高橋正子
デイリー句会入賞句■
(2005年2月21日〜28日)
NPO法人水煙ネット

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デイリー句会(228)

200531 5:27:50 管理

 

 

デイリー句会/228
高橋正子

【最優秀】
★春嵐忽と吹きけり白日に/小口泰與(信之添削)
春の嵐が、何の気配も、前触れもなく、真昼間に忽然と吹いたと
いうのだ。気象現象は、人の日常では予測しないことが起こるも
ので、なにか神がかり的な風にも思えたりする。ともかくもこの
時期、春の嵐が忽と吹いたのだ。(正子評)

【優秀/8句】
★道の木も庭木も同じ芽吹きかな/石井秀子
道の並木の木も、庭の木も、木は木に違いない。春の訪れにいっ
せいにそこここの木々が芽吹き始めた。「同じ芽吹き」に、共感
する。(正子評)

★椿咲き山にハイカー増えて来し/野田ゆたか
山に椿がさき、淋しかった山が明るくなった。ハイカーたちも増
えてきて、山歩きをたのしむ姿が見られるようになった。楽しさ
があっていい。(正子評)

★辛夷咲き路地に一本月明かり/大給圭泉
辛夷が咲く路地を月が照らして、「一本の月明かり」の路となっ
ている。辛夷と月とが幻想的で美しいが、「路地」に人々の生活
が偲ばれて、美しいだけの句に終わっていないのがよい。(正子
評)

★朝の陽に花畝残し春田打つ/堀佐夜子(正子添削)
少し暖かくなってきたので、田を打つ人が朝もみられるようにな
った。見れば、花の畝は残して、ほかを打っている。畑を打つ人
の優しさが読み取れる。(正子評)

★川に着き土手焼きの火の鎮みたる/小島花英
土手を焼く野焼きの火は、どんどんと燃えて、川に突き当たって
鎮まった。野焼きの火の勢いが鎮まるときが、流れる川の水であ
るという実際が面白い。(正子評)

★剪定も済みはつらつと光あふる/小西宏
剪定された木々は、葉枝が落とされて、光りが充分に差すように
なった。さっぱりと剪定された木々の間には、明るい春の光りが
あふれて、はつらつとした気持ちにさせてくれる。(正子評)

★老いていま雛つつましく軸梅に/志賀たいじ
子どもたちがまだ幼いときは、親も若くて雛を華やかに飾ったけ
れど、子どもたちが成長し、夫婦の生活となると、雛もつつまし
く、梅の軸を掛けた前に飾って過ごす。静かで穏やかな老いの心
境が高い。(正子評)

★掌にこぼれ雛のあられの愛らしき/大山涼(正子添削)
定型の5−7−5になるように添削した。雛あられと思えばこそ
、よけいに愛らしく思える。(正子評)

 


その2

200531 6:30:26 管理

【佳作/12句】

★打つ波に揺れる鹿尾菜を持ち帰る/今村七栄
取り合わせの句と違った、いわゆる「黄金を打ちのべたる」句で、一句一章のいいリズムがある。切れ字や取り合わせがない。「揺れる」がこの句の中心で、「打つ」、「揺れる」、「持ち」という動詞がリズムを作り、句の内容に相応しい。「揺れる」に軽い切れがあって、句の終わりの「帰る」とうまく呼応している。亜浪は、俳句のまことを求め、一句一章の自説を確立した。鹿尾菜(ひじき)は春の季語。(信之評)

★正座して素直なる子よ雛祭/脇美代子
雛祭の子を詠んで、隠すところのない句だ。家庭の日常が見え、心温まる句だ。(信之評)

★新しき畝幾筋も春の畑/池田多津子
★春寒く日は薄々と窓を過ぐ/山野きみ子
★学び舎の址踏み行けば藪椿/安丸てつじ
★子供等は頬赤くして余寒かな/河野一志
★いきいきと白雲流る二月尽/おおにしひろし
★梅の香へ玉砂利の音させながら/祝恵子
★春めくや胸のふくよか慈母観音/篠木睦
★春寒の廊下に子らの声満ちる/松本豊香
★落葉踏み木漏れ日の道尾根の道/渋谷洋介
★ふらここや頭を足の越えたる日/かわなますみ

