デイリー句会2001年/第351回〜第360回


『第360回入賞発表/選者高橋正子@』
事務局 2001年10月29日(月) 9:38:16 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第360回句会(10月27〜28日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀3句】
★秋しぐれ雲間に深き青湛え/岩本康子
秋の時雨は、日が差していたかと思うと、にわかに曇って白く降り始める。雲の間にまだ深い青空の青があるというのに。こんな自然現象には、人間の知の領域をはるかに越えたものがあるような気がする。(評:高橋正子)

★鵙鳴いてそれから雨のはじまりぬ/林暁兵
「それから」がいいですね。句の中に時間の流れがあります。(評:多田有花)

★赤とんぼ夕日の風になりきって/堀佐夜子
いまの時期の赤とんぼはどことなくかぼそい感じがしますがそこが「風になりきって」に見えるように感じました。(評:碇 英一)
「赤とんぼ」の唄の世界ですね。夕日に赤とんぼがますます赤くなって、風に乗っている様子がいいですね。(評:霧野萬地郎)
夕日に熔けて夕日の風になりきっている赤とんぼ、「夕焼け小焼けの赤とんぼ」のメロディが聞こえてきそうです。(評:八木孝子)
蜻蛉スイスイ空飛んで、あかに染まる,佐夜子さんもなりきって。(評:小峠静水)
小さな赤とんぼの動きがいきいきとすっきりと詠まれています。とても好きな句です。(評:山野きみ子)
『第360回入賞発表/選者高橋正子A』
事務局 2001年10月29日(月) 9:35:25 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第360回句会(10月27〜28日/選者高橋正子)の優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【優秀21句】
★秋水の瀬音速めて光りけり/吉田晃
石鎚山からの面河渓の水は昨年の岩屋寺吟行の折りに、とても印象付けられました。この句はそれを彷彿とさせます。(評:霧野萬地郎)
よくきけば、ひかりって瀬音なんだって,秋に感じました。(評:小峠静水)

★村紅葉村の暮らしを輝かす/河 ひろこ
村のさまざまな冬へ向かう暮らしが、紅葉に輝いて、象徴的に捉えられている。(評:高橋正子)

★がまずみの実を紅くして山静か/多田有花
がまずみの実は、日にかがやけば、うら若い華やかさを見せる。がまずみの実のあたりは、いっそう静かな気配がただよう。山の静けさである。(評:高橋正子)

★籾焼きの煙ゆるやか風のまま/安田明子
もみを焼く煙が動いて風の通り道がわかる。ゆったりとした田園風景。(評:古田けいじ) 
のんびりした、野良仕事のおわり、収穫の喜びが詠われます。好きな句。(評:小峠静水)

★夕暮れや色鳥一瞬森に消ゆ/岩本康子
小さな小鳥たちの様子がかわいらしく詠まれており好きです。(評:河ひろこ)

★朝寒く舫うボートの洗われて/山野きみ子
朝寒の岸辺に立つと、何艘か繋がれたボートが波に揺られている。今朝は、揺られるというより、風も立ってきて、洗われているのである。冬が近い感慨がある。(評:高橋正子)

★檸檬置く傷閉じてゆく心地して/脇美代子
檸檬の澄んだ黄色を身近に置くと、静かに発光する黄色に、傷が閉じて癒えてゆくように、心が癒される思いがする。(評:高橋正子)

★潮の香を連れて蜜柑の箱届く/池田和枝
蜜柑山はほとんどが海の近くにありますね。(評:多田有花)

★蟷螂の覗き込みおり硝子窓/岩崎楽典
蟷螂は、人を楽しませる姿勢をいくつか持っている。何か覗き込むような姿勢もそうである。ガラス窓から、人間の暮らしを興味津々に覗き込んでいる。(評:高橋正子)

★うそ寒き戦火のとなり無垢の子等/安田明子
難民キャンプの冬は早く厳しそうです。渦中にある人々の辛酸に思いを致すとやりきれませんね。無垢の子らには一層です。民衆は絶えず為政者の犠牲、この図式の繰り返しですね。為政者の権力は、民衆から託されたもののはずなのですが。(評:右田俊郎)

