■さら句会/入賞発表Q■

第96回(12月9日)〜第100回(12月18日)

by 管理人

第100回入賞発表(12月18日)/高橋正子選評


【金賞】
★縒り合わす藁鳴く音の注連作/日野正人
新年を迎える注連飾りが、いい匂いのする新藁で清潔に作られているのがいい。藁を縒り合わすときに鳴くようにきしむ音が、注連縄づくり手許の動作をよく描いている。

【銀賞】
★風やめば冬月高く影もなく/山野きみ子)

【銅賞/2句】
★きっかりと木の影を置き冬の朝/おおにしひろし
冬の朝日が、木の影をまったくその通りに、欺くことなくきっかりと地に映し出している。冬の朝の清潔さがよい。


【特選5句】

★鎌の刃の冷たく山の蔭を刈る/宮地ゆうこ
★注連縄の切り口揃え年の市/岩崎楽典
★古き手紙手帳も出して賀状書く/脇美代子
★雪少し積もる町へと蟹食べに/多田有花
★飴色に大根厚く煮上がりし/藤田洋子(正子添削)


【入選15句】

★霜柱立つ月光の蒼白し/磯部勇吉
★裸木に鳥の空巣かほのぼのと/加納淑子
★枯木星ひかり溢して村眠る/小峠静水
★それぞれに菜の葉色づき冬の畑/祝恵子
★霜柱ありて野菜の緑濃く/相沢野風村
★湯舟まで榾折る音の響きける/宮地ゆうこ
★寒椿活けて小さきにじり口/おおにしひろし
★泥肌の薄きを剥げば白き葱/霧野萬地郎
★山盛りの籠からこぼれた柚子一つ/池田多津子
★張り替えし障子にさわと夜の風/大給圭泉
★夕焼に火の見櫓のシルエット/加納淑子
★山茶花の低きに咲けば朝陽来る/古田けいじ
★寒鰤や凛々しくピ−ンとセリの声/能作靖雄
★風邪薬鞄に詰めて空の旅/冬山蕗風
★葦枯れて蓬髪茫洋干拓地/河勝比呂詩

▼選者詠/高橋正子
飛行機雲の生まれ始めし冬茜
暮れゆける雲のあかるさ山茶花に
雪嶺の雪の厚さを遠くより
..2002/12/19(Thu)13:01

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by 管理人

第99回入賞発表(12月17日)/高橋正子選評


【金賞】
★凍空の火の粉飛び散る造船所/平野あや子
炸裂した火の粉が、凍てつく空に飛び散る造船所が男性的。

【銀賞】
★寒禽のひと鳴き空をこなごなに/小峠静水
空をこなごなにするように感じれる鋭い鳥声は、冬の厳しさがあればこそ。「寒」は、「大寒」、「小寒」の寒だが、「寒禽」は、「冬の鳥」と同じ季語として使われる。

【銅賞/2句】
★生牡蠣に力一杯レモン汁/守屋光雅
生牡蠣とレモンと、活きがよい。そこへもって力いっぱい酸っぱいレモン汁をかける。疑うことなく新鮮で、句意が平明である。

★冬日向大屋根に降る青燦々/日野正人(信之添削)
冬の日向となった大屋根に、晴れた空の青が燦燦と降り注いでいる。青が降っていると感じたのは、明るいが鋭い把握。


【特選6句】

★仲見世の空の開きたる冬日和/岩崎楽典
★自転車のかごの中なる冬帽子/堀佐夜子
★冬の星見る間に数の増えて来し/加納淑子
★冬蝶に飛ぶしるべなし野路の晴れ/おおにしひろし
★雪原の凹凸しるし陽の傾ぐ/磯部勇吉
★豌豆の花の小さく雪に耐え/太田淳子


【入選20句】

★峠越えれば雪の田の広がりて/多田有花
★雨露を残し枯れ木に星が降る/野仁志水音
★小春日の風柔らかにエリカ咲く/脇美代子
★しぐれ虹沖は眩しきまでに晴れ/澤井渥
★大根を落として水の香を知れる/相沢野風村
★短日の銀嶺仰ぎ陽を惜しむ/能作靖雄
★我が影のうすく先行く大枯野/宮地ゆうこ
★陽を胸にふくら雀の枝離れ/山野きみ子
★羽子板の売れて手締めの「良い歳を」/岩崎楽典
★夕焼けを支えきれずに山眠る/池田和枝
★冬晴れや竿に干される面と籠手/霧野萬地郎
★園バスより手が振られおり雪だるま/河ひろこ
★一歩ずつ歩をたしかめる初の雪/石井信雄
★正座して花の活けらる冬座敷/祝恵子
★寒月の金煌々と枝の上/碇英一
★霜溶けて畦に男ら後ろ手に/福田由平
★新しき年もすぐそこ富士の山/冬山蕗風
★その淡く香る山茶花薄桃八重/河勝比呂詩
★ふるさとの父母が搗く餅塩の味/右田俊郎
★地下鉄を登り外に出で冬の雨/大給圭泉
..2002/12/19(Thu)5:18

