デイリー句会2001年/第390回〜第394回


『第394回入賞発表(12月20日)』
事務局 2001年12月21日(金) 17:35:9 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第394回入賞発表(12月20日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

※選者と投句者に限りますが、伝言がございましたら、右上の<返信>をクリックしてお書き込みください。

【最優秀/3句】
★一湾のきらめきを追う冬かもめ/藤田洋子
「きらめきを追う」は、巧み。鴎は、冬海のきらめきを、海から離れることもなく追って飛んでいる。十分に明るい冬の海の広がりと、それに重なる自分の気持ちが、晴れやかに表現された。(評:高橋正子)
素適ですね。「良いなあ、好きだなあ」と思いました。広がり、スピード、空気の冷たさ、夢と寂しさ。全部ありますね。これが句のスケールなんでしょうね。(評:大西主計)

★冬遍路笠に朝日をもらいつつ/日野正人
早立ちの遍路は、上から差す朝の日を先ずもらう。遍路笠は、その形から日を滑らせるように受ける。「もらう」は、遍路の身であれば、なおさらの感慨。(評:高橋正子)
「朝日をもらいつつ」というのがいかにもお遍路さんらしいですね。冷え込む朝の空気の中を歩いて行くお遍路さん、四国です。(評:多田有花)

★もろもろの影の留まる冬日中/柳原美知子
冬日の差すところを見れば、物の影が、一つひとつに生まれている。冬の日によって、生み出されている物影のさまざまであることよ。改めて自然を感じるのである。(評:高橋正子)
朝の冷え込みが嘘のような日中、まるで時間止まったような錯覚に陥るほどです。人の動きも影もすべてが止まって見えます。(評:日野正人)

【優秀/21句】
★冬の雷雲日本海より立ち上がる/磯部勇吉
大きいですね。そして畏れを覚えます。(評:相原弘子)

★冬空へ電線ゆるみなく伸びて/藤田洋子
明るい空。その中を時には眩しく伸びる電線。冬晴れは本当に安らぎます。(評:相原弘子)
凍て空のピーンと張りつめた空気の冷たさが伝わります。(評:山野きみ子)

★凹凸の筆順なぞる冬至の湯/伊嶋高男
どっぷりと湯舟につかりながら、刻まれた文字をなぞりあれこれ回想しているのでしょか。羨ましい限りです。(評:日野正人)
良い一日だったのでしょう。のんびりと湯に浸かりながら何気なく凹凸の筆順を思い起したりして橙を見ていると凹凸の字が浮かんだのでしょう。(評:堀佐夜子)
大変失礼乍ら、一読、思わず笑ってしまいました。いろんな事があって、それで、今日もひとつの一日ではある。さはさりながら冬至の湯を楽しんでいる、と。それはそれで、それなりに満足であり、目出度い、と。とか何とかおっしゃりながら、凹凸ってどうだっけ、こうだな、なんて、指で湯船をなぞっておられるのでしょうか?私もいつか是非こういう句を詠みたいと思います。(評:大西主計)

★新雪に靴跡深く重ねみる/河ひろこ
新雪が積もった朝、誰かが歩いた靴跡の歩幅をなぞって歩いているとずぶっとむぐってしまって足を取られる事が有りますが、ちょっと人の足跡に自分の靴を重ねて歩こうかなと思っているような光景が分かります。(評:磯部勇吉)
これから始まる北国の雪の季節、積もったばかりの軽く新しい雪
なればこその心楽しさなのでしょう。(評:藤田洋子)
「重ねみる」がすごく好きです。勝手に靴跡のドラマを仕立て、雪の街に想いを馳せています。(評:宮地ゆうこ)

★時雨去りコラーンの声や街目覚む/大西主計
イスラム教の国へ行きますとコーランの声が朝早く街中に響き渡り、街が目覚めます。アルジェリアに以前居たことが有りますので懐かしく思いました。(評:磯部勇吉)
ラマダンも明けたテヘランのコーランの声はどのようなものなのでしょうか?私が昔、居ましたタンザニアでは、日暮れになると教会のスピーカーからあの哀愁を帯びた響きがゆっくりと流れていました。それを思い出しています。(評:霧野萬地郎)