 

 

フォームの終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デイリー句会(225-27)

2005228 0:04:20 管理

 

 

デイリー句会
高橋正子

【最優秀/225日】
★海苔船の風に向かいて漂いぬ/矢部れい子
海苔粗朶に付いた海苔をとるために沖に出た船が、風に揺すられながら漂っている。一枚の写真のような風景だが、春とは言え、寒く冷たい中の海苔採りの作業に、漁場の厳しさが感じ取れる。(正子評)

【最優秀/226日】
★桜餅包み開けば香に満ちて/臼井虹玉(正子添削)
桜餅の包みを開けると、葉桜の香りがはっとしてくる。桜餅は、芬々と桜餅自体が香に満ちているのである。桜餅が格調を持って詠まれた。(正子評)

【最優秀/227日】
★水面翔け鴨つぎつぎと青空へ/大給圭泉
鴨が水から空へ飛び立つ姿を目に見えるように描写し、成功している。一羽一羽が、水面を翔けて助走をつけて青空へ飛び立っていく。「青空へ」飛び立つのは、餌場へ行くのか、もう北国へと帰るのかはわからないが、北国へ帰るのであれば、もう今年の見納めの鴨である。(正子評)

 


その2

2005228 0:05:01 管理

【優秀/225-27/8句】
★満開の桜草に触れ孫来たる/古田けいじ
満開に咲いた桜草に触れながら、小さな孫が訪ねてきた。桜草の花に体が触れるほどのかわいい孫で、目に入れても痛くないとはこのこと。メルヘンティックな句。(正子評)

★雛に添う桃花の枝の野のままに/池田加代子
雛様に添わせて活ける桃の枝が、「野のままに」で、そのことで、雛様が生き生きとしてきた。栽培の桃の花ではなく、やっと蕾を付けた、野のままの桃の枝の姿に風雅のまことが読取れる。(正子評)

★天心に一声鳴いて鳥帰る/篠木睦
空から落ちてくる鳥の一声に、空を見あげれば、今ちょうど天心を鳥が帰ってゆく。鳥が帰る季節になっのだ。その感懐がさみしさを交えて詠まれている。(正子評)

★秤目の大きく振れて種物買う/宮地ゆうこ
種物を植えるころになった。種物屋で買う種は袋に入った種だけでなく、じゃが芋の種などは、秤にかけて重さで買う。そのときに、秤は勢いづいて大きく針を振らす。種を蒔く時期のいそいそとした気持ちがよく表現されている。(正子評)

★別れ雪クレヨンの香はあたたかく/尾ア弦
終わりの雪に、暖められた部屋の中で、子どもたちは、おとなしくクレヨンで絵を描いているのだろう。暖房のあたたかさに、クレヨンの匂いがぷんとする。その匂いは、なつかしく、あたたかい。(正子評)

★踏切の電車の風の運ぶ春/長岡芳樹
踏み切りで電車が通り過ぎるのを待っていると、電車が風を連れて通り過ぎた。その風には春の匂いがあって、春は電車の風によって運ばれてきた。春の来る喜びが、明るい句となった。(正子評)

★隣室のシャンプー匂う春寒し/かわなますみ
隣室からシャンプーのいい匂いがしてきた。春寒い日には、特にシャンプーの匂いがよく匂う気がする。春浅いころは感覚が鋭敏になっているかもしれない。(正子評)

★ジューサーの振動かるし春の朝/池田加代子

 

 

 


その3

2005228 6:19:44 管理

【佳作/225-27/28句】

★潮騒の水仙郷や咲き溢る/碇えいいち
群青の海に水仙の群生が美しい。「潮騒」が掻き立てて「咲き溢る」のであり、水仙の群生を海近きところに見ることが多い。(信之評)

★春の星風受くごとく瞬けり/河野一志
厳冬を過ごし、春を迎える気持ちが伝わってくる。下五の「瞬けり」がそれを語って、「春の星」がいいテーマとなった。(信之評)