★木洩れ日の道さくさくと落ち葉踏む/八木孝子
落葉を踏むと気持ちのよい音がする。明るい小径の景が目に浮かびます。(評:野田ゆたか)
さくさくと踏む落ち葉の道秋が深まるのを感じる素敵な句、好きな句です。(評:平野あや子)
東京横浜も欅が散り始めました。「さくさく」までにはまだ日がありそうですが、この感覚良く分かります。11下旬の代々木公園では銀杏の黄葉が厚く積もって、さくさくを楽しむ人が増えます。(評:右田俊郎)

★待合に小鳥の先に来ていたり/戸原琴
静かな茶室の庭。小鳥が啼いていた景よくわかります。(評:野田ゆたか)
秋日和のお茶会…待つ間に静かな時間が流れています。(評:伊嶋高男)

★流れ星ふるさと向きて消えゆけり/右田俊郎
ふるさとを偲ぶ思いをさりげなく流れ星に託す、お上手ですね。(評:山野きみ子)

★北極星現れて白鳥夢につく/磯部勇吉

★しょうゆ味濃い目は母の茸飯/古田けいじ

★橙の青きは青き葉の中に/碇 英一

★外国(とつくに)の友の手温し雁渡る/安丸てつじ

★週末の大道芸や秋うらら/霧野萬地郎

★樹に寄れば今音立てて木の実落つ/古田けいじ

★切り株を椅子に仕立てり黄落期/平野あや子

★冬支度柳行李のほつれ増え/小峠静水

▼選者詠/高橋正子
灯の下に蜜柑の色を籠に積む
秋時雨池を荒らして時に降り
色鳥の声山裾を離れずに
『第359回(10月26日)入賞発表』
事務局 2001年10月27日(土) 9:3:53 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第359回句会/選者高橋正子の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
<立山・称名滝>
★身の内にずしり落ち来る秋の滝/八木孝子
秋の滝であるから、あたりは美しい紅葉もあるだろうけれど、それを言わず、落ちる滝の水を力強く表現した。滝の水をしっかり自分の内側に受け止めた精神が、大変明快で力強い。(評:高橋正子)

★蒼海の水平線から秋の空/霧野萬地郎
海と空をこれほど象徴的に二つで言い切るのも難しいが、湘南海岸からの太平洋などは、こんな景色になる。蒼の色は、太平洋でありながらも日本的な色といえる。(評:高橋正子)

★鳥渡る空すっきりと日本晴れ/野田ゆたか
作者の思いが強く伝わってくる。作者の心境が直に伝わってくる。「すっきりと日本晴れ」である。(評:高橋信之)

【優秀12】
★リヤカーに並ぶ竜胆買い求め/池田和枝
リヤカーにいろんな花を乗せて売っている花屋さんである。屋内の花屋ではない、戸外の空気に触れた竜胆は、いっそう青く澄んでいる。(評:高橋正子)

★横たわる山は向こうに刈田道/福田由平
収穫の後の安堵が伝わってくる。落ち着いた写生句に読み手の心もゆったりとした心境になる。写生がいい。(評:高橋信之)

★稜線ぐるっと町の秋天を回る/日野正人(信之添削)
秋の球形を捉えた。まさに秋である。(評:高橋信之)

★秋の陽に馬の瞳の色深く/安増惠子

★ハイキングの休憩近し野紺菊/岩崎楽典

★鶏頭花喪服の人の持てる数珠/祝恵子(正子添削)

★菊なます夕餉の小鉢にたっぷりと/河ひろこ(正子添削)

★高空を点々音無く鳥渡る/右田俊郎  

★鳩の来て木の実丸さを持ちおりぬ/碇 英一

★ゆで卵黄身が片寄る秋小寒/堀佐夜子(正子添削)