★講堂に今年もハレルヤ響きたり/岩本康子
講堂に響くハレルヤコーラスを私も聴いてみたいです。キリスト教徒でなくても敬虔な気持ちになるでしょうね。(評:多田有花)

★年の瀬の刻ゆるやかに句座すすむ/平野あや子
忙しい年の瀬に対して、仲間とゆっくり句会をしている余裕の気持ですね。でも、このような句を作る事自体は、世事を気にされている様子とも、うかがえますが、、。(評:霧野萬地郎)
至福の一時です。俳句をはじめたお蔭でこの平穏なゆったりとした気分を味わうことが出来て本当に幸せです。一度句会でご一緒したいですね。(評:伊嶋高男)

★一抱え葱を洗いて夕べ待つ/宮地ゆうこ
一抱えもの葱を洗って夕餉の支度、今夜は美味しい鍋物でしょうか。家族を思うあたたかさも伝わります。(評:藤田洋子)

★子とぬり絵遊びて描く冬の縁/祝 恵子
ほのぼのとした家族のまどいの風景ですね。冬の縁側にあたたかい日差しがあたっているようです。(評:八木孝子)

★この一年心豊かにシクラメン/堀 佐夜子
シクラメンの花に寄せてこの一年の充実感を噛みしめていらっしゃる年末、デイリー句会無欠席の佐夜子さんなればこそ、一層、心の豊かさが納得されます。(評:八木孝子)

★年歩む大地の自転早すぎる/野田ゆたか
さすがです。大地の自転とは。本当に実感ですね。(評:堀佐夜子)
 
★親潮は群青深し冬の海/小原亜子
寒流の底深い流れ、厳しい冬の海がしのばれます。(評:山野きみ子)

★垣根越し褒め言葉過ぐ冬の薔薇/安丸てつじ
薔薇をはさんで暖かい言葉が交わされる、素敵なご近所ですね。笑顔を頂きました。(評:宮地ゆうこ)

★日は短か初めて土を捏ねし手も/相原弘子
ものを作るときは時間を忘れてしまいます。土ひねり中の作者の動きが伝わってきます。初めての作品、拝見出来る機会があったらいいなと思います。(評:野田ゆたか)

★枯山の蔓の曲線明らかに/脇美代子

★振り向けば冬の海あり天主堂/多田有花

★島の灯のほか冬の闇水平線/霧野萬地郎

★毛糸編む小さき未来に夢乗せて/山野きみ子

★透明な空に吸はれゆく冬の蝶/阪本登美子

★古書店を出れば北風待ちうける/祝恵子

★ 年滲みし円空仏の年の暮/岩崎楽典

『第393回入賞発表(12月19日)』
事務局 2001年12月20日(木) 9:45:49 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第393回入賞発表(12月19日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★赤富士や冬の暮色が麓より/霧野萬地郎
赤富士と暮色と、本当にいい景色である。麓よりのぼる暮色が、しみじみした思いにさせてくれる。(評:高橋正子)
日本人であるからには、富士には憧れがあります。日常に富士を見られる方は羨ましく思います。「麓より」に臨場感があります。(評:田岡 弘)

★霜解けや草の緑が攻め返す/岩崎楽典
「攻め返す」は、うまい。霜に耐え戦う、緑の草の勢いが明るくていい。(評:高橋正子)
霜にも負けない草の緑の強さを上手に表現されていると思います。(評:山野きみ子)

★水仙の蕾りんりと揃いし張り/相原弘子(正子添削)
水仙には、楚々としながらも、気丈さのようなところがあって、蕾が揃うと粛然とする思いである。(評:高橋正子)
これから咲き始める水仙の凛とした清らかさを感じます。(評:藤田洋子)

【優秀/15句】
★水琴に耳を預けて冬温し/堀佐代子
ゆっくりとした時間、背中にあたる日差しもやわらかに。(評:脇 美代子)
清澄な時間を楽しむ作者の生活が見えます。〈好い生活〉とは斯くなるもなのだろう。(評:守屋光雅)
冬の穏やかな一時、水琴窟の音を聞きながら一服といったところ
でしょうか。冬の乾いた空気に、澄んだ音が響いて来そうです。(評:田岡 弘)

