デイリー句会2001年/第331回〜第340回




『第340回入賞発表/選者高橋正子@』
第340回入賞発表(10月02日〜03日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。 おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★秋耕に電柱長き影下ろす/吉田 晃
「長き影下ろす」が、すべてを言い切っ ている。秋耕(しゅうこう)の音も静かな土の光をよく表している。静かで深い心境がよい。(評:高橋正子)

★日に 空に向いて真っ直ぐ薄立つ/日野正人
日・空・薄の3つが作る世界が、若やいでいて、しなやかなである。真っ直ぐ立つ薄に よって、いっそう芯の通った句となった。(評:高橋正子)

★しみじみと十五夜の月観て寝ねり/堀佐夜子
十五夜の 月の光りが、体にしずかにしみ込んでいる。「しみじみと」にそれが感じられ、ほんとうにいい月である。(評:高橋正子)
お月見ってこういう感じがいいですね。「しみじみと」がいいです。(評:多田有花)
『第340回入賞発表/選者高橋正子A』
■第340回句会(10月02日〜03日/選者高橋正子)の優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【優秀22句】
★朝顔の種採る音の軽やかに/八木孝子
朝顔の種をとるときに、種は手に軽い音でくずれる。その感触をよく伝えてくれている。(評:高橋正子)
しづやかな朝顔も軽やかに一年を終えた。(評:碇 英一)

★眠る馬のたてがみ照らす窓の月/安増惠子
静かな晧々とした月光と馬、幻想的な感じです。(評: 碇 英一)
シャガールの絵を連想させるものがある。馬は幸せそうである。馬も夢を見るのだろうか。(評:守屋光雅)

★川原に来て秋天横に広がりぬ/碇 英一
ユニークな見方ですね。言われてみるとなるほどと思いました。ほぼ毎日河原 を歩いているのですが、気が付きませんでした。(評:伊嶋高男) 

★重なりし鋏の音や松手入れ/大石和堂
植木屋 さんが、2、3人で松の手入れをしているのだろう。それぞれが使う鋏の音が、時に重なることがあって、軽いリズムに、アクセ ントがつけれられる。手入れされてゆく松葉の間の空が澄んでいる。(評:高橋正子)

★潮の流れ変わりたるかな月見し 間/岩本康子
潮の流れに、とてもゆったりとした時間が感じらる。月と潮で、自然が悠久であること、自然がみずみずしいこ とを思わずにはおれない。(評:高橋正子)

★良夜行く児の片言を大事にと/山野きみ子
幼い子どもが、片言でなに か話してくれるのが、良夜には、しみじみと胸に感じられる。幼い言葉の純粋さというものであろうか。(評:高橋正子)

★異国語も混じる埠頭の天高し/小原亜子
埠頭には、海の空もあって、心は広く開かれる。異国の言葉は、異国の人たち の望郷の思いのようにも聞こえる。(評:高橋正子)

★新米を幼の口へ入れてやり/祝恵子
新米のおいしさを、幼い 子どもにあげる。食べさせてあげる人も、子どもも、光りにつつまれ、祝福された光景となっている。新米を大切に味わいたい。 (評:高橋正子)

★山肌の光しところ花薄/脇美代子
山に目をやると、よく輝いているところがある。そこは、やさ しい薄の一叢である。秋山のやさしさが詠まれた。(評:高橋正子)

★秋の夜の声遠くより来て消える/吉田 晃

★芭蕉句碑覆う紅葉の色浅し/守屋光雅

★眠りても十六夜の月光胸に/堀佐夜子

★十六夜の土手に散歩の犬 白し/岩崎楽典

★薄紅葉日月堂に石の椅子/磯部勇吉

★満月の挨拶交わす澄みし声/目見田郁代

★まぶし きは稲田に当たる日の光/多田有花

★満月の届かぬ先は星光る/古田けいじ

★きちきちや筑波嶺隠す前の山/伊嶋 高男

★もろこしを軒に干す家嫁の来る/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
稔田のまぶしさついに目に痛し
秋 冷に夫(つま)に後ろから話す
赤い羽根襟にそよがせ来たるなり
『第339回入賞発表/選者高橋正子』

■第339回句会(10月1日/選者高橋正子)の最優秀句、優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★長靴を借り秋耕の畦の道/伊嶋高男
友人の長靴を拝借して、稲を刈ったあとの田を鋤き起こしている畦を通った。晴ればれして楽しいことである。晴れ渡った空や、畦のひやひやした草や小さな草の花がいっそう楽しい気持ちにさせてくれる。(評:高橋正子)