★星は飛ぶ全く知らぬ遠方へ/相原弘子

★小急ぎに部屋をわたるや冬用意/宮地ゆうこ

▼選者詠/高橋正子
一夜経し青き木の実の置かるるよ
たまたまに桐の一葉の落ちにけり
藤袴風荒ぶれば色荒るる
『第358回(10月25日)入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月26日(金) 10:31:8 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第358回句会/選者高橋正子の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★金木犀香りの中で封を切る/阪本登美子
金木犀の香りが水のように流れてきている部屋で、手紙の封を切る、わくわくする楽しさが、しっかり捉えられている。封筒が、眼前に浮かびあがって、この句の中心をはっきりさせている。(評:高橋正子)

★秋耕の光たっぷり苗いろいろ/祝恵子(信之添削)
秋蒔き苗の畝が整えられて、たっぷりと光をあびている。そこへいろんな生きのいい苗が運ばれてきて、植付けの準備が整った。すべて生き生きしてよい。(評:高橋正子)
「光たっぷり」に惹かれました。秋のこの時期を感じます。(評:碇 英一) 
★コスモスの窓辺にあれば空気軽く/戸原琴
窓辺のコスモスが、なにもかも軽々としてくれる。身体の心も空気のように限りなく軽くなるのである。(評:高橋正子)
「空気軽く」はコスモスの存在そのものの感じがします。(評:碇 英一)
コスモスの花は見かけによらず強い花だそうですが、<空気を軽く>する風情がありますね。(評:霧野萬地郎)

【優秀12句】
★藁焼きの煙へ落ちし大夕陽/吉田 晃
広々とした畠の静かな秋の落陽の情景が深く思われます。(評:山野きみ子)

★午後の茶房日差し留めて菊の菓子/山野きみ子
晩秋の小春日和のような気分があっていいですね。菊の和菓子なら秋の季語になるのでしょうか。私は菊の紋章の干菓子のように思いましたが。(評: 伊嶋高男 )

★白鳥の翼夕日を揺らしけり/磯部勇吉
大きな白い翼を広げて夕日の中を飛翔する白鳥、美しいでしょうね。(評:山野きみ子)

★菊大輪陶の狸が居酒屋に/堀 佐夜子
秋の寸景を巧みに捕らえられて、みごとにできあがりました。(評:小峠静水)

★青蜜柑固くしまりて木の空に/藤田洋子

★新蕎麦の一番挽きの茹で上がる/守屋光雅

★杉山を出るや光の朴黄葉/脇美代子

★花鋏の一音(ひとおと)ごとに菊香る/岩本康子(添削)

★秋風のポプラひらひら鳴りやまず(信之添削)

★日を浴びて島燦々と冬近し/霧野萬地郎

★秋桜海百八十度にのぞむ丘/平野あや子

★午後の日の広き落ちつき干し小豆/相原弘子

▼選者詠/高橋正子
秋夕日くぬぎに差して明かるかり
桐一葉落ちし軌跡をたどりあぐ
丘の秋輪を描く鳶に海近し
『第357回(10月24日)入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月25日(木) 10:57:17 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第357回句会/選者高橋正子の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★菊活ける陽への傾きあるままに/古田けいじ
陽に向いて咲いている小菊を切り取って、活ける。枝のなりに花瓶活けると、今も陽を受けているように、菊は明るく咲くのである。(評:高橋正子)

★紅葉山バスも丸ごと染まりけり/河 ひろこ
すっかり紅葉した山に、バスが入っていくと、どの窓からも紅葉が見えて、バスの中まで、紅葉の色に染まったようになる。紅葉の美しさが楽しめる句。(評:高橋正子)

★靴紐をきゅきゅっと結び秋の旅/池田和枝
「きゅきゅっと」靴紐を結ぶ気持ちの新鮮さがいい。靴もはきなれ、足にきまった清潔な靴。いい季節のいい旅が待っている。(評:高橋正子)

【優秀11句】
★秋澄みて山の頂き目に近く/安増惠子
いつも眺めている山なのに、空気が澄んでくると、くっきり頂が見えて、改めてその山の姿をいいなと思う。(評:高橋正子)

★藷入れしリュックのだんだん重くなり/岩崎楽典
背負いはじめは、わずかばかりのことと思うが、次第に、肩に藷の重さがかかってくる。正直な心情に、納得させられる。(評:高橋正子)