★玄関に次々入る白き息/日野正人
冷え込みと寒さの中を息白く来て、次々と玄関へ入る人。親しい間柄なのでしょう。交わす声も、大きく高くなります。(評:相原弘子)

★風やんで日のゆっくりと白鳥に/柳原美知子
風もやみ、その上にゆるやかに太陽。白鳥の白がふくらみます。いい冬です。(評:相原弘子)

★凍空へ串ざしの雑魚高く干す/平野あや子
〈高く干す〉が印象的。冬の潮風を受け乾燥し出し魚となる。正月これでお雑煮をと新年スタート準備の意気込みを読む。(評:守屋光雅)

★寒空に音楽流し灯油売り/祝恵子
我が団地にも、賑やかな音楽をかけて灯油販売に来ます。何気ない会話の中にも、ほっとする話題がでたりして休日の恒例行事?のようです。(評:日野正人)

★山茶花の日々新しき白こぼる/藤田洋子
どんどん湧いてくる様な白い山茶花の力を感じました。(評:大西主計)
「日々新しき白」に感銘しました。生きている限り心がけたいものです。(評:磯部勇吉)

★凍空へ串刺しの雑魚高く干す/平野あや子
瀬戸内海の冬は湿度が低く、風が冷たく良く魚が乾くのでしょう。串刺しの魚を掲げて棹に掛けている情景が「高く干す」で良く写生されていると思います。(評:磯部勇吉)

★タタキ焼く藁あかあかと暮の街/宮地ゆうこ
かつおのタタキですか?土佐ですね。藁の火の色が見えるようです。(評:多田有花)

★行き交う人雪の間に間に見え隠れ/河 ひろこ
豪雪の地、秋田ならではの冬景色。霏々として降る雪のさまがよくわかります。(評:多田有花)
降りしきる雪の中で、行き来する人が見え隠れする、雪深い地方の様子がとてもリアルに描かれています。(評:八木孝子)

★定年の忽ち来る石蕗の花/碇 英一  
年の瀬には自分の年をついつい・・考えさせられる句をこのように表すのですね。(評:大石和堂)

★桜冬芽膨らむ小枝今日の晴れ/堀佐夜子
早々と桜木の芽の膨らみを見つけた喜びが今日の青空のように広がります。(評:藤田洋子)

★朝霜やカーブミラーの境界線/日野正人
1か月ほど前に砥部から峠越えをした道路が、 朝晩は凍結するのでしょうか。木造の校舎は暖かいイメージがありますが、通勤は大変ですね。気を付けてください。 (通学が正しいのでしょうか)(評:伊嶋高男)

★葱刻む男のエプロン甲斐甲斐しい/伊嶋高男
女性からしたら理想 の旦那さまといったところです。伊嶋さんは姿が見えるようです。(評:河 ひろこ)
皆さんで楽しまれているのでしょうか。 (評:祝恵子)

★雪雲の払はれてよりまた雪雲/磯部勇吉
一面の雪景色、そこにしっかりと立つ作者の心象風景がず しりと伝わります。あっけらかんとした高知の青空を見ている者には畏敬の念さえ湧いてきます。(評:宮地ゆうこ)

★ 白鳥のもぐりしあとのしずくして/八木孝子
白鳥の白い羽が濡れてしずくするのは、思わぬ白鳥の生態である。白鳥の違った一 面を見た気がした。(評:高橋正子)

▼選者詠/高橋正子
冬今日もエンジェルフィシュに水を足す
ふるさとのみ かん・蕪・葱つめたかり
煮豆の艶冬ぬくぬくと過ぎている

『第392回入賞発表(12月18日)』
事務局 2001年12月19日(水) 18:54:43 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第392回入賞発表(12月18日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★喉反らしコップ二杯が寒の水/林 暁兵
「素」の持つよさが詠まれた。「喉反らし」「コップ二杯」「寒の水」は、リアルで、実存的。(評:高橋正子)
容を詠んで中7にほれました。季語が生き生きと喉に滑り込む、健康にいいなー。燗の酒でだめだネ。(評:小峠静水)
美味しくて冷たい水の味を感じ、それををグッと飲む様子が目に浮かびました。(評:大西主計)