★秋鯵の海の蒼さを売りに来し/吉田 晃
行商の魚売りが来たのでしょうか?少し海から離れている作者は、生きの良い鯵からでも、海を強く思っているのでしょう。(評:霧野萬地郎)
秋の鯵は脂が乗って美味しいですね。採れたての鯵を売りにくるうれしさ、それを海の蒼と詠まれるのはさすがです。(評:平野あや子)

★お月さんでてると今日の妻の声/福田由平
東京は今土砂降りですが、関西以西は晴れているようですね。正にインターネット俳句の醍醐味です。川柳の掲示板で自ら愛妻家といわれた、由平さんの 奥様の声が中秋の名月に情緒を添えていますね。(評:伊嶋高男)

【優秀15句】
★満月や時々雲にさらわれる/日野正人
満月がさらわれるとは、面白い見方。風が出ているのだろう、雲がよく動いてときに満月を隠してしまうが、過ぎ去れば、また満月は、煌々と輝く。動きのある月の風景。(評:高橋正子)

★椿の実ことりと落ちて石の上/安増惠子
つやつやとした椿の実は、手ににぎれば、珠のように思えるものである。その実が、清潔で硬い石に落ちるときの「ことり」という音が、意外にも新鮮。自分の心の向くところを、よく吟味して得た音といえる。焦点がよく絞られた句である。(評:高橋正子)

★精一杯まあるくなりし名月や/大石和堂
率直な思いが読み手に直に伝わってくる。それだけに、「し」と「や」の古い語法が少し気になるが、句を損なうことはない。(評:高橋信之)

★角曲がり秋の夜風に身を任す/霧野萬地郎
「任す」ことのできる心境がいい。(評:高橋信之)

★刃先へと重心かけて南瓜割る/多田有花
硬い南瓜を割る、本当に重心かけてですね。(評:脇 美代子)
この後、ほくほくの南瓜が煮えたことでしょうね。日常生活の一こまを捉えた佳句だと思いました。(評:右田俊郎)

★新小豆洗うざくざく音立てて/八木孝子
「ざくざく」がいいですね。お宝という感じです。(評:多田有花)
今日はお月見、お団子でも作られるのでしょうか。小豆は手触りがよくてつやつやしていて洗うのが楽しくなりますね。(評:堀佐夜子)

★秋の雨水面の近き橋渡る/林 暁兵

★白き画板児らの視線は秋の城/目見田郁代

★後継者居らぬ稲架掛け低くして/守屋光雅

★波洗う渚のこみち花芒/阪本登美子

★淡色に葉書の届き月今宵/相原弘子

★薄手に土手より下り来る笑顔あり/祝恵子

★初鴨の声の賑はふ夕暮れかな/磯部勇吉

★真ん中の窪みし稲田熟れにけり/脇美代子

★待宵の空仰げれば雲迅し/堀佐夜子

▼選者詠/高橋正子
満月の 今宵の風のたっぷりと
目にちかり満月これほどなく澄みて
秋夕焼つっと消えいぬ目をやれば

『第338回入賞発表/選者高橋正子@』
■第338回句会(9月29日〜9月30日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。 おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★秋芝に寝て空までの高さかな/霧野萬地郎
胸の上ある秋空の高さに、両腕を広げ てもかかえきれない広々とした大きな世界にロマンがあって、すがすがしい。(評:高橋正子)

★たてがみに朝露降りて 牧の馬/安増惠子
「朝露」の情景がいきいきと伝わって、読み手にもいい感動を与えてくれる。(評:高橋信之)

★ 手のひらの新米光りつつこぼる/藤田洋子
身近な生活を詠んで輝いている。いい生活である。(評:高橋信之)

『第338回入賞発表/選者高橋正子A』
■第338回句会(9月29日〜9月30日/選者高橋正子)の優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【優秀24句】
★秋空の上昇気流にハングライダー/碇 英一
颯爽としている。読み手も、風を受けて、大空高く飛んでいる気分である。いい気流が楽しめるのも、秋ならでは。(評:高橋正子)

★梅擬青山辺り雲厚し/林 暁兵
梅擬の色、厚い雲の色や様子、青山の街、これらすべてで、油絵を描けば、いい絵となるに違いない。そんな句である。(評:高橋正子)