★夕月夜二台連なるオートバイ/林 暁兵
月夜に、ハンドルを銀色に光らせて、オートバイが二台連なって街を走る。ハーレイなどではなく、もっと小さく軽い青少年の乗るのがいい。シャーロックホームズの月の夜を思い出してしまった。(評:高橋正子)

★たっぷりの水気が光る吊し柿/吉田 晃

★秋耕の畝の正しく朝日浴び/岩本康子

★秋時雨菜にある音を聞いて居り/守屋光雅

★蕾持ち小菊の黄・赤色を出す/祝恵子

★まんべんなく色をくすめて藁塚大き/相原弘子

★不揃いにラ・フランス箱に収まりぬ/山野きみ子

★映る灯を踏みて家まで秋時雨/脇美代子

★黙し見る装う山の瀧一本/小峠静水 

▼選者詠/高橋正子
山道にまた鳴きはじむ鉦叩き
手の中の木の実の熱き山の暮れ
木の実降る山の小道の湿れるに
『第356回入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月24日(水) 15:0:46 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第356回句会(10月23日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★鳥渡る朝の蒼さにチーズ切る/平野あや子
すっきりと塵も払われた鳥が渡る朝が、新鮮に詠まれている。チーズを切って、簡素だが豊かな朝食が洒落ている。(評:高橋正子)

★十月の富士未だ赤き岩の肌/霧野萬地郎
十月の富士山の岩肌の赤さは、強い印象である。伊勢物語の「東くだり」に五月の末の富士を詠んだ「時しらぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ」とあるのと対比され、いっそう富士の奥深さが思われる。(評:高橋正子)

★無骨なる手の自転車屋柿熟るる/池田和枝
自転車屋の、油に汚れた手は、まぎれもなく無骨な「働く手」である。柿の文人好みの色や形や、実の冷たさは、その「働く手」を堂々としたものにしている。(評:高橋正子)

【優秀11句】
★秋燈に部活を終えて声帰る/日野正人 (添削)

★新藁のきざみ撒かれて田は広く/祝恵子

★猪肉を秋の河原の石で焼く/吉田 晃

★二日月開演を待つ能楽堂/林 暁兵

★柿紅葉色の間の間の空を持ち/大石和堂 (添削)

★千体佛伏目なりけり秋寒し/古田けいじ

<北八ヶ岳縦走>
★稜線に目覚めて秋の嵐かな/多田有花

★海峡の上に秋月冴え冴えと/岩本康子

★丘陵踏む桜紅葉のはじまりに/相原弘子

★栗おこわ炊いてはたちの吾子祝う/小原亜子

★秋の川海を間近に急がざる/磯部勇吉
 
▼選者詠/高橋正子
海見する高く登りし丘の塔
ばらの実の色づき丸しそのかたち
がまずみの実のこぼれずに日を集む
『第355回入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月23日(火) 10:11:23 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第355回句会(10月22日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★秋雲へ桧皮の曲線新しく/古田けいじ
葺き替えられたばかりの桧皮の屋根か、あるいは、目に新しく映る桧皮の屋根か、どちらでもよい。秋雲が浮かぶ空へ、桧皮葺の屋根が美しい曲線を描いている。すべて、新しく生まれ変わる時のよさがある。秋雲は、「しゅううん」と読むと、さやけくて、のびやかな感じが生まれる。(評:高橋正子)

★稲光少し遅れて大地鳴る/日野正人
言うまでも無いが、光の速さが、音速より速いためにこういう現象が起こる。しかし、美しいまでの稲光の光線と、地に低くとどろく雷鳴に、なにか畏怖を感じる。(評:高橋正子)

★一斉に飛び翔つ鴨の青空へ/磯部勇吉
休息をとった鴨が、一斉に飛び立ち、空へ浮上する力は、どこか力学にかなっているように思える。鴨が一斉に飛び翔った池は、空と同様に真っ青なのであろう。空と池とは、青く光りあっている。鴨の羽色が、印象的。(評:高橋正子)