★鉢植えの柚子の実凹凸影成さず/伊嶋高男 
鉢植えの柚子も、一人前に実をつけて、柚子らしくでこぼこしている。だが、日が差しても、影はどこに生まれているのであろう、見えない。(評:高橋正子)

★切干の笊いっぱいの日の匂い/脇美代子(信之添削)
干大根(懸大根)と切干大根(切干)の区別をつけたい。笊に干された切干大根は、日向の匂いを存分に吸って、日向の色にできあがる。(評:高橋正子)
大根を干すと甘味が出てきて匂いがします。此れがまさに日が凝縮した匂いですね。(評:磯部勇吉)
日々に自然の日差しをいっぱい受けて美味しい干し大根の出来上がりですね。(評:藤田洋子)

【優秀/13句】
★一息に潮の吹き出す海鼠裂く/平野あや子
俎板の上の鮮度の好い海鼠,これからが季節です。三陸では正月料理で〈寒海鼠〉と称しています。(評:守屋光雅)
海鼠をにぎると収縮してぴゅーっと潮を噴出します。塩で揉んでこりこりにして、三杯酢にして一杯やりたいですね。(評:磯部勇吉)

★凍てる月親子の馬は寄り添いて/安増惠子
シャガールの幸せの絵画を連想させる。馬を愛する作者が親子に温かさを見ているところが微笑ましい。(評:守屋光雅)
親馬の愛情と、見守る作者の温かさが伝わってきて好きな句です。可愛い親子の馬、見てみたいです。(評:宮地ゆうこ)

★遥かなる凍てし連山雲光る/田岡弘
今しばらくの冬が輝きます。終わる年や迎える年も、心に浮かび ます。静かな寒さ、冷え込みであってほしいものです。(評:相原弘子)

★くちばしの黄のほんのりと子白鳥/八木孝子
「みにくいあひるの子」ではないのですね。小さいものはなんだっていとおしいですよね。(評:多田有花)

★青空 の街へマフラー軽く巻く/藤田洋子
なんだか颯爽としていますね。さあでかけようー!という感じです。(評:多田有花)

★冬芽抱く桜の小枝しなやかに/岩崎楽典
桜の冬芽はもうつけているのですね。(評:祝恵子)

★冬晴れにたて がみ光り尾が光り/安増恵子
冬晴れの明るい空に相応しい目映いばかりの馬の美しさです。(評:藤田洋子)

★霜の 声真っ暗であり晴れであり/相原弘子
「霜」のありようがリズムとともに感覚に流れ込みます。闇より出でて輝く霜が見えてき ます。(評:宮地ゆうこ)

★天草の海に降りける雪激し/多田有花
南国の海に降る雪の激しさ、どんなだったのだろ うと想像しています。「天草」の海に降る雪にドラマを感じます。(評:八木孝子)

★冬の晴まっすぐクレヨン描きの雲 /宮地ゆうこ

★水仙の楚々たる白さ青き中/岩本康子

★雪止んで雲間に空の青深し/磯部勇吉

▼選者詠/ 高橋正子
冬川を白菊楚々と持ち渡る
クリスマス聖週間の白き菊
灯の中にマフラー包む紐を解く

『第391回入賞発表(12月17日)』
事務局 2001年12月18日(火) 9:13:20 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第391回入賞発表(12月17日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★短日に影を残して鳥が飛ぶ/安増惠子
冬の日は、晴れれば、物影をくっきりさせる。鳥が飛びたつその一瞬の時さえも、しっかりと命在るものの影として、小さいながら地上に残るのである。(評:高橋正子)

★寒行の聲の野太く過ぎにけり/田岡 弘
「野太く過ぎにけり」は、事実そのままであってよい。それによって、読み手は、寒行僧の声を聞くことができ、姿を思い起こすことができる。「けり」の詠嘆もよく効いている。(評:高橋正子)

★雪原に一戸を守る屋敷林/河 ひろこ
厳しい雪国の様子を想像しています。美しいこの風景も寒さと風の厳しさを物語るのでしょう。地吹雪といい、その怖さを知らない南国育ちは想像して止みません。体験して見たい等、少し不謹慎でしたでしょうか。(評:脇 美代子)
雪国の農村の風景を良く捉えていると思います。(評:磯部勇吉)
白一色の雪原にそこだけ黒く屋敷林。風景が見える俳句だと思いました。(評:古田けいじ)

