■さら句会/入賞発表M■

第76回(11月14日)〜第80回(11月20日)

by 管理人

第80回入賞発表(11月20日)/高橋正子選評


【金賞】
★霜月の椅子の軋みに深々と/小原亜子
座り慣れた自分用の椅子での読書であろうか。軋む音にも馴染んで、心落ち着けて座ることが出来る。霜月がそうさせるのであろう。

【銀賞】
★橙や扉ぶあつき礼拝堂/碇英一
礼拝堂の扉と橙とに、明るく柔らかに日が差しているような印象である。この二つ、扉と橙の取り合わせに暖かさがある。

【銅賞/2句】
★窓際に寄れば冬日の懐かしさ/祝恵子
冬日の懐かしさに、気持ちが大きく膨らむ。懐かしいことさまざまが入り混じった冬の日差しが柔らかい。

★満月の大根畑にひかり降る/宮地ゆうこ
満月光が大根畑に降る景色だが、冷ややかな光の中にも、ゆたかにたっぷりとした趣がある。「ひらひらと月光降りぬ貝割菜/川端茅舎」を思い出させる。


【特選5句】

★校庭の空に光りて木の葉飛ぶ/藤田洋子
★たなびきし紀伊の噴煙冬ぬくし/平野あや子
★教室に光広がり今日小春/池田多津子
阿賀古渓谷
★朴枯葉がさりと落ちてガレの道/おおにしひろし
★枇杷の花富士をかたどる波郷の碑/山野きみ子


【入選17句】

★もののふの駆けし山道木の葉雨/霧野萬地郎
★朧月高く懸かれる冬の宿/岩本康子
★山ひとつ柞黄葉に枯れわたる/磯部勇吉
★焚火して残る匂いの手暗がり/小峠静水
★逆光の紅葉仰ぎぬ夕ごころ/堀佐夜子
★木枯しに背中を向けてココア飲む/多田有花
★まっかだな第一声は紅葉谷/福田由平
★息白しスクランブルの交差点/河勝比呂詩
★枯蓮や月の光の物凄し/右田俊郎
★寒月へふっと一息白き道/日野正人
★病院の薬を飲むや波郷の忌/冬山蕗風
<清水寺>
★八橋を焼く坂の店冬入り日/古田けいじ
★晩学は黄落のなかカンタービレ/加納淑子
★欅落葉神主運ぶ一輪車/守屋光雅
★武蔵野線西に行くほど紅葉増し/岩崎楽典
★よろよろときままに幼児冬うらら/大給圭泉
★銀箔のときにこわれて冬の川/戸原琴  

▼選者詠/高橋正子
白波をいくつ数えて冬の海
黄落の耳の後ろの風の音
行き当たる桜紅葉の眩しかり
..2002/11/24(Sun)12:27

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by 管理人

第79回入賞発表(11月19日)/高橋正子選評

【金賞】
★すっきりと葉牡丹植えて朝晴れる/藤田洋子
生き生きと植えられた葉牡丹が目に見えるようだ。葉牡丹に水が遣られて露が光っている。朝の晴れと響きあう葉牡丹の清々しさがよい。

【銀賞】
★小春日の青の深さに体浮く/日野正人
小春日和ののどかさをなんと言おう。空の青に身が浮くようであり、海の青に身が漂うようである。清新な感覚が働いて小春日の一日を満喫している。

【銅賞/2句】
★持ち帰る木の実ピアノの蓋の上/山野きみ子
持ち帰った木の実を、小さな手がピアノの蓋に置いたのだろう。木の実を置かれたピアノがかわいい音で鳴り出しそうで、秋のいい時間がある。

★冬天やポケットの中の両こぶし/大石和堂
高い冬天に対しての己の両こぶしの確実さ。寒さを身に引き寄せて受け止める確かさがユニーク。表現方法としての切れ字「や」の使用は、一考を要する。


【特選5句】

★短日の影はななめに畝を切る/宮地ゆうこ
★橋灯り落として煌く冬の川/河ひろこ
★香り立つまばゆき白や懸け大根/右田俊郎
★綿虫の流るるごとき飛んでおり/相沢野風村
★セーターを脱ぎ天狗等の棲む山へ/霧野萬地郎


