■さら句会/入賞発表N■

第81回(11月21日)〜第85回(11月27日)

by 管理人

第85回入賞発表(11月27日)/高橋正子選評

【金賞】
★冬木立あちこち巣箱現るる/相沢野風村
すっかり葉を落とした木立に、高々と現れたのは巣箱。葉が茂っていたときは隠れていたものが現れて、意外にも楽しい光景となった。冬の明るさがよい。

【銀賞】
★手袋を脱ぎて嬰子にふれおりぬ/大給圭泉

【銅賞/2句】
★森騒ぐ音の近けり北風吹く夜/おおにしひろし
耳を良く澄ませ、気持ちを一つの方向に向けた詩情のある句。北風の吹く音に、生きている森を感じた。

★木枯しに人の呼ぶ声混じりおり/小峠静水


【特選5句】

★あの峰に今日も日の入る落葉掃き/宮地ゆうこ
★雪止めばぽっかり明るい保育園/河ひろこ  
★大淀川冬夕焼けを流しけり/堀佐夜子
★学生と黄落の道同じくし/加納淑子
★冬山をいくつも越えて通勤す/日野正人


【入選21句】

★マフラーに気持ち半分埋め行く/池田和枝  
★枯れ菊のくべられてなお香高き/河勝比呂詩
★銀杏散る街行く我へも同じ風/古田けいじ
★庭いっぱい甘藷干されて陽の甘み/池田多津子
★樅の樹に灯りを点し待降節/岩本康子
★眼裏に紅葉残して帰路急ぐ/山野きみ子
★山紅葉流れる先に水の音/林緑丘
★風冴えて青ガラスの空壊れそう/都久俊
★葉牡丹の向き揃いたる畑かな/碇英一
★陶工房すみずみ冬日入り来る/藤田洋子
★雨降りて手をも冷たく握りコブ/津村昭彦
★黄落や空の透けたる無人店/岩崎楽典
★葉牡丹の所狭しと並ぶ畑/祝恵子
★陽に晒す小枝の先まで冬木立/霧野萬地郎
★鷹峯三山毎に冬もみじ/福田由平
★みな仰ぐ視線の先に聖樹あり/多田有花
★冬ざれてただ静かなる白き雨/磯部勇吉
★おはようの声垣根越し山茶花/右田俊郎
★えのころ草枯れて雨滴をはじかざる/戸原琴
★自転車で柿一枝を届けきし/脇美代子


▼選者詠/高橋正子

 光雅さんより松山句会に
うす緑の林檎に葉をつけ届けらる
冬の夜を澄ませることもジャズピアノ
寒々と暮れたる風の薔薇煽る
..2002/11/30(Sat)2:24

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by 管理人

第84回入賞発表(11月26日)/高橋正子選評

【金賞】
★散りてなお欅大樹の空の位置/脇美代子
空に大きく茂り、そして紅葉し、ついには散っても、広がっている細やかな枝は、依然として空にその位置を占めている。枝を透けて見える空が大きい

【銀賞】
★冬鴎戸ごと海鳴る音高し/平野あや子

【銅賞】
★冬晴れの光溢れる礼拝堂/岩本康子
眩いばかりの明るさの中、清らかな空気の流れる礼拝堂がいいですね。(藤田洋子)


【特選6句】

★ぎんなん売る子らの声高く澄み/池田多津子
今年とれたばかりの白いぎんなんを売る。「ぎんなんはいかがですか。ぎんなん、買ってください。」と元気よく叫んでいるのか、秋晴れの空に声が高く澄んで響いている。元気な子どもたちの声が清らか。

★銀杏大樹夜空を占めて金色に/藤田洋子
銀杏黄葉は、夜空に聳え立っても、その黄色は金色といえるほど全身で黄葉している。黄色を徹して夜空との色の対比が美しい。

★嵐山の紅葉を本へ置いて閉ず/霧野萬地郎
★枯蓮の水嵩動けば雲も動く/小峠静水
★西風に伊吹の冬の届きけり/古田けいじ
★白き天突く木蓮の冬芽逞し/おおにしひろし(信之添削)


【入選19句】

★透き通り空空となる冬満月/相沢野風村
★冬の雨空気和ませ上がりたり/岩崎楽典
★人込みをひとつ頭抜ける大熊手/霧野萬地郎
★蔦紅葉少年の日の松山城/安丸てつじ
★雲低くたそがれ早し冬薔薇/堀佐夜子
★はずれより枯山水の庭時雨る/都久俊
★裸木やしっかと宿る生命の芽/右田俊郎
★胸底にほのと灯りや聖樹立つ/多田有花
★銀杏黄葉幸せそうなセレナード/福田由平
★観音さまおおらかに笑み冬もみじ/祝恵子
★電線の区切る縦横冬の空/碇英一
★争うを忘れて帰る寒鴉/加納淑子
★掃けばまた風押し返す落葉かな/磯部勇吉
★散歩道黄葉のそそぐ神田川/大給圭泉
★根深汁ぼつぼつ暮れの話も出/河勝比呂詩
★頭髪にリズムのありて銀杏踏み/守屋光雅
★電飾に街光りだす冬の暮れ/山野きみ子
★夢に見し君より届くラ・フランス/平野あや子
★ほうれん草和える箸先かおり立つ/宮地ゆうこ
No.2120 2002年11月27日 (水) 08時20分
▼選者詠/高橋正子 管理人