★秋空の真中を逸れて飛行雲/相原弘子
「飛行雲」は、「秋空の真中を逸れて」いるのだが、「秋空の真中」がくっきりと眼に浮かんでくる。(評:高橋信之)

★青さんま音立てながら焼かれけり/河ひろこ(信之添削)
生活の音も匂いも伝わってリアルなので、作者の生活を読者も楽しむ。俳句の座(感性の共同体)を楽しむ。(評:高橋信之)

★巨きなる南瓜積み上げ農の道/守屋光雅
農道に積まれた収穫の南瓜が秋の日が優しく当っています。アメリカでのハロウィーンの南瓜を思い出しました。(評:霧野萬地郎)

★日に透ける秋の蜻蛉の急上昇/伊嶋高男
急上昇が気に入りました。秋の大空を闊歩しているのでしょうね。私も蜻蛉のように飛んで東京に行きます。(評:河 ひろこ)

★口中の穂紫蘇はじけし小気味よく/平野あや子
穂紫蘇が口中ではじける小気味よさ、実感そのままがさらりと詠まれていて、小気味のよい心地よさ。あや子さんの句の上手さにいつも感じ入り、憧れているばかりのわたしです。(評:八木孝子)

★蹴り損じ仰向く空は高き秋/山野きみ子
2通りの解が考えられる楽しい句です。ラクビーで一点差に迫るトライをして、逆転のキックが大きく逸れ…神宮の空は青かった。河原の芝生でのボール遊びの一齣。俳句は一人称の文学ですから、空を仰いだのはきみ子さん。(評:伊嶋高男)  

★背にも受け胸にも受けて雁渡し/相原弘子
北風が吹きぬける様が感じられます。(評:脇 美代子)

★真っ直ぐに蔦這い登る赤煉瓦/右田俊郎
色彩鮮やかな写生ですね。真っ直が、すき。(評:小峠静水)

★花鋏鳴って菊剪る法要日/藤田洋子

★秋日落ち稜線くっきり浮かばせる/安田明子

★母が呼ぶ釣瓶落としのかくれんぼ/堀佐夜子

★事件記者奈落に露を見しと言う/野田ゆたか

★角曲るたび木犀の匂い来る/八木孝子

★満天の星を仰ぎて鹿鳴けリ/碇 英一

★この家の鈴虫聴きに散歩する/霧野萬地郎

★眠り深き子に注ぎくる月明かり/脇美代子

★雲の上に空青々と秋気満ち/堀佐夜子

★広々と地上げの跡や草の秋/岩崎楽典

★裏山にはや鵙の来て猛りたる/岩本康子

▼選者詠/高橋正子
秋風の色づくポプラを吹き強し
白き殻はじけぎんな んの実のみどり
炊き上がる米の光りにぎんなん混ぜ

『第337回入賞発表/選者高橋正子』
■第337回句会(9月28日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★秋天に機体降下の構え見る/平野あや子
「降下の構え」は、実に的確な写生。この写生によって、新しさを発見したといってよい。高く澄んだ秋空に、降下の構えを見せた銀翼が、緊張感をともなって捉えられている。(評:高橋正子)

★活断層鎮めて風の花野かな/小峠静水
いつ動くか分からない地殻の変動を鎮めるかのように、一面の花野が、風をはらんでそよいでいる。動くはずのものは動かず、静かなはずのものは、そよいでいるといった、不思議な感覚があって、巧みな句。(評:高橋正子)

★コスモスの愁いの束を抱え来し/戸原琴
コスモスの花のマッスを愁いといった。画家や詩人の思いである。
(評:高橋正子)

【優秀14句】
★水澄みて山の湖夜に入る/安増惠子
湖の水は、微光を反射するかのように、辺りが暮れても、暮れきらないのである。水の澄んだ様子さえ暮れ残って、夜になろうとしている。(評:高橋正子)

★人老いて両手に重き秋思あり/大石和堂
膝などに置かれた両手を見ると。その手の表情に年齢の重みを感じる。秋思は顔よりも、こうした手や、また歩く姿などから読み取れるのかもしれない。(評:高橋正子)