【優秀10句】
★段畑はみな大根の峡の村/脇美代子
そうでなくてもひっそりと冷えびえした 山間の村。そこのどの段々畑にも、大根がよく育って、その葉がひんやりとしている。大根は、たくあんとなって、貯蔵されるのであろう。静かな山村の暮らしが思い浮かぶ風景が、じっくりとが詠まれている。(評:高橋正子)

★爽やかに進水式の大漁旗/平野あや子
綱が鉈で切られ、大漁旗をなびかせて、新造の漁船が滑り出す。進水式の風景は、滅多に見れないが、晴れ晴れとして、未来があって、お祝いする心も広々としてきていいものである。(評:高橋正子)

★故郷はコスモス咲いてうれしけり/河ひろこ
帰省したふるさとには、コスモスが日差しをいっぱい浴びて、咲いている。風もそよそよ吹いて、故郷がやさしく迎えてくれているのである。(評:高橋正子)

★おもいきり深呼吸して金木犀/池田和枝

★つくばいの水の枯れたる石の冷え/霧野萬地郎

★黄落の梢に高き巣の懸り/碇 英一

★雨間に抜けてゆく道檀の実/相原弘子
 
★霧深しケルン数えて登り行く/多田有花

★秋深し銀輪遙かに大堤防/岩崎楽典(添削)

★新蕎麦を高く食う人店奥に/守屋光雅(添削)

▼選者詠/高橋正子
赤い実と白い木の実とまさに並び
秋芝を歩む影なき人のなき
がまずみの実が熟れ街を遠くせり
『第354回入賞発表/選者高橋正子@』
高橋正子 2001年10月22日(月) 10:9:13 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第354回句会(10月20〜21日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★高畝に葱植えられて空真青/野田ゆたか
「高畝」は、それだけで空にいっそう近いので、香りのある葱が植えられて空の青が、視覚的にも、また嗅覚さえも動員させて、印象深くなりました。(評:高橋正子)

★落穂拾う明るい夕日身に纏い/安田明子
この句から、誰もが、ミレーの「落穂ひろい」を思いだすに違いありません。芸術的志向を目指すのなら別ですが、本当に自分が感動した美しくて暖かい光景が詠まれていて、なにも言うことはありません。(評:高橋正子)

★団栗や女の好きなカプチーノ/林 暁兵
団栗の転がっているようなところで、熱いカプチーノが飲めるくつろいだ時間は、楽しくてとても素敵です。「女の好きな」というのは、確かにそうでしょう。この語句によって、明るい世界がもたらされました。(評:高橋正子)
『第354回入賞発表/選者高橋正子A』
事務局 2001年10月22日(月) 10:13:35 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第354回句会(10月20〜21日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【優秀23句】
初鴨にまだ広々と空いた池/霧野萬地郎(添削)
鴨がきたばかりの池が、広々とうつくしい水を広げている様子がとてもいいですね。(評:高橋正子)

櫟(クヌギ)の実 ずんぐり丸きを並べたり/岩本康子
櫟の実は、やや大きめで、ずんぐりしているが、木の実の愛らしさをあますところなく持っている。それが並んでいれば、秋こそ楽しいと思える。(評:高橋正子)

蕾桔梗紙風船のようにかくかくと/堀佐夜子
桔梗の蕾は、五角形に角をつけてふくらんでいます。紙風船のように、膨らんで自然の見せる楽しさでもあります。(評:高橋正子)

新米の餅も添へられ届きけり/磯部勇吉
新米に、お餅も添えてくださる心づくしがいいですね。米どころでなければこんな気持ちは、もてないのではと思いました。新米だけも十分うれしいことなのですから、さすがです。(評:高橋正子)

クレーンの棟木掴むや秋空に/岩崎楽典
「棟木」というから、日本家屋が建てられているのでしょう。清潔な感覚があって、さわやかです。(評:高橋正子)