【優秀/13句】
★温かい色を選んで毛糸編む/安増惠子
激動の一年が終ろうとするこの時期に、殊更に「温かい色」と云い、平穏と慰安を求める作者の気持は、大多数の読者の共感を得るのではないでしょうか。(評:伊嶋高男)

★湯豆腐を大食堂の片隅で/林暁兵
「湯豆腐」をこんな所でふうふう食べるのがなんとも言えず、忘れがたい句になりそうです。食べ物には、文化や生活が詰まっている事、再認識します。(評:宮地ゆうこ)

★冬日より遠くの橋と近くの橋/伊嶋高男
遠くの橋と近くの橋の間には、何が見えるのでしょう。やはり冬日和という大きな安らぎが、広がっているのでしょう。(評:相原弘子)
隅田川の橋であろう,覚えきれないほどの橋。橋を渡る人はそれぞれの生活を背負っている。遠近の橋に年末の感慨がただよう。(評:守屋光雅)

★霜晴れは背丈いっぱい星を見る/相原弘子
早朝のピーんと張った空気と寒さを背丈と星で伝えてくれた。(評:古田けいじ)

★カーテンの向こうまっすぐ冬木立/池田和枝
透けたカーテンと硝子窓の先に冬木立を見ている、と 同時に室内の暖かさが感じられる句。(評:霧野萬地郎)

★筑波嶺の稜線浮かせ冬入日/岩崎楽典
楽典さんの所から は、今の季節、筑波山に日が沈むのですか。私のところからも天気のいい、北風の強く吹く日には筑波山がよく見えます。(評: 伊嶋高男)

★置炬燵女優の本名ありきたり/堀佐夜子
「ありきたり」というのがいいですね。女優さんは誰なんでし ょう?(評:多田有花)

★じわじわと寒さ増します洗濯場/祝恵子
もしや、戸外の洗濯場ではないでしょうか。我が 家は戸外の洗濯で、「じわじわ」寒さを感じる昨今です。(評:宮地ゆうこ)

★朽野や木馬の兵士躍り出る/磯部勇吉
震えが来るほど、好きな句。この作者の博学に脱帽。この句も斬新な方向を示しそうです。乾杯。今のプロの俳人に教えたい。 勇吉様だいすき。教え乞う。(評:小峠静水)

★木の校舎を優しく包む雪の声/日野正人

★水仙に日の翳りきて 谿深む/平野あや子

★山茶花の蕾もれなく紅をさし/金子孝道

★幼子のまつげに乗りし雪切片/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
冬海の真昼の紺に玻璃磨く
寒禽の離れて揺るる枝高き
寒禽の石落つごとく枝離る

『第390回入賞発表/選者高橋正子@』
事務局 2001年12月17日(月) 9:55:26 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第390回句会(12月14〜16日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定 しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★冬耕や畝の長さに水をやり/安田明子
農の生活実感を読む。畝の 「長さ」に水を「やり」で、「冬耕」を言い尽くしている。(評:高橋信之)
長い畝に水をやる時間はきっとその作物へのこ れからの手入れや収穫を思っているのでしょうか?余韻の残る句で好きな句です。(評:霧野萬地郎)

★チェロの音や冬 の時間を包みこみ/安増惠子
チェロの深く、あたたかく、静かな音色は、この冬の時間をすっぽりと包んでいる。その時間に 自分もいるのである。(評:高橋正子)

★真一つへ向き人歩む冬の朝/碇 英一
コートに身を包み、出かけてゆく人 の方向は、ただひとつ。真一つは、なんであっても、行く先の地であっても、心中のものであってもよいのである。(評:高橋正 子)

【優秀25句@】
★枯れ切って芒ひかりとなりにける/田岡 弘(信之添削)
レベルの高い句。句材は「芒」 だけで、それだけで言い切っている。「きりて」を「切って」とし、「枯れ」を強める。終止形の「けり」を連体形の「ける」と する。連体形の「ける」は、後に体言が続くので、上五の「枯れ」に戻って、「ひかりとなりにける枯れ」を想定する。句材は 「芒」だけなので、表現に工夫し、言葉を強くした。(評:高橋信之)