【入選15句】

★白鳥の風切る音の来たりけり/磯部勇吉  
★冬鳥鳴く楽しく歩き始めれば/祝恵子
★冬の陽に筏眩しき伊勢の海/高橋秀之
★短日の駅のホームに影大き/碇英一
★一抱え新藁積みし乳母車/柳原美知子
★取り入れし毛布担げば日の重さ/池田和枝
★冬もみじたけなわの色はね返し/福田由平
★楓散る中を落ちけり冬の滝/多田有花
★曳き船(タグボート)冬涛に揉まれタンカー曳く/おおにしひろし
★疾風が運河へ斜めに葉を降らす/古田けいじ
★しじまなる障子明りに如来像/平野あや子
★山頂の紅葉を傘に握り飯/岩崎楽典
★軒の竿凍みて大根ぶら下がる/守屋光雅
★息災の夫がいるなり石蕗の花/大給圭泉
★山のホテル聖歌流れるランチかな/堀佐夜子  


▼選者詠/高橋正子
森深き落葉時雨を目のあたり
落葉踏む黄蘖・朽葉という色を
くぬぎ紅葉踏めば軽かりその音も
..2002/11/24(Sun)12:21

by 管理人

第78回入賞発表(11月18日)/高橋正子選評


【金賞】
★冬の虹隠岐の海より立ちあがる/加納淑子
「立ちあがる」虹は、片虹であろう。その虹によって隠岐の海が寒々と、見えぬ水蒸気が上がっているように感じられる。深い余情がある。

【銀賞】
★吹き溜まる枯葉の赤の柔らかし/日野正人
「赤」を「柔らかし」と感じた感覚が、それこそ柔軟である。まだ活きているような赤が印象に残る。

【銅賞】
★真四角に窓が切り取る冬茜/青海俊伯


【特選5句】

★鶺鴒の翔ぶ一瞬に藍残し/山野きみ子
つっつと長い尾を棒を引くようにして翔ぶ鶺鴒だが、翔んだあとの空に藍色の残像が残ったというのであろう。清冽な印象である。

★早々と新手帳にも書き込める/冬山蕗風
新しい手帳を手に入れて、早速に来年の予定を書き込む。早々と書き込むうれしさに、今にも新しい年が始まりそうである。

★冬星冴え街の眠りを深くする/堀佐夜子(正子添削)
★素通りの特急寒さを撒き散らし/岩崎楽典
★冬の雲低く川筋光たる/多田有花


【入選23句】

★大根抜き土の匂いと陽に酔いぬ/能作靖雄
★届きたる林檎ずっしり夕焼色/太田淳子
★駆ける子ら追い越す落葉の音軽く/池田多津子
★三輪車こぐ子に落葉ついてくる/祝恵子
★風に聴くどこかで枯るる葦の音/小峠静水
★やわらかに影を畳んで朴落葉/宮地ゆうこ
★セーターを選んで冬のもみじ見に/福田由平
★冬日向ワイングラスの指紋拭く/藤田荘二
★誕生祝いのネクタイ締めて落葉街/古田けいじ
★朝ごとに枯木となれる欅かな/碇英一
★山黄葉散り敷く径の明るかり/磯部勇吉
★木枯しの去りて生ける物うごき出す/相沢野風村
★黄菊咲く線路沿いなる小さき坂/福島節子
★鉢のものほとんど種となりにけり/澤井渥
★冬の日をレンズに集め採火式/河勝比呂詩
★紅玉のひとつ残りて冬の鳥/右田俊郎
★舞い込みし紅葉一葉の濃かりけり/大給圭泉
★女子マラソン銀杏黄葉駆け抜ける/守屋光雅
★中天の月に冷気の光りけり/吉田晃
★朝の日を透かして軽し冬薔薇/脇美代子
★冬の夜の満月の湖にあこがれる/おおにしひろし
★冬ぬくし伏目に在はす技芸天/平野あや子
★紅葉散る寺の太鼓にこだまして/霧野萬地郎

▼選者詠/高橋正子
冬海の荒れそのままの合歓の枝
切り込みの深き広葉も落葉せり
冬烏斜交いに来て鋭かり
..2002/11/24(Sun)12:17

by 管理人

第77回入賞発表(11月15日〜17日)/高橋正子選評@


【金賞】
★障子開け日本海を近づける/大給圭泉
旅の宿であろう。障子を開けたときに見えて、自分に迫る冬の日本海への新鮮な驚き。その驚きが読む者をそこへ連れて行ってくれる