木枯らしの外を吹く音の海より来
鴨の池映れるものはみな映り
鴨の陣増えゆき池の新しく
No.2121 2002年11月27日 (水) 08時55分
..2002/11/30(Sat)2:20

by 管理人

第83回入賞発表(11月25日)/高橋正子選評


【金賞】
★蓮枯れて枯れゆく山の映るのみ/金子孝道(信之添削)
枯れてゆく蓮の水に、枯れてゆく山が映って蕭条とした景色だが、景色がよく澄んで緊張感がある。一旦は枯れるものに再生の力がしっかりと準備されていることが伺える。

【銀賞】
★山を出づ冬月大きく真正面/池田多津子
山を出たばかりの月が煌々と輝いて、真正面にあるという感動が大きい。秋の月よりも厳しく澄んでくる冬月が、心の内まで照らしているようである。

【銅賞/2句】
★大根に水切る如く刃を入れる/戸原琴
みずみずしい大根を切る感触を、このように「水切る如く」と言った。大根の太さ、みずみずしさは、やはり冬の季節のもの。

★散りきって今朝新しき冬木立/古田けいじ(正子添削)


【特選5句】

★酒粕の分厚き板をいただきぬ/祝恵子(正子添削)
★一湾の黒さを包む街冬灯/脇美代子
★北山の樹間の明るさ冬もみじ/福田由平
★一人でも月の出ている枯れ芙蓉/おおにしひろし
★声あわす大縄跳びに空ひろがる/宮地ゆうこ(正子添削)


【入選20句】

★島つなぐ冬灯の中を戻りけり/多田有花
★ひそひそと落葉重ねる林かな/岩崎楽典
★七輪の炭火の匂う三の酉/加納淑子
★冬雨に耳削ぐごとく救急車/堀佐夜子
★消灯に瞬き冬の星座表/碇英一
★水鳥の羽音一斉陽に向かい/池田多津子
★冬の夜の乾杯若き一家族/山野きみ子
★大根の十指に強き張りを返す/戸原琴  
★ひざの上幼子蜜柑を握りしめ/高橋秀之
★冬の霧峡に流れ闇に消ゆ/相沢野風村
★ほうとうの湯気に箸割る冬あたたか/藤田洋子
★蜜柑剥き峠の午後を楽しめり/霧野萬地郎
★棒杭に水光上る小春凪/磯部勇吉
★じわじわと風邪気の熱に憑かれをり/平野あや子
★雪降るや篝火の燃え尽きる闇/冬山蕗風
★花八手樋も庇も無愛想/河勝比呂詩
★湖の匂う夕暮れ雪蛍/大給圭泉
★夕時雨声の溢れる体育館/能作靖雄
★ラベンダー香る湯船や冬浅し/岩本康子
★木の葉散る幹の高さに時かけて/金子孝道


▼選者詠/高橋正子
 砥部焼梅山窯
鉄扉閉め陶器工場の大暖房
冷たかる陶土ひらいて一皿に
冷たさに冷めつつ窯出しの陶器
..2002/11/26(Tue)10:35

by 管理人

第82回入賞発表(11月22日〜24日)/高橋正子選評@


【金賞】
★川青し銀杏黄葉の一本に/碇英一
大変澄明な句。すっきりと聳える銀杏の樹一本に、川が青く流れる混ざり気のない鮮明な世界がある。つまり、心の把握が鮮明で澄明である。

【銀賞】
★枯芙蓉形崩さず枯れ尽くす/馬場江都
実は実の形のまま、枝は枝の張り具合のままに枯れた芙蓉の姿に、毅然とした枯れの姿があって、花にも勝る枯淡の美がある。

【銅賞】
★黄落に電車の軋み箱根山/石井信雄
箱根山の全山のもみじを、車輪を軋ませながら登る登山電車に、読者まで乗せられて登って行くような楽しさがある。箱根山に愛着が湧く。


