu)8:22 |
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第104回入賞発表(12月24日)/高橋正子選@ 【金賞】 ★下校児の竹馬に夕日ひかりけり/加納淑子 眼がいい。しっかりと見ていて、詩がある。(高橋信之) 【銀賞】 ★冬帽のかるがる鉄棒廻りけり/宮地ゆうこ 暖かそうな帽子をかむっている子どもが、軽く鉄棒を廻る。身軽るに動く子どもの様子が明るくていい。(高橋正子) 【銅賞/2句】 ★裸木の自由に動き空蒼し/おおにしひろし 冬に見る命がうれしい。すっかり葉を落としてしまった「裸木」が生きている。蒼空の中に生きている。(高橋信之) ★柚子の香の湯の香となりて窓は雪/守屋光雅 「柚子」の香と「雪」の白さとの取り合わせがいい。冬至の柚子風呂は、疲れをほぐし、明日への力を与えてくれる。(高橋信之) 【特選5句】 ★古新聞まといて白菜畦に坐す/岩崎楽典 農の日常である。「白菜」の位置が明らかで、座りがいい。(高橋信之) ★七曜を忘るるもよし実南天/堀佐夜子 実南天はすっかり赤く輝いて正月を待っている。正月を迎える準備に気ぜわしく、曜日も忘れそうであるが、それもよいではないか。正月に向けて曜日などいらない気がする。(高橋正子) ★北風よけて昼食をとる男たち/多田有花 ★江ノ電の軒すり抜けり花アロエ/霧野萬地郎 ★柚子もぐや夕日まんまる庭にをり/小峠静水 ..2002/12/25(Wed)7:21 |
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第104回入賞発表(12月24日)/高橋正子選A 【入選19句】 ★縄跳びのびゅんびゅん回る裏通り/池田和枝 「びゅんびゅん回る」は、裏通りでおもいきり遊ぶ元気な子どもたちを描いていて、いいですね。暖かい視線があります。(高橋正子) ★細やかな枯枝広がる青い空/馬場江都 「枯れ」の美しさをうまく捉えた。「青い空」があってこその美しさである。(高橋信之) ★提灯を回らし祠の年用意/岩崎楽典 ★枯葦の倒れて見える鳥の数/祝恵子 ★せんだんの冬の運河に実を映す/古田けいじ ★わが町のいつもと変らぬイブの燈/野仁志水音 ★寒雷の轟きてより鎮もれり/磯部勇吉 ★冬ざれも視野に無きごと人急ぐ/河勝比呂詩 ★冬麗の水に光の乱されて/吉田晃 ★夕闇にまぎれて山茶花沈む紅/山野きみ子 ★浅干しの大根吊して売られおり/池田多津子 ★立ち上がる鼬に遭いし枯野径/澤井渥 ★寒林の崖に十王石仏/石井信雄 ★イブの夜シャンパン飲む理由(わけ)疑わず/相沢野風村 ★ゴスペルを唄いし横の年の市/都久俊 ★読書して炬燵中より熟寝(うまい)覚め/大給圭泉 ★老松に筵を巻いて年用意/右田俊郎 ★キーボードに「樅の木」弾かせ聖夜待つ/柳原美知子 ★山茶花や落ちる花あり蕾あり/能作靖雄 ▼選者詠/高橋正子 歳晩のカフェのほおずきからからと 洋なしのタルト冷たく冬の夜 歳晩の鉢に植え込む庭なずな ※庭なずなはアリッサムのこと。 ..2002/12/25(Wed)7:20 |