★首伸ばし真っ直ぐ北へ大白鳥/能作靖雄
「大白鳥」の姿がいきいきと描かれ、読者に伝わってくる。いい写生だ。(信之評)

★大地萌ゆ今日の努めの鍬高し/前田たかし
早春の風景を描き、下五の「鍬高し」がいい。「大地萌ゆ」、そこへ打ち込むのである。(信之評)

★牡丹雪畝は真白に幾すじも/大山涼
大きな雪片が牡丹の花びらのように降る。春が近い。田園風景が拡がって、そこには、厳しい北風が吹かない。(信之評)

★青々とからし菜漬けの香の厨/大給圭泉
からし菜の青は濃くて、「青々と」の形容のとおり。厨にいきいきとした青いものがあると、厨仕事もきりっと引き締まってくる。からし菜の香には、生活のたしかさがある。(正子評)

★和菓子屋の桃色めきて雛飾る/甲斐ひさこ
★留守するに玄関に桃活け替えて/黒谷光子
★湯煙の百態ありし冴え返る/小口泰與
★卒業式大きなままの片思い/大石和堂
★雑木山梢に満ちる春兆し/澤井渥
★山桜寒戻りても咲きやまず/竹内よよぎ
★春の雪降りくる中を峠越ゆ/多田有花
★梅の句を寄せ来る学友(とも)や北都より/安丸てつじ
★雛と並ぶ市松人形足裏見せ/堀佐夜子
★街路樹の枝整えて春を待つ/平田弘
★雪割りて黄の鮮やかに福寿草/渋谷洋介(正子添削)
★梅咲いて空の青さを奪い取る/小島花英
★今朝咲いて汚れを知らぬ白椿/伊藤笑留人
★朝日浴びゆらゆら揺れるしゃぼん玉/高橋秀之
★見えるもの全てが光る春の海/吉田晃
★雪埋もる線路の響く少年期/志賀たいじ
★内裏雛絵手紙教室で手作りし/山崎美笑
★山門のかはら反り立つ斑雪/小西宏
★筆先に淡い黄色の福寿草/今井伊佐夫
★出勤のカーテン開けて梅日和/おおにしひろし
★円卓を囲めば若布スープの湯気/祝恵子
★捨て猫の声凄まじき凍て返る/山中啓輔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デイリー句会(224)

2005225 0:25:54 管理

 

 

デイリー句会/224
高橋正子

【最優秀】
★雪明かり牛まっくろに立ち止る/志賀たいじ
雪明りに見える牛が、ただ牛とわかるというのではなく、まっくろ
な牛として、牛の色まで見えている。薄明かりに黒を見た作者の目
が鋭い。風土性のゆたかな句。(正子評)

【優秀/8句】
★春の月いま天心に満ちていし/尾ア弦
「満ちていし」の「いし」に、満ちている状態をその状態にとどめ
た強い感動がある。天心に上った春の月は、遠いものでありがなら
、えもいえぬ美しさを地上に届けてくれている。(正子評)

★綻びる梅に明るい空が添う/山野きみ子
綻びた梅に、明るくやさしい空が添って、やわらかな早春が詠まれ
ている。綻びた梅も、やがて散るはかなさを持ち合わせている。(
正子評)

★春の日の影を作りてブロンズ像/祝恵子
冬の間は、ブロンズ像も冬ざれて、影を作る日も少なかっただろう
が、春の日があたたかく差して、影が生まれている。春の日差しの
明るさに、ブロンズ像もあらたに命を得たようだ。(正子評)

★雨の日も机上に菜の花ある暮らし/池田多津子
雨の日のさえない気持ちを引き立ててくれるの菜の花。身近にある
季節の花を飾ることが、暮らしをゆたかに、楽しくしてくれる。こ
んな小さな楽しみに、人は生きる力をもらっているのだろうと思う
。(正子評)

★クレソンを立ててグラスの水清し/池田加代子
★タンカーの喫水浅き春の海/澤井渥
★配膳車春宵の窓横切りし/かわなますみ
★水音も光りも増せり春小川/伊藤笑留人

 