★天中をオリオン渡り霜の降る/小原亜子
「霜の降る」のは、星々の瞬く天上からと思う夜で、世界を大きく捉えた。作者の視点は確かだ。(評:高橋信之)

★ 枯菊の乾ききったる音の燃ゆ/藤田洋子  
菊は枯れても、菊ならではの燃える音があるのですね。(評:大石和堂)
「乾ききったる音」に実感があります。冬でないと聞こえてこない音に着目したところがすばらしいと思います。(評:日野正人)
きっといい匂いもしたのでしょうね。音の燃ゆがいいと思いました。(評:脇 美代子)
焚き火ですか?そこへ枯菊を入 れた時の音、「音の燃ゆ」は見事ですね。(評:多田有花)

★気象図の曲線美しく寒波来る/堀佐夜子
テレビを見て の発想でしょうが、見事です。(評:安丸てつじ)
厳しい寒波もこんなきれいな句になるのですね。「曲線美しく」が素敵で す。私は皺しか連想できませんでした。(評:宮地ゆうこ)
天気図の寒波到来の図、あの縦縞を、「美しく」と捉えられた佐 夜子さんの発見に感動しました。(評:八木孝子)
等圧線の目が細かくなると、寒波襲来ですね。この天気図の曲線を美しい と感じる…詩人ですね。恐れ入りました。風邪を引かないようにご自愛下さい。(評:伊嶋高男)
『第390回入賞発表/選者高橋正子A』
事務局 2001年12月17日(月) 10:1:56 削除・編集 スレッドの一覧・返信
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【優秀25句A】
★ポタージュの渦くるくると冬満月/阪本登美子
魅力ある句です。 明るく楽しく、そして、奥底には一抹の哀しさすら漂わせる。ヴェテランの技量ですね。(評:右田 俊郎)

★綿虫のそ の重さもて舞い止まず/宮地ゆうこ
綿虫の飛ぶ様を描いた完成された句に思えます。<休みなく舞ふ一生や綿虫は:倉橋羊村> も好きな句です。(評:霧野萬地郎)
調べの美しさで絵が浮かんできます。(評:大西主計)

★冬空の青に吸い込ま れたくなる日/右田俊郎
冬なればこそ、青く澄み切った空の嬉しい一日ですね。(評:藤田洋子)
冬の晴れた日、青空は 本当にゆったりしています。このまま何日も晴れ、青が続くだろう、吸いこまれてしまおう、その気持ちです。(評:相原弘子)
毎日冬晴れが続き、見上げる度に同じように思い共感いたします。(評:脇 美代子)
秋の青空もいいですが、冬晴れの 青空もいいですね。 ふーっと吸い込まれたくなる気持ち大変よく分かります。(評:岩本康子)
晴れ上がった冬の青空は、 本当に吸い込まれたくなるでしょうね。太平洋側の青空にあこがれます。(評:八木孝子)

★焚火消し土工とその影立ち 上がる/小峠静水
昼休みの焚き火でしょうか。時間が来て立ち上がる、その影も連れて。(評:平野あや子)

★ 登山口鉄鎖で閉じて山眠る/野田ゆたか
来春まで閉じられる登山口の鎖に冬の厳しさを思われる。(評:平野あや子)

★森を出る落ち葉斜めに追って来る/古田けいじ
森の豊かな木々が落とした葉が、風吹いて、追いかけて来たのでし ょう。自然と季節の豊かさが詠まれています。(評:霧野萬地郎)

★凍空に瞑すや平和祈念像/多田有花  
長崎の大 きな裸体平和記念像が凍空に瞑目している姿に現況を託す作者に同感いたします。(評:碇 英一)
戦後の人々や世の中を見 続けている像、この頃の悲しい世情をどう思っているのか。凍星に、が悲しい。(評:河 ひろこ)
凍空の下で天と地を挿し て座する大きな平和祈念像、どこの地にも早く戦争が終わってほしいものです。(評:岩本康子)