★枝打ちの樟匂いたる十三夜/碇 英一
〈仙台市・瑞雲寺にて〉

★緑岩に不器男の句あり秋陽浴び/守屋光雅

★窓口に稲穂吊るして切符売る/磯部勇吉

★さわやかな空気を肺にペダル漕ぐ/八木孝子

★この道も駅へそして秋桜/相原弘子

★ 菊の葉の広がり伸びて支柱たつ/祝恵子

★東京湾までの道標花野径/山野きみ子

★竹梯子しなりし先の松手入れ /脇美代子

★雲切れて今日の秋高始まりぬ/古田けいじ

★秋澄みて終い湯の音響くなり/堀佐夜子

★ 交差する水上スキー河口秋/伊嶋高男

★放課後のポプラの空に赤トンボ/岩崎楽典

▼選者詠/高橋正子
店先に空を映して青蜜柑
秋冷の窓にさくらの葉蔭見ゆ
木の冷えの広き机に肘を立て
『第336回入賞発表/選者高橋正子』
■第336回句会(9月27日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★群れつつも一本ずつの曼珠沙華/矢野文彦
曼珠沙華の咲き群れる光景に出会うと、あたりは、あの赤い色に塗られたようになるので、一本一本の花を意識しないのが、普通かもしれない。が、よく意識すれば、それは、一本一本なのである。(評:高橋正子)

★綿の実の裂けて白きがふんわりと/岩崎楽典
さりげなく詠まれているふうに見えるが、心の向く対象が、はっきりしていて、精神がよく集中されている。綿の実が、白くはじけている「ふんわりと」した世界に慰められる。(評:高橋正子)

★山の湯の熱きに虫の音と入る/吉田 晃
山の温泉の醍醐味であろう。ひんやりした空気に、虫の音を聞きながら、熱いほどのお湯につかる。身心ともに癒される。(評:高橋正子)

【優秀13句】
★枝豆の土の乾きに引かれゆく/相原弘子
青く充分に実の入った枝豆が、日照りによく乾いた畑の土から、抜かれて、食膳を楽しませてくれることになる。(評:高橋正子)

★どんぐりを一つこぼして孫帰る/古田けいじ
お孫さんと、たくさんどんぐりをとったのだろう。お孫さんが、一つをこぼして帰っていった。なんとかわいいことなのだろう。(評:高橋正子)

★秋祭り幟はためく辻々に/多田有花
はや、もう秋祭りの幟が、辻々に立つようになった。お彼岸を過ぎると秋もいよいよ深まってくる。秋風にはためく、墨痕も鮮やかな祭幟が、新鮮に目に映る。秋たけなわの豊穣の喜びである。(評:高橋正子)

★家並みの灯点れば高く蟋蟀鳴き/目見田郁代

★大き葉の一直線に落ちにけり/岩本康子

★コスモスの畑ぐるっと青い空/安増惠子

★芋掘りの歓声通る窓の下/戸原琴

★虫の音の中に潜れり下駄の音/碇 英一

★風来れば菊の香薫る腰の籠/守屋光雅

★秋うらら矢切りの渡しの出ると云う/山野きみ子

★ガラス器を仕舞いつつ聞くちちろ虫/堀佐夜子

★風受けて風に応えて猫じゃらし/池田和枝

★水飲み台金具に映る秋を呑む/伊嶋高男

▼選者詠/高橋正子
ともしびに青い蜜柑の香をさせ る
今朝の鵙きちきちきちきち繰り返す
翔び行ける鳥影の水に秋の池

『第335回入賞発表/選者高橋正子』
■第335回句会(9月26日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★朴の木の真横に満ちし秋の星/碇 英一
大きな朴の木の、横に数え切れない星が出ている。秋の星は、冷ややかさを纏って、澄んだ光を投げかけている。(評:高橋正子)

★水の音のささやくような秋深し/祝恵子
「ささやくような」とは、実感でそれ以外のなんでもない。そのような水音を聞き、秋の深まりを感じることが出来るのは、俳句精神そのものである。(評:高橋正子)

★オカリナや色無き風を染めて吹く/池田和枝
「風を染めて」という表現は、ポップスなどの歌詞に安易に使われているのが多いが、この句では、オカリナの音色を上手く表している。オカリナが遠く響いているのである。(評:高橋正子)

【優秀12句】
★グローバルな不安の空に鳥渡る/堀佐夜子
今日この頃の気持ちを率直に述べている。空は、世界に一つ。鳥はただ一つの空をしずかに渡るのである。(評:高橋正子)