【特選5句】

★どこまでも枯れ音を踏み山下る/霧野萬地郎
★銀杏散る意思ある如く真っ直ぐに/古田けいじ
★ラフランスみどりの月の香りもて/戸原琴
★ゆく船の冬日を引いてすみだ川/大給圭泉
★枯欅梢に星の見え隠れ/藤田荘二
..2002/11/26(Tue)10:31

by 管理人

第82回入賞発表(11月22日〜24日)/高橋正子選評A


【入選34句】

★はりつめて空映したる冬の水/宮地ゆうこ
★窓を拭き又窓を拭く雪催/相沢野風村
★落葉踏む淋しきときは音起てて/加納淑子
★猟人の背負いし銃や山へ入る/平野あや子
★室の花届きて古き調度映ゆ/山野きみ子
★晴天に懸大根の白さかな/堀佐夜子
★窯を出る皿に初冬の光かな/多田有花
★濃き色を選び毛糸編みはじむ/大給 圭泉
★ラフランス銀器に映るうすみどり/戸原琴
★時雨来て忽ち消える桜島/脇美代子
★家並みに銀杏黄葉の抜けて立つ/岩崎楽典  
★冬満月高きところに雲照らす/相沢野風村
★紅葉散る空昨日より透きとおり/多田有花
★霜の朝今日は良き日と歩み出す/池田多津子
★青白く明けゆく雪の湯宿かな/河ひろこ
★湯の滾る音のみのある冬座敷/右田俊郎
★柿吊るす横に洗濯もの干して/おおにしひろし
★初霜や空の青さに煌めきぬ/能作靖雄
★公園の黄葉何処へ並木路/津村昭彦
★小雪の小菊いくつも黄を見せて/福田由平
 高円宮ご薨去を悼み
★かの笑顔明るき冬の星となる/岩本康子 
★牡蠣御飯刻み生姜を薬味とし/守屋光雅
★寒けれど一日晴れむ夜明けかな/守屋光雅
★小春日や上着脱ぎ捨て苗植うる/池田和枝
★紅葉照る京都大原三千院/都久俊
★冬うららおとぎの国の白亜城/冬山蕗風
★寒空にクレーン車吊り上ぐ重き鉄/祝恵子
★凩や小さな木には低く吹く/野田ゆたか
★田鳧飛ぶ向き返るときみな光る/磯部勇吉
★急ぎ行く齢ではなし落葉道/古田けいじ
★あ・うんの 二人のたつき 菜洗う/堀佐夜子
★木枯しや我が弱腰のひゅうと鳴る/河勝比呂詩
★小雪の一村永遠に水底に/小峠静水
★雪吊りの整ひ加賀の雲低し/小原亜子


▼選者詠/高橋正子
 てつじさん
短日の潮の青へ友を送り
 有花さん
高速路を帰れる友にも日短か
 高浜港
冬鴎波に翔び来て生ける白
..2002/11/26(Tue)10:30

by 管理人

第81回入賞発表(11月21日)/高橋正子選評@


【金賞】
★風呂吹の熱きに柚子のよく匂う/ おおにしひろし
熱くて湯気の立っている風呂吹き大根と黄色い柚子が優しい印象である。「よく匂う」とはっきりと言われてしまえば、頷かざるをえない。あつあつの風呂吹きの美味な一品に満足。

【銀賞】
★枯葉持つ一樹は風を遠巻きに/小峠静水
枯葉となった一本の樹が、風を遠巻きにしている姿が高く、内面に迫る句である。句歴の重みが感じられる句でもある。

【銅賞/2句】
★街灯を昼から点し雪降れり/相沢野風村
真昼間の街灯が点るほどに、雪が小止みなく降っている。ほうっと点る街灯の明かりと、遠くを消して降る雪とに遠近感が良く出て、大変美しい雪国の景色となり、暮らしの深さを物語っている。


【特選5句】

★柿二つ机の上の灯を増やす/加納淑子
机に置いた二つの柿が、柿の実の中から灯が点るように明るい。勉強机に置かれたのだろうか。今点る灯に加えられた柿の実の色が澄んで美しい。
★白菜の固き締まりを腕に抱く/宮地ゆうこ
★白鳥の背に夕日を乗せて来る/磯部勇吉
★酢橘の香刻みし菜漬に滴らす/馬場江都
★柿落葉掻けば落ち葉の香を立てる/岩崎楽天
..2002/11/24(Sun)13:14

by 管理人

第81回入賞発表(11月21日)/高橋正子選評A


【入選12句】

★散る紅葉水車ゆっくり回る午後/祝恵子
★風呂吹の冬大根をざくと切り/おおにしひろし
★江戸切子削り寒灯の町工場/山野きみ子(信之添削)
★ビー玉に光溢れて冬の窓/青海俊伯
★末枯の山間走る一輌車/大給圭泉
★ジーンズの破れしひざ小僧林檎拭く/右田俊郎
★山門や楓紅葉を登り来て/碇英一
★シスターの片手の篭に蜜柑あまた/河ひろこ
★枯草になくせしボールの二つ三つ/都久俊
★冬海へはるか大路は下りゆく/霧野萬地郎
★重機吠ゆ冬耕と見し我が眼前/河勝比呂詩
★散る落ち葉車椅子をば追い越して/堀佐夜子


▼選者詠/高橋正子
鴨泛いて水やわらかに窪みたる
ガラス戸を明るく占めて冬もみじ
冬の夜を紺糸美しく縫いおりぬ