by 管理人

第98回入賞発表(12月16日)/高橋正子選評


【金賞】
★白菜を二つ土産に持ち帰る/日野正人
この時期のざっくばらんな普段の生活がいい。農家の人に白菜を、「もって帰りなさい。」と、両腕に持てる二つをもらい、お土産という嬉しい気持ちで持ち帰った。楽しい人である。

【銀賞】
★太き根を張れば冬芽はたくましく/古田けいじ

【銅賞/2句】
★氷点の大気薄くてオリオン座/小原亜子
氷点の大気は、なるほど薄いのかと頷かされる。息を吸って冷たくて、胸が張る感じがする。それが薄いという感覚。見上げる空のオリオンの光が冴えている。

★裸木に暮れ残る空ありにけり/加納淑子


【特選5句】

★新漬のたくあんぱりっと大根の香/池田多津子
率直な把握と表現が、句意にぴったり。新漬のたくあんには、まだ大根の香りが残り、歯ごたえもぱりっとして、新漬けならではのおいしさがある。

★義士の日に句敵に遭いし橋の上/小峠静水

★霜晴の木の香流れる山に入る/宮地ゆうこ
★小鳥群れ来すがた晦ます枯の中/碇英一
★葉牡丹の雨のしずくをとどめおり/大給圭泉


【入選16句】

★耕やされ寒肥の臭い小雨降る/祝恵子
★白手袋恋し駅長たりし父/おおにしひろし
★牡蠣小屋に味噌汁滾る昼餉時/磯部勇吉
★仰ぎ見て息を詰まらす星の冴え/岩崎楽典
★春支度オーバー縫い上げ着けてみせ/河勝比呂詩
★我が庭のかまくらに猫入りくる/冬山蕗風
★木枯しや棟上げ加勢隅々を/能作靖雄
★浅眠る耳に聞こえ来聖歌あり/堀佐夜子
★玻璃越しに聖樹の灯点り会議続く/岩本康子
★陽を受けて無垢の新雪岩手山/相沢野風村
★冬の森黄金に染めて日は西へ/多田有花
★年の瀬の都市の夜景へ観覧車/霧野萬地郎
★毛糸編むリズムに過ぎし事なども/山野きみ子
★点灯へひろぐどよめき星冴ゆる/平野あや子
★煮凝の鰤の香放つ飯の上/澤井渥
★餅搗きてずしりと大地震わせる/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
 秋田・信州から林檎が届き
戴きて溢るるほどの林檎の赤
 脇美代子さん作
干支未暮より金の耳をして
荒星に富士の山小屋閉づるらむ
..2002/12/19(Thu)5:10

by 管理人

第97回入賞発表(12月13日〜15日)/高橋正子選評@

【金賞】
★ショベルカー雪の河川を抉る音/太田淳子
川が涸れる季節には、河川工事が始まる。雪の積む地方では、美しく雪の積む河川を抉る。寒冷に抗する機械の音、寒冷に耐えての人の行い。大きな自然の中に、人間の行為がはっきりと見える。

【銀賞】
★散るは散り軽ろ軽ろとみな枯れおりぬ/碇英一

【銅賞/3句】
★蕪抜く土はいつもの色をして/脇美代子
★シリウスのせり上がり来て霜気配/古田けいじ  
★連なりて山ふかぶかと眠りける/宮地ゆうこ

【特選5句】
★冬晴れや仰ぎて探す雲一片/多田有花
あまりの晴れ具合に、それでも雲がありはしないかと空を探す。それほどに珠のごとくに空は晴れている。

★水平線真青に冬の島平ら/柳原美知子
水平線が真青に見える日は、それほどに晴れて、青い光がよく届き、島が平らに穏やかに横たわる。冬麗の日の海の景色が美しい。

★注連作り習い藁の香持ち帰る/澤井渥
★降誕祭古きイコンを立てし部屋/霧野萬地郎
★草枯れて水辺の杭の色となる/加納淑子
..2002/12/16(Mon)9:55