★月光の平らに照らす山の畑/脇美代子
山の畑は、そんなに高くはないのだろう。月光をくまなくしずかに浴びている。平静な観照がよい。(評:高橋正子)

★天高く揺るぎなく揃ふ秋田杉/河ひろこ
秋田杉の美林である。天に向かってすくすくと伸び揃った、みどり濃い鉾杉が、印象的。ますます天は高く、青くなる。(評:高橋正子)

★単線の土手の温もり曼珠沙華/霧野萬地郎
単線というから、ローカル線であろう。その土手に咲く曼珠沙華にも、ふるさとの温かさがある。(評:高橋正子)

★秋の土手鍬を担いで上り来し/吉田 晃

★黄金に輝く時来るねこじゃらし/古田けいじ

★予備校の灯かり煌々秋の夜/岩本康子

★広広と色づき深き大豆畑/八木孝子

★秋天や何を求めて雲流る/大石和堂

★秋日影墓苑の樹々の葉陰澄む/山野きみ子

★爽やかにたてがみを振り栗毛走る/安増惠子

★籾焼きの煙くぐりし散歩かな/岩崎楽典
 
★菱採りの舟もろ共に暮色曳く/小峠静水

▼選者詠/高橋正子
冷ややかに覚めかぐわしき空気
菱枯るる白鷺立つをゆるされて
塔をこめ高 きみ空を飛ぶ黄葉
『第334回入賞発表/選者高橋正子』
■第334回句会(9月25日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★海鳴りの向こうは紀伊の星月夜/平野あや子
潮の音のする海を隔てて、紀伊の国の空に、星や月が輝いて美しさは、この上ない。島住まいの心が、大きくはるかへと広がるときでもある。(評:高橋正子)

★朝霧の晴れて港に外国船/安増惠子
朝霧が晴れてみれば、外国船が港に来ている。港が霧に包まれているうちに、遠くからやってきたのだろう。来たばかりの外国船が、新鮮な気持ちで受け入れられ、船さえも、新鮮な呼吸をしている感じがする。(評:高橋正子)

★秋草を山ほど活けて野の景色/阪本登美子
思う存分に秋草を活けて楽しんでいる。山ほどの秋草は、野の風情さながらである。(評:高橋正子)

【優秀12句】
★秋桜吾が影踏んで坂下りる/祝恵子
後ろから日が差して、自分の影ができている。その影を踏みながら、コスモスの咲くやさしい坂を下るのである。詩情あふれる景色が、うまく捉えられている。(評:高橋正子)

★縄文の遺跡に落ちて栗の毬/岩崎楽典
狩猟採集の生活をしていた縄文時代。その遺跡に、代表的な木の実である栗の毬が落ちて、現代の一脈に、縄文時代が細々と続いてきているのではないかと錯覚する。はるかな時間を考えさせてくれる句。(評:高橋正子)

★新生姜わらで括られ登山口/脇美代子
新生姜なら茎や葉ごと、藁で括られて、登山口で売られているのだろう。新生姜の香り高さと、素朴な藁の出会いに、自然なさわやかさがある。(評:高橋正子)

★トタン屋根何が落ちても秋の音/小峠静水

★影を出で影に入りし秋の蝶/林 暁兵

★一山を越えしバッタの翅を閉づ/碇 英一

★新藁の香り満ちたる畦を行く/多田有花

★クワィアの声澄み通る秋の朝/岩本康子

★秋厨白きラッキョウ瓶に透き/目見田郁代

★今年藁刻まれ敷かれ田を広げ/相原弘子

★ 鬼やんま家真二つに切りて行く/磯部勇吉

<チェコ>
★市電行くポプラ並木の石畳/霧野萬地郎 

★秋灯を 煌々とパソコン打つ夜/堀佐夜子

▼選者詠/高橋正子
(51番札所石手寺3句)
にわとりの日蔭つたいぬ秋の寺
三毛猫に仏性あらむ秋日の縁
香煙に羽のきらめく赤とんぼ
『第333回入賞発表/選者高橋正子』
■第333回句会(9月24日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうご ざいます。

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【最優秀/3句】
★木の実独楽歩き始めし子へ廻す/古田けいじ
歩き始めた子は、木の実独楽を、なんと不思議 なものと思ったのに違いありません。興味津々ですね。無垢な子どもとふれあう心があたたかい。(評:高橋正子)