雨土に木犀の香の沁みてゆく/藤田洋子

秋の灯の光る深鍋おろしたて/祝恵子

碧い一日野葡萄に手を触れて/相原弘子

谷下る水音冴える櫨紅葉/脇美代子

鶏鳴のまだ幼くてそぞろ寒/守屋光雅

銀杏散る瓦斯灯下のカフェテラス/安丸てつじ

秋風の音水平に過ぎ去りぬ/日野正人

馬の瞳に我が顔うつる秋の昼/安増惠子

酢をふれば目覚める色に赤かぶら/八木孝子

墨蹟の帰雲とかかれ秋惜しむ/戸原琴

実椿の裂け目の奥の種光る/碇 英一

玄関に灯油缶揃い冬近し/河 ひろこ

竹垣に秋の日四角に影落す/山野きみ子

忘られしおもちゃの喇叭秋日影/平野あや子

山あいの水車ことりと木の実落つ/池田和枝

山小屋の屋根に日の差す秋の朝/多田有花

午後の日にみつばあけびの熟れの色/伊嶋高男

秋時雨代官山の坂の路/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
窓に寄れば秋風はたはた吹き来る
がまずみの実をばら色と称うべき
秋蝶の風を離れずもつれ飛ぶ
『第353回入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月25日(木) 7:57:11 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第353回句会(10月19日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★日当たりて菊の蕾のみな光る/藤田洋子
あたたかで、しずかで、輝いて、透明で、そんなものが全部揃っている。ごく普通の見方であるが、心に沁みてくるものがある。(評:高橋正子)
★空深く桜紅葉の坂の道/戸原琴(添削)
桜紅葉が続く坂をずっと行けば、空にたどり着けるのではないかと思うほどである。空も深く、桜紅葉も美しい。(評:高橋正子)

★採る種の命ひしめく音もなき/小峠静水(信之添削)
朝顔や、紫蘇などの種を採っているのだろうか。たくさんの種は、命なのであるが、ひしめいても、音もたてないのである。種の充実と、来年へと動く命が暗示されている。(評:高橋正子) 

【優秀12句】
★通園の児にまだ濡れている野菊/古田けいじ
園児は、小学生に送れて通園するが、その時刻になって朝日が差しても、まだ露は乾くことなく、冷えびえと野菊を濡らしている。園児と野菊が取り合わされて、日本のやさしさ、日本の叙情が、詠まれた。(評:高橋正子)

<北八ヶ岳縦走>
★秋の暮れ窓に寄り添い日記書く/多田有花
山小屋の夕方の窓明かりに寄り添って、山の日記を書く。それだけで十分である。(評:高橋正子)

★秋祭り幟提灯の杭打たる/祝恵子
祭りの幟提灯を建てる杭を打つ。その行為を見守りながら、今年の祭りをするうれしい気持ちがおのずと湧いている。祭りは、生活の区切りでもあるし、また変化でもある。(評:高橋正子)

★若鴨の嬉々と鳴く群れ水澄めり/碇 英一

★輝ける玻璃一枚の秋の湾/岩本康子(添削)

★薄の穂生まれて青き空目指す/山野きみ子

★ででっぽう秋の名残りを鳴きつづく/平野あや子  

★月光に影広がりて鎮守森/安増惠子

★石叩き鳴き止むときも足早に/相原弘子

★秋空の青さ切り取る白きビル/霧野萬地郎

★秋夕日昔の歌が声になる/堀佐夜子

★あいこでしょ繰り返されて秋の暮/八木孝子

▼選者詠/高橋正子
秋夕焼け消えゆき海のまず暗し
溝川も秋夕焼けを流しける
秋耕の畝まっさらに整えり
『第352回入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月19日(金) 9:37:15 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■第352回句会(10月18日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★貨車長くまだ抜けきれず里の霧/霧野萬地郎
霧深い平野の里を、貨車が、長々と車両を引いてゆく。遠く行く貨車は、とにかく長いのである。見ているうちに心象の風景へと胸に深く刻まれてゆく。(評:高橋正子)

★秋深む紅茶に透ける銀の匙/阪本登美子
深く淹れた紅茶を混ぜる銀の匙が、実にうつくしい。紅茶の色も澄んだローズ色かもしれないなどと、思わせてくれる。秋の夜の深々とした気持ちである。(評:高橋正子)