【銀賞】
★虹立てて水遣られおり葱の畝/碇英一(正子添削)
小春日和の水遣りであろう。葱の緑が力強く、その上に生まれる虹が明るい。

【銅賞2句】
★桜紅葉表に裏に陽を影を/馬場江都
桜紅葉が、陽に風にちらちらと戦ぎ、日当たる様子を細やかに観察している。

★七輪に炭火爆ぜれば皆黙す/脇美代子

【特選5句】

★三山の力抜くとき初しぐれ/野田ゆたか
★大根切る真白を重ね今日良き日/柳原美知子
★天秤の軽きが沈むすきま風/大石和堂
★石蕗生けるガラスの気泡に陽が充つる/藤田荘二
★夜明けには裸木となるものも見ゆ/福田由平
..2002/11/24(Sun)12:13

by 管理人

第77回入賞発表(11月15日〜17日)/高橋正子選評A


【入選30句】

★店棚に潮の香の濃き寒もずく/下地鉄
★止まるたび雪片入りこむ宅急便/河ひろこ
★朝顔の種のするりとこぼれ落つ/冬山蕗風
★たっぷりと白菜入れて鍋囲む/安丸てつじ
★鶏頭花火種のごとく咲き残る/太田淳子
★柚子浮かせいつもよりながき湯に/おおにしひろし
★日に幾度出入る戸口や枇杷の花/宮地ゆうこ
★黄落にハングライダーふわり降る/池田多津子
★公園を斜めに抜ける冬薔薇/霧野萬地郎
★眼底を覗かれている灯の冷たさよ/平野あや子
★東天に冬の月あり灯油買う/古田けいじ
★初冬の山に向かいて息を吸う/多田有花
★紅葉のその色は無き絵具箱/戸原琴
★散り敷いて落葉のどれも色違う/藤田洋子
★うどん屋の席待つ二人冬日向/岩崎楽典
★藁の香の軽やかに散り亥の子歌/池田多津子
★手際よくおろす大根妻の味/高橋秀之
★鴨群れて餌撒く刻へ動きけり/磯部勇吉
★小春日の明るき軒に野菜吊る/能作靖雄
★白鳥の古称鵠(クグイ)と辞書に引く/堀佐夜子
★北風(きた)に乗り悠然俯瞰鳶一羽/河勝比呂詩
★冬薊明るくなりし森の道/右田俊郎
★吹く風に日に日に折れて芦枯るる/小峠静水
★大根を揉んで漬ければ薄日差す/守屋光雅
★道譲ずれば積もりし落ち葉あたたかし/祝恵子
★冬の空好一対の山ありて/相沢野風村
★地下足袋の指間に挟む草もみじ/澤井渥
★夕暮れの八雲旧居に石蕗の花/加納淑子
★ひと鉢の紅葉一塊の赤燃ゆる/山野きみ子
★石段を一つ飛ばしに千歳飴/池田和枝


▼選者詠/高橋正子
わが鉢の末枯れたるを日向へと
枯れ道の白くかがやく固さ踏む
日暮れゆく風が紅葉も髪も吹き
..2002/11/24(Sun)12:12

by 管理人

第76回入賞発表(11月14日)/高橋正子選評


【金賞】
★皇居への道は真っ直ぐ銀杏散る/霧野萬地郎
皇居へ真っ直ぐに続く道は、都市としての設計であって、黄落の季節の首都の銀杏並木を平坦に詠んだ。

【銀賞】
★冬菊のやんわり括られ匂いけり/堀佐夜子

【銅賞/2句】
★髪洗う耳に木枯し届きけり/多田有花
髪を洗うときに耳の辺りが一番ひんやりするが、そこに木枯らしが吹く音が届いた。「耳に届く」は、リアル。季語は「木枯らし」。

★冬銀河厩舎静かに馬眠る/碇英一


【特選5句】

★甕の底より切干をひとつかみ/宮地ゆうこ
★枯れし葭枯れし葭へと風渡る/小峠静水
★温もりの色もて雑木冬に入る/山野きみ子
★空に生まれ光りの黄葉降ってくる/藤田洋子(正子添削)
★緋蕪の艶やかな赤引抜ける/おおにしひろし


【入選14句】

★雪降れり連山重き雲になり/相沢野風村
★橋の灯を映す運河を行く黄葉/古田けいじ
★石蕗の花狭庭照らしてもう永き/福田由平
★拝殿の鈴鳴り止まずお酉さま/岩崎楽典
★新雪に解かれて駆ける秋田犬/河ひろこ
★風邪ひきて妻の秘伝の柚漬かな/冬山蕗風
★渡良瀬や走りきりたる冬日和/津村昭彦
★石蕗の黄の照りを弾きし海の碧/平野あや子
★神在す紅葉色よき杜なりき/澤井渥   
★畝々に青首ちょっと大根かな/池田和枝
★傘立ての甕の壊れて冬隣/磯部勇吉
★お初物まずレモン酢で地物牡蠣/河勝比呂詩
★飛来する鴨の日ごとに増える川/祝恵子
★石榴の実枯れおり黒く影落とす/大給圭泉(正子添削)


▼選者詠/高橋正子
銀杏黄葉並木の果ての色も濃き
銀杏みどり夜空を鉄の青となし
白金の冬太陽の日矢長し