★秋 冷の雲なき空に白き干す/林 暁兵
古来、白いものを、明るい日差しや爽やか空のもとに干す喜びを詠ってきた詩歌が多いが 、この句では、秋冷のなかに干すのである。深い心境の句。(評:高橋正子)

★真っ直ぐに富士に行く道彼岸花/戸原琴
初冠雪の富士かもしれないが、それが真っ直ぐ行く手に見えて、彼岸花が、明るからず、淋しからず詠まれてい る。重ねて言えば、彼岸花は、明るくも淋しくもある花である。(評:高橋正子)

【優秀11句】
★秋夕日障子に木 々の影広げ/吉田 晃
「影広げ」に、山里の夕日の優しさがよく表現されている。秋も深まり、あたたかいものに、懐かしさが わいてくる頃である。(評:高橋正子)

★田の中に案山子寝かせて昼餉とる/河ひろこ
ユーモラスな句。案山子への 親しみと愛着がいい。稲の収穫が終わっても、案山子を取り払ったり、藁くずを片付けたりする作業があって、ちょうどお昼にな った。座れない案山子は寝かせて置かれている。(評:高橋正子)

★坂道に光の跳ねて秋の晴れ/右田俊郎
なにか充 実することがあるのだろう。普段はなんでもない坂道の光も、作者の心には、きらきらと跳ね輝いて見えるのである。「秋の晴れ」がそれをよく表している。(評:高橋正子)

★片割月ゆるりと傾ぎ沈みけり/山野きみ子

★枝豆のどんと盛られて開店日/野田ゆたか

★鳥渡る防塵マスクの吾子の街/安丸てつじ

★石垣に秋の影さす天守閣/池田和枝

★トラックの白線くっきり運動会/祝恵子

★猪垣の終わりて狭き登山口/ 脇美代子

★運動会数える声の風に乗る/守屋光雅

★秋天や人はそれぞれ野に憩う/安田明子

▼選者詠/高橋正子
秋水のグラスの高さに澄みてあり
穂草みぞはぎ金の取っ手のある部屋に
晴れわたりさびしき銀杏拾わるる
『第332回入賞発表/選者高橋正子@』
■第332回句会(9月22日〜9月23日/選者高橋正子)の最優秀句は、下記に決定しました。おめで とうございます。

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【最優秀/3句】
★秋天に風吹き通る文化祭/岩本康子
文化祭の日には、抜けるような青い空が広がったの でしょう。秋風も空高くを吹きぬけています。文化祭が晴れやかな空気に包まれました。(評:高橋正子)

★苅田の畦背 丈揃いし曼珠沙華/目見田郁代
稲が刈り取られ、田はひろびろと平面を見せています。そこに田を縁取るように赤い曼珠沙華 が咲き揃っています。すっきりとした風景です。(評:高橋正子)

★コスモスや夜雨が色を新たにす/野田ゆたか
一 夜の雨に塵も洗われて、空気も澄んでいますから、コスモスはますます澄んだ色となり、秋冷の気配に満ちています。(評:高橋 正子)
『第332回入賞発表/選者高橋正子A』
■第332回句会(9月22日〜9月23日/選者高橋正子)の優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【優秀23句】
★爽やかや欅の蔭の乳母車/林 暁兵
爽やかな季節の欅は、色づく気配を見せて、いい色となっています。そこに止められてある乳母車が、愛に満ちたやさしさを感じさせてくれます。心なごむ光景です。(評:高橋正子)

★通るたび稲穂の香り新たなる/碇 英一
稲穂には命の水が通っているのでしょう。日々変化して熟れていきます。通るたびに、新鮮な香りを楽しませてくれます。(評:高橋正子)

★天高し揃いのリュック土手を行く/堀佐夜子
お揃いのリュックを背負って、川土手を行く人たちの楽しさが、それを見ている人にも伝わります。「天高し」の季節を満喫しています。(評:高橋正子)

★彼岸花伊吹嶺遠く雲もなく/古田けいじ
遠く伊吹嶺までの景色が澄んでいる。彼岸花が、手元に配置され、
遠近感がとてもよく出た句。広々とした心の風景でもある。(評:高橋正子)

★間引菜を洗いて水の重さかな/脇美代子
間引菜は、稚くて、ふわっと軽い。ところが洗うと、水がついて
重くなる。それは、菜の重さではなく水の重さだという。強い実感がそう思わせた。(評:高橋正子)