★夜の雨うたれて木の実の落ちる音/右田俊郎
夜雨の降るなかに木の実が落ちる音を聞くのは、心深く懐かしいものである。(評:高橋正子)

【優秀11句】
★錦木の一本朝くる度の紅葉/相原弘子
ひと朝が来るたびに、気温が下がるたびに、錦木は、ますます色が鮮やかになる。ひと朝ごとに、秋が深み、冬へと近づいてゆく。(評:高橋正子)

★大菊のゴクゴク水を吸い上げる/日野正人
まるで自分が、この大菊になったかのようである。葉や茎もしっかりとして、大きな花を支えている。たくましく水を吸い上げる生命力に驚かされるのである。(評:高橋正子)

★稲干され穂先したたる雨の粒/祝恵子
架け稲の穂先の先の雨の粒が、澄み切り透き通っている。神経を凝らして、よく観察されている。やや寒い昨日今日である。(評:高橋正子)

★日を返す花梨の青のみずみずし/伊嶋高男

★鉄橋の響き湿めらせ秋の雨/岩崎楽典

★秋澄めり丘の上なる二日月/岩本康子

★破蓮の風に吹かれて風生まず/磯部勇吉

★いつ植えし記憶の遠き菊白し/守屋光雅(添削)

★鵙一羽枯山水の掛軸に/堀佐夜子

★山小屋の布団ふかふか夜寒かな/多田有花

★馬鈴薯の届きし木箱香の新た/脇美代子(添削)

▼選者詠/高橋正子
大根の葉より自由に白き蝶
ひつじ田の緑の濃きが吹かれたり
詩を読んで夜寒の時計の回りたる
『第351回入賞発表/選者高橋正子』
事務局 2001年10月18日(木) 11:2:30 削除・編集 スレッドの一覧・返信
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【最優秀/3句】
★初鴨の水掻く足の浅黄色/石井信雄
今年初めて鴨に出会った新鮮な気持ちが、とてもいい。初冬の水の景色が、透明感を持って描かれた。水を掻く浅黄色の足が、かわいくさえ思え、印象的である。(評:高橋正子)

★遠くにも柿の色づき見える雨/古田けいじ(添削)
遠くに点るように熟れる柿の色が、静かである。手前に雨を配して、はるかなものに対する憧憬が詠まれた。その憧憬は、点るように静かなものである。(評:高橋正子)

★やや寒し幾何学的に連なる燈/林 暁兵
都会の灯を詠んで、絵画的な句。連なる光彩にたいして、「やや寒し」という切り込み方が、するどく深みを見せている。(評:高橋正子)

【優秀10句】
★昼灯鵯の高音が来ては去り/相原弘子
昼も灯していなければ、薄暗い。鵯が、時折、寄って来ては、相変わらずの高い声で鳴く。去ってゆき、思いついては近寄って鳴く。普段の心に、芯が通っている。(評:高橋正子)

★陽の照りて稲架の影の続く道/祝恵子
稲架の影が、映っている道は、どこまでも続いて行きそうである。しっかりと影を映して、また、さんさんと秋の日を浴びて、魂のふるさとへと続いていくような気がする。(評:高橋正子)

★馬と駆ければ頬新しき秋の風/安増惠子
頬に感じる秋風は、一段と高い馬の背の上。「新しき秋の風」を十分に感じ取って、颯爽としている。(評:高橋正子)
 
★秋時雨ソファのへこみに馴染み居て/戸原琴

★秋の陽や一本の木の絵になりぬ/岩本康子

★夕暮れて衣に染みてくる晩稲の香/脇美代子

★すきまなく並ぶ鴎や秋港/池田和枝

★玉葱苗立ちて来るころ露の朝/守屋光雅

★柚子の黄に照らされている母の庭/音羽和俊

★真夜中の厨に柿を剥きに出る/磯部勇吉

▼選者詠/高橋正子
たましいをひとつ担い秋灯下
蜜柑の色の彼岸の色に熟れゆけり
秋霖のひまも殺戮くりかえす