その2

2005225 0:57:29 管理

【佳作/16句】
★紫陽花の芽の青々と皮破り/臼井虹玉(正子添削)
小さいものの芽吹く力強さがあって、表現が新鮮。句が若々しいのは、作り手の心が若々しいからだ。(信之評)

★「満月は明日よ」と春の月仰ぎ/岩本康子
思いを率直に述べていて、隠しているところがない。それがいい。(信之評)

★下萌や地の胎動の確かなる/小口泰與
★捨てるもの捨てれば春の風入りぬ/多田有花
★はだれ野や蠢くものの数えおり/能作靖雄
★紅のネオンに染まる夜の霞/河野一志
★通るたび足を止めては梅の花/野田ゆたか
★早春の満月真白雲真白/おおにしひろし
★こうまでも母に似てきし日脚伸ぶ/大給圭泉
★早春の染井吉野の幹ひかる/小西宏
★魚を焼く香り流れる雪明かり/長岡芳樹
★ぼたん雪風におどりて風となる/松本豊香
★春の菜の一汁一菜豊かなり/大山涼
★地方紙に水菜くるみて一筆箋/甲斐ひさこ
★春の海光に浮きし影帆掛/前田たかし
★田畑菜の黄緑色と空の青/湯山淳三

 

 

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デイリー句会(223)

2005224 0:20:55 管理

 

 

デイリー句会/223
高橋正子

【最優秀】
★よく晴れて深き谷まで春めきぬ/竹内よよぎ
よく晴れると、実際になにもがよく見える。「深き谷」にも日が届いて、春らしい色となっている。「深き谷まで」に、作者の内面の深さが読取れる。(正子評)

【優秀/8句】
★回転ドアひらりひらりと春風切る/臼井虹玉
回転ドアが、明るい春の風を、回るごとに切り取って、「ひらりひらり」に、風の輝きが見える。(正子評)

★よき声の小鳥来ている春障子/堀佐夜子
春障子から洩れてくるきれいな小鳥の声に、明るい春のひとときが描かれている。(正子評)

★杉板の堰新しき春の川/脇美代子
春の川に杉板を渡して堰を作り水を落としている。作られたばかりの杉板の堰を越えて流れる水がいきいきと新しく、いい田園風景がある。(正子評)

★瀬戸の涛白く尖らせ春疾風/おおにしひろし
★仰ぎ見て春満月に深呼吸/河野一志(正子添削)
★雪の田の踏まれぬままに蒲団干す/小島花英
★群青の空の黒点揚げひばり/小口泰與(正子添削)
★荒縄の間に覗く椿かな/長岡芳樹

 


その2

2005224 0:21:49 管理

【佳作/13句】
★春立つや赤いランドセル駆け回る/能作靖雄
単純な句だが、それだけに印象が鮮明で、読み手に訴えてくるものがある。好きな句。(信之評)

★若き梅薫り競いて兵舎跡/野田ゆたか
「若き梅」と「兵舎跡」との取り合わせが詩情を生む。新しきもの、古きもの、どちらも在って欲しいと願う。(信之評)

★水仙の香り広がる仏間なり/大給圭泉
「水仙の香り」がいい。親しみがあっていい。それは、亡き人への思いでもあろう。(信之評)

★凍む風の鳥みな樹々に沈みけり/志賀たいじ
★人形の瞳明るき春障子/今村七栄
★靴紐に屈み大地の春を嗅ぐ/小西宏
★床本をめくるかすかな春の音/大山涼
★雪解けて顔穏やかなり道祖神/前田たかし
★土手青む白魚句碑は海抜零/澤井渥
★カーテンを透かして届く浅き春/伊藤笑留人
★流れ来るハングル文字や春疾風/篠木睦
★年寄りの多き寄り合い朧月/今井伊佐夫
★春一番の吹き抜けし日や月潤む/池田加代子

 

 

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デイリー句会(222)

2005223 9:55:56 管理

 

 