★秋草の淡色束ね挿す小瓶/山野きみ子
束ねても、秋草は淡い色あいである。小瓶といい、秋草といい、優しくてかわいいものである。(評:高橋正子)

★間引き菜は指にひやりと籠の中/守屋光雅
同じ間引き菜でも、光雅さんの地方は、指に冷ややかに感じられる間引き菜である。気温も一気に下がったのだろうか。籠の中にいれられる間引き菜に、愛情が込められている。(評:高橋正子)

★ぐんぐんと一人で刈りし大稲田/河ひろこ
広い平野に稔る稲を、コンバインで刈り取っているのであろう。それが、ぐんぐんである。その力は、見事というほかない。穀倉地帯の稔りの秋の現代的風景だろう。(評:高橋正子)

★一斉に正午のプラハ秋の鐘/霧野萬地郎

★蒸しじゃがをほおばり歩く秋麗/八木孝子

★父眠る姉眠る地に秋気満つ/戸原琴

★秋うらら滑り台つぎつぎすべる/磯部勇吉

★ 見上げれば秋天の青平和の色よ/日野正人

★曼珠沙華光集めて白放ち/相原弘子

★富士新雪高層ビルのクレーン 群/伊嶋高男

★りんどうの青を好みし義母の墓/右田俊郎

★花ジンジャ咲きつぐ浜の駐在所/平野あや子

★秋水の透る山峡木こり道/安丸てつじ

★畝高く大根菜育つ青い空/祝恵子

<ユーラシア大陸を越えて>
★ 満月や翼の下に雲の海/多田有花

★トロ箱に土佐の焼印秋の鯖/小峠静水

★秋草に轍を付けて車椅子/岩崎楽典 (添削)

★山よりは雪の予報の賢治祭/守屋光雅

▼選者詠/高橋正子
<51番札所石手寺にて>
大屋根 の古りし甍に秋白し
大楠の上を秋雲迅かりき
石手の塔秋日の燦と正面に
『第331回入賞発表/選者高橋正子』
■第331回句会/選者高橋正子の最優秀句は、下記に決定しました。おめでとうございます。

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【最優秀/3句】
★枯葉散る空気に触れる音させて/小峠静水
枯れ葉が舞い落ちるまでに、からっとした音を立てる。それを空気に触れる音と言った。鋭い把握である。(評:高橋正子)

★刻み藁撒ける刈田の新らしき/碇 英一
刈り取られた稲は、はや藁となり、刻まれて、また田に返される。
新藁が撒かれて、刈田が新しく蘇った。再び廻り来るものにも新しさがある。(評:高橋正子)

★水鳥の渡る気配や今朝の空/磯部勇吉
今日あたりは、水鳥が渡りそうである。空の気配がそれを語っている。年々歳々繰り返される水鳥の渡りのころの空の色や気配が、作者の心にくっきりと刻み込まれているからであろう。。(評:高橋正子)

【優秀12句】
★バラ売りの秋の胡瓜のいかめしき/吉田 晃
バラ売りの胡瓜の曲がり具合が、朴訥で、いかめしくさえ思われたのであろう。生きる力のたくましさでもある。(評:高橋正子)

★街路樹の枝打つ空は広い秋/山野きみ子
「広い秋」は、思い切った表現だが、全身で秋を感じている喜びがある。夏の間茂って日蔭をくれた街路樹の、枝が打ち払われて、今度は秋空を見せてくれるようになった。(評:高橋正子)

★月の夜へともずな手繰る舫い船/平野あや子

★水走る露草揺らす風を生み/脇美代子(正子添削)

★活けいるに又細々と草の花/相原弘子(正子添削)

★朝冷のグランド踏めば足音残る/日野正人

★秋灯し少し猫背もそのままに/林 暁兵

<菅沼合掌集落>
★合掌の里の明るし稲穂波/八木孝子

★あずまやへ燃え寄せるごと曼珠沙華/古田けいじ

★秋雲の大地に写す影速し/霧野萬地郎

★夢の中祖母の笑み居て秋彼岸/堀佐夜子

★秋の灯やチェロのくすみしニスの色/右田俊郎

▼選者詠/高橋正子
萩の花風をふくみて紅さやか
オリオンの星のみどりに秋暁
熟れゆける稲穂まぶしく風を入れ