▼俳句雑誌「水煙」の秀句
1997年/ 1998年/ 1999年
2000年/ 2001年/ 2002年
2003年

2002年
ネット新俳句年間賞/水煙ネット
高橋信之

最優秀
葡萄棚影濃きままの房を採る/小峠静水

葡萄棚にまだ葉がよく重なって、影を作っている。葡萄
の房も粒が揃って各々の粒に影がある。その房をそっく
りそのまま採る。表現に衒いがなく、レベルの高い句と
いえる。(評:高橋正子)

優秀4句
降り足りし空の紺青桃熟るる/堀佐夜子

降り足りた地に対し、空はすっかり晴れて紺青の色を広
げ、地も空もそして桃が熟れて、恵みに潤っています。
そんな時があることが素晴らしい。(評:高橋正子)

山茶花の花こぼしつつ咲きつづき/大給圭泉

ありのままを、今感じるそのままの心で詠んでいて、余
分も不足もない、つつましくていい句ですね。
(評:高橋正子)

人の手に触るることより新豆腐/野田ゆたか

この句は、「より」の解釈に重点がある。冷たい水から
掬う、あるいは、掌にのせることによって、今年の大豆
で作られた豆腐は、できたばかりのほのかな匂い、柔ら
かな白い色、水に触れていた切り口などが、生き生きと
してくる。新豆腐を感覚的に捉えた作者の新境地といえ
る句。(評:高橋正子)

鰯雲おーいわたしは元気だぞ/安増惠子

「鰯雲」の季語としての働きが充分で、そして自由であ
る。現代語的口語表現の句。(高橋信之)

※インターネット俳句コンテスト、オンライン句会、さ
ら句会から選ばれた秀句です。


2001年
ネット新俳句年間賞/水煙ネット
高橋信之

最優秀
立ちしものに光を注ぎ冬満月/碇 英一

この句は、「水煙」の今を代表する秀句ですが、冬の緊張感を
うまく言葉に乗せました。冬の静かな緊張感が伝わってきます
。読み手の心深くに届いて、とても静かです。しみじみとした
ところに生命の働きを感じます。(評:高橋信之)

優秀3句
遠ざかる風船は今空のもの/藤田洋子

時間の流れをうまく表現し、「今」が強く読者に訴えてきます
。俳句の基本は写生で、その独自性は季感にありますが、作り
手が捉えた主観的な時間の流れも、詩を成り立たせている重要
な要素で、読み手は見落としてはなりません。(評:高橋信之)

鬼やんま款款として羽音なし/大石和堂

「款款」は、かんかんと読み、語義は「ゆるやかなさま
」のことで、「緩緩」、「徐徐」と同義。「ひとり楽し
むさま」の意味でも使う。「鬼やんま」をうまく表現し
た「款款として」は、作者の心境でもあろうか。
(評:高橋信之)

白菜のみずみずしきを横抱きに/多田有花

「横抱きに」は、特に珍しい景色ではないが、この句は
、並でない。状景が生き生きと読み手に伝わってくる。
作り手から読み手へと生き生きと伝わってくるものがあ
る。(評:高橋信之)


2000年
ネット新俳句年間賞/水煙ネット
高橋信之

最優秀
もみじ葉の触れ合う音も降りてきぬ/戸原琴

音を聴く確かさ、空間を感じる確かさがある。(評:高橋正子)

優秀3句
露草の青い空気へ車椅子/堀 佐夜子

車椅子の高さの位置に、自分が居ることによって、初めて感じ
取れる「露草の咲く青い空気」は、感覚的な捉え方。澄み渡っ
た秋の空気そのままの句。(評:高橋正子)

ラガーらの影より抜けてジャンプする/守屋光雅

この句の良さは、ものの動きをうまく捉えることが出来たこと
です。地上の「ラガー」らの動きが鮮明なのは、よき写生に裏
打ちされた言葉の技術です。「影より抜けて」という表現では
、二つのイメージが鮮明で、その二つの間の動きにも強く訴え
てくるものがあります。(評:高橋信之)           

ゆらぎつつ澄みつつ冬の泉湧く/吉田 晃

冬の泉が、澄んでいながらも動きあるものとして、律動的に詠
まれている。(評:高橋正子)


水煙ネット事務局