デイリー句会/222
高橋正子

【最優秀】
★しなやかに風よせ返す柳の芽/篠木睦
風のしなやかさは、芽柳の枝の揺れでわかる。「風よせ返す」に、柔らかな春の海の波が寄せ返すようなのどかな動きがある。風のやさしさ、芽柳のしなやかさが良く表現された句。(正子評)

【優秀/8句】
★白梅も紅梅も咲き空満たす/池田加代子
「空満たす」には、晴れ晴れと空を見上げる作者の明るい感動があって、気持ちが空に開かれている。白梅も紅梅も咲き満ちて心弾む早春がここにある。(正子評)

★春の月迎え待つ間の駅頭に/安丸てつじ
駅頭に立ち次の電車を待つ間、空に心を向けて、昇ってくる春の月を楽しんでいる。春の月のまどかな光りが穏やかである。(正子評)

★別れ雪あっけらかんと消えにけり/尾ア弦
別れ雪は、名残を惜しむ間もなく、「あっけらかんと」消えてしまった。雪に対する思いをかもし出す間もなく、ということなのだろうが、あっさりとして雪に対しての現代的な感覚でもある。(正子評)

★枝に揺れ残して鳥の春空へ/臼井虹玉
鳥が飛び立つわずかな弾みを受けて、止まっていた枝が揺れている。柔らかな春空の色と、小枝の優しい揺れが、しなやかな感性で捉えられている。(正子評)

★鮮やかな青を刻みて菜めし炊く/大山涼(正子評)
「鮮やかな青」にはっとさせられる。この青々とした菜を刻んで、菜めしが出来上がる。日常の食のなかにも季節の折々を楽しむ食の心がけがうれしい。(正子評)

★蕗の薹霞む青さの空と住む/小島花英
★潮の香も散り散りに舞う春の雪/池田多津子
★春日背に自転車の親子走り行く/河野一志
★菜の花にふくらむ土手の続きけり/伊藤笑留人

 


その2

2005223 9:57:24 管理

【佳作/20句】
★卓上の鉢さまざまに木の芽吹く/山中啓輔
例え、「卓上の鉢」であっても「さまざまに」であれば、家内も豊かで、楽しい。「木の芽吹く」季節である。(信之評)

★春光のやわらに差し来吾を包む/堀佐夜子
「吾を包む」は、力強い破調で、それには、意図したものではない意味がある。春光は、「やわら」であっても、作り手の内面には力強いものがある。(信之評)

★赤い靴はく少女像に春の風/大給圭泉
旅の句である。横浜山下公園の「赤い靴はく少女像」であろうと思うが、遥かな海のかなたに視線を向ける姿には、「春の風」がいい。遥かな海のかなたから吹く「春の風」である。(信之評)

★鯛焼き買うもう咲いている木瓜の花/多田有花
★夜来吼え春一番の朝明ける/能作靖雄
★春の野やはしゃぐ子等のわらべうた/藤田裕子
★中華街菜の花盛らる店もあり/祝恵子
★黒鉄の闇を斜めに春時雨/下地鉄
★織られたる布春の陽に曝されり/碇えいいち
★絵手紙に春の切手を選びおり/山野きみ子
★点滴の雫の音に春を聞く/野田ゆたか
★梅三分映しすがすが川流る/おおにしひろし
★ソナタ「春」厨に聞こえ目覚めけり/古田けいじ
★川越に雨情の碑立つ春の月/今井伊佐夫
★風のみち少しはずして冬雀/志賀たいじ
★寒もどり厳しき朝に通勤す/岩本康子
★オーロラのゆらめく雪の岬にて/小西宏
★冴え返り冴え返りして土緩む/今村七栄
★春光や遥か淀川くねくねと/甲斐ひさこ
★紅梅に積もりて淡し春の雪/渋谷洋介
★春雨や大河も空も一つなり/澤井渥
(
青梅マラソンの日)
★地響きとなり足音が春を呼ぶ/山崎美笑
★競い合い餌(え)を啄ばむや春の雪/小口泰與
★干し柿の色濃くなりたる寒の明け/前田たかし
★月明かりつくりし影に忘れ雪/竹内よよぎ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デイリー句会(221)

2005222 1:22:54 管理

 

 