★地吹雪を押しなが ら歩く一本道/河 ひろこ
住んでいらっしゃる方は大変でしょうね。でもどんなものか、体験してみたい気がします。そんな ツアーがありましたね。(評:脇 美代子)
一本道を歩くのに「地吹雪を押しながら」行く厳しい北の自然を見ます。日本も 広いと感じます。(評:碇 英一)
西高東低の気圧配置がわかり,雪国秋田の生活があります。〈押しながら歩く〉が好いで す。(評:守屋光雅) 
早くも本格的な冬の到来ですね。「地吹雪を押す」に実感がこもっていると思います。(評:伊嶋高 男)
秋田の地吹雪。歩くとは<押す>のでしょう。アメリカ車で<地吹雪を押し>た事を思い出しました。(評:霧野萬地郎)
作者にとってはリアルな体験でしようが、映画のワンシーンにでもありそうな光景ですね。 何故か、〈おしん)という映画を 思い出しました。(評:岩本康子) 

★洋上へ舳先を向けて冬晴るる/平野あや子
広い海へ出て行く船、広々とした 世界はあや子さんならではの御句ですね。(評:脇 美代子)
冬の日差しを受けて港に舫われている漁船の姿が浮かびます。 冬ですが、明るくて穏やかで、ほっとする風景ですね。(評:多田有花)
洋々とした海原へと発つ船舶の姿、目映いばかり の冬晴れの空の美しさを感じ、心も広くなります。(評:藤田洋子)                        

★裸木に星引っ掛かり落ちにけり/伊嶋高男
現地で五官を働かせての写生。机上句では、「引っ掛かり」は出てこな い。いい句だと思います。(評:野田ゆたか)

★初雪の頭上に消ゆる薄さかな/吉田晃
初雪はこのようなことよくあ ります。あっと声にする間もなくどこかへ消えてしまいます。そして本格的な寒さ、冷え込みを思います。(評:相原弘子)

★雪降るや星のかけらを抱きつつ/脇美代子
夜の風花でしょうか。雪がちらちら降る空を流星が過ぎる。神秘的な緊張感 がありますね。(評:伊嶋高男)

★風花や石屋の研ぎし石の艶/平野あや子
透明感,石の冷たさが季語〈風花〉とぴ ったり,〈切れ字〉も効果的,調子が好い。(評:守屋光雅)
「風花」が効いていますね。石の艶というのもいいなあ。景色 がぱっと浮かんでくる句です。(評:多田有花)
風花の飛ぶ冷気の中でこその、 石研ぎの作業には、その鋭さが伝わってきます。石の艶が増すごとに、その音までも艶々と聞こえるようです。(評:日野正人)

★朝晴れてまぶしい賀状書き始む/宮地ゆうこ
賀状を書くということは、こうゆうことなのですね。早朝の神社へお 参りするような清々しい気分になります。(評:伊嶋高男) 

★夕飯の菜の足しにと大根引く/池田和枝
いい生活で すね。少年時代禅寺で修行をした、作家水上 勉に「土を喰う日々」という異色の料理本がありますが、そのなかに「畑と相談」 して料理するという言葉がよく出てきます。そのことを思い出しました。(評:伊嶋高男)

★冬の雨厩舎に馬の顔動く/ 碇英一
雨でほの暗く、冷たい厩舎に精悍な馬の顔が動く。力に溢れ、湯気を立てて。イメージするだけで力をもらいます。 (評:宮地ゆうこ)

★褒められてドック出にけり実千両/安丸てつじ
何事もなくドックを終えられた安堵と喜びが、 慎ましく光る実千両でしっとり伝わってきます。ご健康、お慶び申しあげます。(評:宮地ゆうこ)

★寒き夜ラジオ小説 聞き入りぬ/祝恵子

★ふるさとに魚釣る夢肩の冷え/古田けいじ

★雪道に熊笹吹かれ葉の光る/守屋光雅

★柚湯から空見上げれば星明かり/冬山蕗風

★薩摩富士背にだいこんの干されけり/岩本康子

▼選者詠/高橋正子
明けて来て背に一本の寒気あり
開け閉めに水仙の香の立ち匂う
短日のせせらぐ水の動き見ゆ