by 管理人

第97回入賞発表(12月13日〜15日)/高橋正子選評A

【入選34句】

★冬麗の一日静かに暮れゆけり/岩本康子
★夜を学び冬の明け空目にしみる/野仁志水音(正子添削)
★風寒く崩れておわす石仏/祝恵子
★麦の芽の夕日は土という土に/小峠静水
★貼り終えて障子真白く庭へ向く/藤田洋子
★今日終えてオリオン南に高く見る/宮地ゆうこ
★吊るし柿陽を溜め終えて風に揺る/池田多津子
★ロケットの斬り込んで行く冬の天/脇美代子
★達磨ストーヴぐるり囲みて始業前/河勝比呂詩
★雪分けて抜きし白根に温みあり/能作靖雄
★加わりて片頬ぬくき焚火かな/野田ゆたか  
★子が笑い帽子が笑い冬日和/池田和枝
★発車して駅長冷たい尾灯指差す/おおにしひろし
★雪降るや歩くものなき街となり/冬山蕗風
★パンジーの雪の下より生まれおり/大給圭泉
★朝練の子等息白く曲がり来る/古田けいじ
★もみ大樹凍てつく夜のクリスマス/右田俊郎
★空風や干魚の口へ串を刺す/平野あや子
★火の色に榾の崩るる軽き音/小峠静水
★亡父の書庫緋表紙ありき漱石忌/安丸てつじ
★山裾に広がる家々冬の晴れ/馬場江都
★雪暗や遠目に白き鳥の列/磯部勇吉
★花柊密かに消えし小路の名/碇英一
★冬ざれの斜面に座する千体仏/河ひろこ
★子が母の肩にまどろむ冬うらら/福田由平
★よき日和賜り冬の庭いじり/堀佐夜子
★極月や義士の奥津城香もうもう/岩崎楽典  
★つぎつぎと白鳥の群れ今日の空/守屋光雅
★街中の明かりに負けず冬の星/高橋秀之
★しっかりと雪を受止め猫と居る/相沢野風村
★公園の樹木も寒しこも巻きて/津村昭彦
★大空をさえぎり黒木傾けり/山野きみ子
★冬嵐列車めがけて海騒ぐ/藤田荘二
★水鳥の鳴き声尖る狭さかな/大石和堂

▼選者詠/高橋正子
冬林檎そのおおらかに赤くあり
涸れ川に映れる空を疑わず
冬霧に目を凝らしいて船の影
..2002/12/16(Mon)9:53

by 管理人

第96回入賞発表(12月9日)/高橋正子選評

【金賞】
★日に光り月に光りて草枯るる/藤田洋子
昼間、日の光りに輝いていた枯草は、夜は月の光りに照らされて、また違う光りに賛歌を受けることになった。

【銀賞】
★雪は霏々空へ水噴く銅の鶴/霧野萬地郎

【銅賞/2句】
★剪定の切れ口白く冬空へ/古田けいじ
剪定の切れ口の白さを、冬空の下に鋭く見て取った。「切り口」でなく、「切れ口」といいうから、切られた状態のそのままの白さ鋭さが残っている。

★息白く日翳る径をすれ違う/脇美代子
日翳る径の道幅さえわかるような冷え込んだ朝の光景。急ぎ足にすれ違う互いの息が白く、朝の冷え込みをよく感じさせる。

【特選5句】

★焚き火爆ぜどっと男の輪が解ける/右田俊郎
★子らを待つ教室にストーブ赤々と/池田多津子
★暮れかけてより降る雪のひとしきり/磯部勇吉
★花八つ手暮れてその日の手を洗う/小峠静水
★遠あかね枯木の影より暮れてゆく/山野きみ子

【入選19句】

★籾殻へ小さき冬菜顔出しぬ/堀佐夜子
★冬空に三日月の住む帰り道/大西水音
★氷点下かがやく朝の水を汲む/宮地ゆうこ
★雲間より差す陽枯野を曝しけり/都久俊
★霜の花夜明けの草を飾り立て/岩崎楽典
★福引の玉のことりと町師走/平野あや子
★冬の夜の刃物の如く黒き影/吉田晃
★薄日差し白鳥の声空さがす/守屋光雅
★囲炉裏端火の粉もごちそう根深汁/池田和枝
★初雪や束の間の刻童心に/冬山蕗風
★極月や訪う人の手に暦/多田有花
★何はなく行くも還るも花八つ手/福田由平
★座席には活きのよい牡蠣子へ運ぶ/祝恵子
★切妻の西面雪に月を待つ/相沢野風村
★噴水が上がれば生まれる冬の虹/古田けいじ
★時計台秒針が刻む寒没日/おおにしひろし
★夫の背を払い暖とる雪の夜/大給圭泉
★新雪の轍踏む足歳らしく/能作靖雄
★日記買う来る年もまた愚冒すや/河勝比呂詩

▼選者詠/高橋正子
裸木の枝の交差に千々の空
凍雲のどこか明るい縁を持つ
真夜急に水道水の手に凍てる