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第103回入賞発表(12月23日)/高橋正子選評 【金賞】 ★雑念を深く沈めて冬至の湯/池田和枝 冬至の湯に、深く身を沈めてゆっくりと入る。雑念が払われるわけではないが、雑念を深く湯に沈め、ひとときはいいお湯にいる幸せを思う。 【銀賞】 ★発車まで海の入り日を寒く見る/宮地ゆうこ 寒さのなかで発車を待つ時間は、長めに感じられる。そんな時が、海に入る美しい入日を楽しむ時間となったのはささやかな幸せ。 【銅賞/2句】 ★折鶴の影の鋭角白障子/堀佐夜子 張り替えたばかりの白障子であろうか、折鶴の影が、折られた角度そのままにくっきりと映って見える。冬の夜の静かな時を折鶴が身に引き受けているように思える。 ★禁猟の札新しく笹鳴けり/澤井渥 はや笹鳴きを耳にした。禁猟区の静かで、しらしらした冬が印象づけられる。 【特選5句】 ★柔らかく畝を成しゆく芽麦かな/脇美代子 ★藁混じる畝より芽出す冬えんどう/祝恵子 ★子ら家を出てより聖夜は街のもの/おおにしひろし ★夕凍みに張りゆく池の動かざる/河ひろこ ★枯薄打ち吹く風に星生まる/柳原美知子(正子添削) 【入選20句】 ★天皇の日の珈琲をゆっくりと/野田ゆたか ★はまなすの実を付けしまま枯れはげし/磯部勇吉 ★風呂の柚子遊んでいれば遊ばれる/古田けいじ ★金の雲冬月山を出づ気配/池田多津子 ★枯蔓が昇る高さに強電流/小峠静水 ★冬蜂の窓の温みを歩きおり/吉田晃 ★頤の丸き少年葛湯吹く/岩本康子 ★柚子湯して娘ら豊かなる髪匂う/藤田洋子 ★遠き地の味噌が届きし師走かな/平野あや子 ★とまりいて雀も枯れの一つなる/碇英一 ★手袋のひとつ残してサッカー場/相沢野風村 ★コーヒーを入れて冬至の陽の中へ/多田有花 ★年用意寺の撞木の新しく/岩崎楽典 ★手袋で指してなぞりぬ路線網/霧野萬地郎 ★老蝿を打つ気になれず一茶の忌/安丸てつじ ★平凡に生きて柚子湯にひとりの香/山野きみ子 ★わびしさや眠らぬ街に寒の月/小原亜子 ★省く事多かり老いの年納め/河勝比呂詩 ★穏やかな夕日からめて実南天/大給圭泉 ★冬天のこぼれ陽浴びる庭すずめ/能作靖雄 ▼選者詠/高橋正子 冬至の空雲やわらかにあふれける 青も浅葱も冬至の空の雲の間に 冬至柚子食品売り場に香を満たし ..2002/12/25(Wed)7:16 |
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第102回入賞発表(12月20日〜22日)/高橋正子選評 【金賞】 ★枯野行く二人の担ぐ測量器/澤井握 枯野という自然界に、測量器が運ばれてきて、何事か始まろうとしている。どんなものができるんだろう、その手始めは、まず二人の行為から始まった。枯野だから際立つ二人である。 【銀賞】 ★草の芽の緑絶えざる冬田かな/碇英一 寒々とした冬田だが、よく見れば草はつぎつぎに芽を新しくして、緑が絶えることがない。暖かい地方の冬田である。 【銅賞/2句】 ★水仙の根本の白が束ねられ/脇美代子 ★葱抜けば泥に際立つ白き肌/右田俊郎 【特選5句】 ★一日の終わりゆず湯にラジオ鳴る/安田明子 好きなラジオ番組をかけ、一日の仕事を終えてほっとして湯に入る。冬至のゆず湯なら、いっそう気分もよく楽しさも湧く。 ★確かなる命包みて枯芙蓉/古田けいじ ★冬銀河大鉄橋に斜めなり/おおにしひろし ★柚子浮かぶ仕舞湯淡き香の残り/太田淳子 ★紅白の葉牡丹敷き詰め平和の碑/祝恵子 【入選24句】 ★真白き障子のそばでアンネ読む/野仁志水音 ★焼芋屋英字新聞に包みけり/河勝比呂詩 ★白障子翳りたるまま暮れてゆく/藤田洋子 ★星の数木枯らし去りてふやしおり/大給圭泉 ★宇宙めく雪の鉄橋過ぎにけり/河ひろこ ★日矢落ちる速さと角度冬至かな/相沢野風村(信之添削) ★山眠る瀬音のような寝息して/小峠静水 ★刃を深く冬至南瓜に差し入れし/平野あや子 ★幾年の墨田の流れ年忘れ/山野きみ子 ★大根の畝せり出して弾ける白/宮地ゆうこ ★柚子二つ足して追い焚き冬至風呂/岩崎楽典 ★息弾む音も弾みて餅をつく/池田多津子 ★樅大樹聖夜の光上りきる/磯部勇吉 ★歯を磨く花柊のこぼれ見て/古田けいじ ★寒椿の蕾開きぬ二三輪/馬場江都 ★落葉して天底抜けの並木道/野田ゆたか ★青春に忘れ物あり冬銀河/池田和枝 ★この年も息災なりし冬至風呂/安丸てつじ ★国々の味持ち寄りし年忘/能作靖雄 ★クリスマスケーキ贈られ童心に/堀佐夜子 ★締め仕切る作務衣の少女羽子板市/霧野萬地郎 ★羽子板市赤鉢巻の威勢よし/守屋光雅 ★一日の始まり祝う蜜柑かな/龍造寺規谷 ★冬の夜やクロスワードを解いている/多田有花 ▼選者詠/高橋正子 花丈の揃い真白なシクラメン 冬の灯にレモンきらきら香を放つ 歳晩に咲きたる苗の庭なずな ..2002/12/23(Mon)22:19 |
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第101回入賞発表(12月19日)/高橋正子選評 【金賞】 ★一本は裸木となり遠く見え/祝恵子 木立の中の一本が、裸木となって、淡い姿で見えている。もう少し前は、周りの木々のなかで一際美しく紅葉していたのかもしれない。無駄のない木立の風景がいい。 【銀賞】 ★活断層横に抱きたる山眠る/小峠静水 【銅賞/2句】 ★膨らみて冬の日返すボンネット/澤井渥 車のボンネットは、日光がたくさんあたる部分で、冬の日を返して、そのフォルムにいっそう膨らみを感じさせてくれる。なにげないことだが、うまく句にまとめた。 ★ぎんなんの爆せて黄緑つややかに/池田多津子 【特選5句】 ★葛湯吹く匙透明に光る粒/山野きみ子 ★鳥の巣を明らかにして欅枯れる/古田けいじ ★冬耕の畝の高さへ陽を寄せる/宮地ゆうこ ★明日からの道具を磨く冬日和/青海俊伯 ★待つ場所へ一歩一歩の息白し/池田和枝 【入選17句】 ★新橋はD51飾り十二月/霧野萬地郎 ★裸木も凛々しくありて城下町/河ひろこ ★講堂に割れんばかりのハレルヤを/岩本康子 ★白菜の剥がされて白を増しけり/堀佐夜子 ★冬満月影は平らに圧されけり/脇美代子 ★冬の川水深の線ぎっしりと/相沢野風村 ★雪折れの松の匂える峡の道/磯部勇吉 ★北風に掃かれて門前さっぱりと/岩崎楽典 ★綴代の厚み際立つ古暦/日野正人 ★冬芒高々蒼き月仰ぐ/能作靖雄 ★熱燗や単身赴任三年目/多田有花 ★一輪の朝陽に光る冬薔薇/高橋秀之 ★大根の冷たき土産に持ち帰る/おおにしひろし ★朝凍の湯気満つ厨ほのぼのと/平野あや子 ★遊ぼうよ風の子雪の子思いっきり/右田俊郎 ★白菜の巻きにそれぞれ夕日かな/大給圭泉 ★石畳に下駄音乾く冬の湯屋/藤田荘二 |