デイリー句会
高橋正子

【最優秀/221日】
★泡連れて春の潮満つ舟溜り/澤井渥
「泡連れて」に春の潮らしい、つややかな潮の動きが想像できる。舟溜まりにたゆたう潮に「春の潮」を的確に見て取った。(正子評)

【優秀/6句】
★雨ごとに色褪せゆける焼野かな/野田ゆたか
野焼きのすぐあとは、真っ黒であった野も、雨ごとに焼野の黒色が薄れて、草萌の季節がきたことが知れる。野焼きのあとの時の経過で、句に広がりが出た。(正子評)

★梅の花触れ合うほどの満開に/古田けいじ
蕾のときは、枝にぽつぽつとしか付いていなかった梅の花ではあるが、満開になると、互いが触れ合うほどの咲き加減となった。程よい梅の花の咲き具合である。(正子評)

★木の芽みなの目覚め促す日和かな/大給圭泉(正子添削)
三寒四温のころ、暖かい日和に恵まれれば、どの木の芽もこぞって芽吹く気配を見せる。「目覚め促す」は、木の芽を人の目にたとえて、今にもぱっちりと目を覚ましそうな予感を抱かせる。(正子評)

★土手沿いの雑木もしかと芽吹き初む/黒谷光子
土手沿いにある山側の雑木だろうか、「しかと」芽吹き始めている。「しかと」に、強い実感があって、堅実な句である。(正子評)

★水温み鯉ゆうゆうと泳ぎおり/河野一志 
一志さんは、伊那にお住まいなので、水が温むうれしさは、暖地に住むものとは、比べられないほど嬉しいことなのだろう。温んだ水にゆうゆうと泳ぐ鯉が、春を感じて気持ちよさそうである。(正子評)
 
★凍月に階段上り貰い風呂/伊藤笑留人(正子添削)
凍月が照らす階段をのぼって行くと、貰い風呂をする家がある。月の美しい夜を冷えてきて、温かい風呂を貰うという嬉しさ。貰い風呂ということを、最近ではあまりしなくなったが、お風呂を「貰う」というのは、日本人らしい思い方であり、気持ちが温かくなる。(正子評)

 


その2

2005222 9:32:51 管理

【佳作/21句】
★春浅き厩舎の馬の眸()が優し/おおにしひろし
句の終わりに「優し」を置いて、一句を収めたところがいい。俳句のいわゆる「切れ字」とは違う読みで、日常の文の理解でよい。「優し」に作者の思いがある。また、季語「春浅き」があって、「優し」が生きているので、季語の働きがよく、季語の理解が深い。(信之評)

★囀や木立の揺れている辺り/かわなますみ
いい感性だ。見えないところを見ている。見えない鳥を見ている。(信之評)

★頬過ぐる雪の夜風の香の甘く/長岡芳樹
感覚を澄ませば、普段気づかないところに気づく。詩は何処にでもあり、作り手の心次第である。いい句だ。(信之評)

★白梅を照らし月光匂いけり/池田加代子
★石一つあらば合掌山笑う/篠木睦
★山一つ遠くなりたり春霞/前田たかし
★まんさくの一枝かごに青菜摘む/宮地ゆうこ
★芽吹く枝触れてみたくて歩道橋/祝恵子
★小さな手真っ黒にして芋植える/高橋秀之
★暮れなずむ境内の空の花辛夷/堀佐夜子
★朧夜の広告塔は鮮やかに/山中啓輔
★満作の色賑やかに山栄ゆ/今井伊佐夫
★限りなき流氷の航じぐざぐに/志賀たいじ
★球根の畝床覆う春の雪/能作靖雄
★春雪や朝の寝床に気配聞く/尾ア弦
★風孕む春のスカーフふわりと揺れ/臼井虹玉
★鯉ゆらり川面をゆるり春の雲/今村七栄
★春の雪レスキュウ隊の急ぎ行く/山崎美笑
★積もりおる淡雪落とす鴉かな/小口泰與
★早朝の春風切ってバイク駆る/大山涼
★懐石の箸置きうれし梅小枝/石井孝子

 

 

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